ホラーM1月号

辻占売(池田さとみ
 今号は巻頭50p。まあページ数大増量でも内容はいつもとあまり変わりません。いつものノリ+主人公の過去エピソードというところでしょうか。この占い師さんにはただの狂言回しでいてほしいのだがシリーズ物じゃ仕方ないか。
 未信くんとやらがやってきた時のエピソードっぽい。あんなガイキチでも父親なのか……。しかし須美子さん、カラーページと印象が違うなあ。
 このシリーズは雰囲気が好きなのでずっと同じ調子で続いていってほしいですね。ただ、ホラーなのでたまに出てくる血生臭いシーン(今回だと屍に戻るあれ)を、もっとおどろおどろしく、グロく描いて欲しいところ。全体が爽やかだわね。
もののけ草紙(高橋葉介
 いつもは1話完結の本作も今回は続き物。前回登場した聡くんがちょっぴり荒んで出てきました。手の目の姉御は助けてくれそうなので次回が楽しみ。…ヒキの回で、あまり言うことがありませんね。次回へ続く! って。
 しかし手の目可愛いよ色っぽいよ。
人肉レストラン(森戸央)
 作者、ずっと新人だと思っていたけど前からいる方だったようですね。それにしちゃタイトルは捻りがないし、絵もあまり巧くないしで、うーん。
 で、今回はかなり呆れました。犯罪者の肉は毒がって……それなら普通に友達に教えてやれよ。そんで店に文句言えよ(それ以前に店もチェックしておかないと信用問題)。犯罪者になると抗体が出来るそーですが、犯罪って何を規準にしているんでしょう。
 かなり適当でいい加減な設定。連載第一回で、美肌効果やら能力があがる栄養素やらを多く含む人肉ほどランクが高く、そして美味しいという設定がありましたが、その時点でおかしいんですよね。一回こっきりだからいいかーと思ってたらその後も続いて、追加される設定にどんどん無理が……。きっとこの話の登場人物は、異世界か異星の人類なのでしょう。そのくらい荒唐無稽。
 この世界では人肉=美食という考え方も根付いているようですし、現実から剥離したその異常性を浮き彫りにするような描き方をしてくれると面白いのにね。禁断の欲望ホラーってアオリが虚しい……って、あれ、前も同じ事書いたような。
悪夢のバースデイ(有田景)
 美しさにこだわりを持った内容が多い作者の、いつもとは違う方向性の作品。キモメンのお父さんが娘の誕生日を全力で祝います。
 何と言うか、キャラに感情移入できませんね。何せ主人公、父親のせいで友達が死んだ直後に、あこがれのアイドルに会って目をハートにしますから。あーやっぱ親子だわ。そのうえ「みなおしたヨ」じゃねー!
 シュールなギャグと思うにも何だか適当で浅い印象。お父さんの顔も、キモメンにするならもっと気持ち悪くしたほうが。しかも、死に顔がいい加減すぎる。イケメンだけど性格はアレげな父ってのもアリだと思うんですが。
E・N・KO・U(明智抄
 母と娘の絆を中心にした話が多い明智さん、今回は虐待のあげく命を落とし、浮かばれない少女の霊のお話。作中に出てくるクイズが辿り着く答え。どれだけ傷つけられても、母を想う気持ちは消えない。だから、頭の傷も消えない。
「Q.好きな人にたたかれたらどんな気持ちになりますか?」
 相変わらず切ないお話を書く人です……。母親の気持ちは身勝手で醜くて結果惨めで、そうであればあるほど哀しい。そしてそれでも、子はそんな母の気持ちを受け止めてしまう。そんなお話でした。
 最後のヒトコマは、哀しさとハッピーエンドが同居していますね。
KATANA(かまたきみこ
 人気シリーズ……なのか? 今回は妖刀に取り憑かれたぜ次回へ続く。
すっくと狐(吉川うたた)
賢者の石(秋乃茉莉
 シャイロックという名前で吹いた。ベニスの商人かよ! 奥さん格好よかったね。
 今回はふたなりロリショタっこが出ましたが、絵柄のせいかいまいち萌えないなー。
夢で逢いましょう三条友美
 タイトルの時点でややオチばれ。
 前半と後半の剥離がいつもほど激しくないし、ちょっとおとなしめになってますね。
サタニスター(三家本礼
