小原愼司『コジカは正義の味方じゃない』1

 リアルで充実してたらっ こんな事やってねっての

 ご近所ヒーロー物語。
 ある日突然、超常能力(ショボイがっかり能力も多数)を発現させた人々、「超法規居住人(略して超人)」が現れるようになったパラレルワールドの日本。超人たちは身を守るため覆面を身につけ、一般人には正義の味方(ヒーロー)も悪の怪人(ヴィラン)も区別がつかない!
 と背景はヒーロー物のシリアスなテーマを伺わせるのですが、主人公の赤貧女子高生・子鹿を中心とした物語はごくミクロな範囲のもので、まったりした雰囲気を漂わせている。
 天体戦士サンレッドは、特撮ヒーローのキャラクターが存在する世界で、ヒーローや怪人たちが現実に現実的に存在する・でもシリアスじゃなく庶民的な部分でのリアルさを描くお話なんですが、それともちょっと雰囲気が異なる作品です。
 サンレッドの「あるあるネタ」等に対し、こちらは超常能力といっても全然便利じゃなかったり(サンレッドはみんなスペックは超弩級)、超人関係の組織がみんな小市民的だったり……。
 作者の人を初めて見たのは、アフタヌーンの『パノラマデリュージョン』で、あれは話は面白そうだけれど絵が受け付けなくて読みませんでした。今思うともったいないことしたかも。
 子鹿はまだ見た目にマイルドになった気がして、普通に一冊読み終えられました。
 アフタヌーン購読時にパラ見した感じでは、パノラマも世界規模の危機が起きていた気がしますが、子鹿も今後大規模な話になってしまうのかもしれません。個人的にそうならないでいて欲しいんですが。
 スカートの下にジャージはいちゃうようなお元気少女・子鹿、赤貧で超人の力(影女)を新聞配達のバイトに活用したりと、とりあえず家計を切り盛りすることで頭がいっぱいです。主人公からしてこの状態ですからねー。
 子鹿の横には、彼女に憧れる白鳥くんというキャラがいるんですけれど、正義に燃えるとかそういうのが彼の役割だしなあ。白鳥くん、勉強もスポーツも出来る完璧イケメンだけどヒーローオタなのでモテなっつー残念キャラです。まあそんな彼にも想いを寄せる女の子の一人や二人はいるんですが……鈴木アリスかわえーよかわえーよ。