 前回、マジェンカが幽骸にめちゃめちゃビビっていて「他のガールズが惨殺されるところでも見たのでは?」と推測が出されていましたが、家族が人質に取られているからでした。なるほど……。毒壷ガールズは「別格の三人」以外は、皆同じ悲しい女達。だ、そうですが、ひと働きして「はらたいら」とかこっそり言っているのを見ると、普段はそれなりに楽しくやってそうですね。
 サタニスター、修道服復活。決め台詞も超ひさびさに復活。しばらくパッとした活躍がなかった彼女ですが、いよいよ盛り返しのようです。そしてサタニスターの仲間登場!(やっぱり巨乳)
 幽骸はやっぱバカ息子のイメージですね。本人は否定していますが、毒壷ガールズ全員集合の中入場しておいて、そりゃないぜ。あっさり挑発に乗るし。しかし幽骸パパの遺言が出る流れが唐突でシュールな感じ。
 さて挑発に乗った幽骸が「1vs6でやる」と言ったので、残りの出場者が明らかになりました。妊婦殺人鬼マタニティ・レッドと、鉄仮面少女皮裂ユリ! ことにユリは、ミカモン代表作『ゾンビ屋れい子』の大人気キャラクター百合川サキに酷似しております! その正体は「1.サタニスターをやってるれい子に使役されているゾンビサキ(でも息してますね)」「2.れい子に会う前の百合川(でも大会に出場したかなりの確率で死ぬきが…特に生前の百合川だと)」「3.百合川ファンのコスプレ殺人鬼」と予想されますが、順当に言って可能性が高いのは3>2>1ですね。
 墓井田は忘れたころ戻ってきそうな気がします。
降ろせぬ十字架(渡千枝)
 女子高生コンクリ詰め殺人事件モチーフ。平凡で平穏な家庭が、姉の暴力によって崩壊する。けれど、姉が荒れ始めた原因は父の過去にあった……。過去を清算したとしても、罪の名前は付きまとい許さない。そして無遠慮にもそれを暴きたてる人々がいる。
 長年描いているベテランさんだけあって、334pとか迫力あっていいですね。例によってエンディングは爽やか。破滅的ホラーではなく、恐怖に立ち向かって解決するタイプかな。
悪魔の誘惑(ワタナベチヒロ)
 いじめられっこに逆襲されて失明し、そのまま目の前で自殺され、人殺しと呼ばれるようになったいじめっこが自殺しようとして、もっと酷い目に遭う話。「恐怖は今はじまったばかりだよ」それも描いて欲しかったぜっ。
 ヒナコの誘いMっぷりはえがったです。
ミスミソウ押切蓮介
 キタキタキタキタ! とまあ、春花本格始動ながら、やはり静的な物語の動きは相変わらず。ああ、南先生は病んでるなあ。もうすっきりいい気分で卒業どころじゃねっす。
 女の子が紙で指切ったのって、「こんな小さな傷でもとても痛い…」とかって改心フラグかと思っていたら、今回の伏線だったのね。しかし骨も断つ春花の包丁捌きが巧すぎです。そして撲殺でトドメ。一人息あるっぺーけど。
 死の間際に両親を想う吉絵。彼女も可哀相な人でしたけれど、やはりやったことは許されえない。撲り殺される少女はママを叫ぶが、その母親を春花から奪ったのは他ならぬ彼女達。
 次なる標的は男4人ですが、果たして春花が単身で勝てる相手なのでしょうか。それでなくともボウガン小僧とモデルガン君には苦戦しそうです。
盲目のクラレンス(時田ゆきお 旧・ときたかれんじ)
 えっと……盲目の意味、は……? 見た目にもハイライトが無いとか、そういう盲目っぽい描き方もしてないし。更にナイフを使ったシーンとか、目が見えてないとむしろおかしいんですけれど。脚が悪いとか、「無力で守られなきゃいけない存在」ってのは演出できると思うのですが。
 あと、主人公の父はボランティア慣れしているようですが、その設定のわりにクラレンスに対する態度が不自然な気が。「飲み込んだら危ない」からって、いきなり手に持ってるもの叩き落して怒鳴りつけますかね、普通。そこはやんわり取り上げるものじゃないの? 子供だからしつけの意味も含んでいるとか?
 あと、猟奇事件唯一の生存者としてクラレンスの名前が報じられていますが、外国の報道機関ってそうゆうことするのかな? ワカラン。
 あとは、絵が少し苦手だなー。普通のシーンは気にならないけど、冒頭と最後の、涙目で頬を血に濡らしたが顔とか、美少年に書こうとしている絵とかの目が個人的に苦手です。「殺し甲斐がある」はホラーらしくてよかった。