ホラーM2010年8月号
ホラーM終了のお知らせ。表紙アオリの「止まない刃が未来を繋ぐ。次の、わたしへ。」が色々と哀しすぎますね。
今月号にて雑誌は休刊し、以後はWeb上で『デジタルホラーミステリー』として続けるそうです。
九月下旬創刊、ラインナップは高橋葉介『もののけ草紙』、秋乃茉莉『賢者の石(エリキサ)』、吉川うたた『すっくと狐』、山下友美『暁のブレーメン』、明智抄『半農半漫画家 一町八反日記(仮)』、曽祢まさこ『新 呪いの招待状』、池田さとみ『辻占売』、松田洋子『相羽奈美の犬』。
……マガサスビヨリはあれで終わりなのかな? 結局なんだったのあの漫画。
目次の作者コメントも、夏コミ告知や家庭菜園の報告に混じって「いい雑誌だったのに口惜しい」「ホラーミステリーはどうなるの?」といった言葉も。
椿鬼/押切蓮助
既に移籍決定済み。まあ押切さんはちゃんと売れてる作家さんだしね。
今回はちょっとありがちな話だったなあ。業の炎とかはこのシリーズが貫いていたテーマだったんだけれど……。実は死んでましたネタは、辻占売りでよくあるパターンだから余計に。
母親を見ろ→母親撲殺の流れとか、全体としてのクオリティはやはり高いんですが。
もののけ草紙/高橋葉介
前回、手の目が病気だったんですが、今回はさらに重くなっているような? 「番外編」と銘打ってあるため小兎主役ですが、こやつが一人でしゃべってて手の目は姿が無い。
食事の用意が出来るんだから、寝たきりってわけでもないようですが。
しかし「益に立つ」ってあまり聞かない言い回しだなあ。伏線かと思ったけど無関係だし。
辻占売/池田さとみ
最終回っぽい雰囲気で纏められた回。が、何か色々納得できないなあ。舞子ちゃんが「人ではなく人でないものでもない」って、何になったのやら。
当人は幸せそうだけど、忘れられちゃったのはやはり哀しい。
新呪いの招待状/曽祢まさこ
あの猫って分身的なものだと思っていたけど、もっと自我が強かったんですね。最後、ほいほい夢使いの誘いに乗せられるあたりは憎めないやつだ。
旧家うんぬんは置いても、こういう一家が本当にいそうと思わせるのが、さすがの作者か。
機巧童子/鯛夢
前々から登場していた宮司さんが、とうとう本格的に動き出しました……って、なんてアグレッシブな男なんでしょうw
最後、眼鏡を投げ捨てた処といい、この調子で万能丸を追っていくんですかね。一応、昔の宮司が万能丸を製造したという由来は分かりましたが、結局目的は不明のままか。残念。
結構面白かったので、完結まで読んでみたい作品でした。
ハッピー・フライデー/財賀アカネ
なんのかんのでまたも登場かw 兎好きだなあこの人。
ホラーと思いきやコメディ。ほんと、なんで気付かないのww ホラー的には、刃物男の事件が連鎖しているって部分をもう少し詳しく聞かせて欲しかったんですがね。
遊霊少女凜/元町夏央
最初から読んでないので、今回が最後と思っても別に読まない。というかスカート脱いで堂々と誘っているシーンで引いた。
闇夜に遊ぶな子供たち/うすいす祥子
二巻……出るのかなこれ。今回も面白かったんですが、休刊に合わせて話を終わらせたのか、駆け足で物足りない展開でした。
しかし、トシオは今までヘビーな経験積んでいたから、いきなり先生に猟銃ぶっ放しても納得がいくんですが、健くんまでフォークブッ刺すのは驚いた。まあノリか。
にしても汁気の多い作風よね。昔はもっと多かったらしいけど。
先生は悲惨な死に方しちゃったなあ。吸血鬼に魅入られて正気を失っていたとしか思えないのに、犬の餌になったりして不幸。下手に不死身だから余計に。
霧の外で生きられないとか、伯爵の血云々とか、伏線っぽいものが出ているけれど、続きが出ない限りはこれも回収されないわけで……。
ゾウを凄い怪物と思ったり、マコと婚約しようとするクリストフ君はとても可愛いかったのに。手を繋ぐ二人の姿もまた愛らしい。
百合ちゃんの運転シーンが良かった。「バーカバーカ みんな死ね!!」のコマ、隣りに座るトシオの表情とギャップがあるのがまたw その直後にあのゲロ。
マガサスビヨリ/うえやま洋介犬
それで私が成仏するとでも? 何を根拠に?
自分が化け物だって承知でやってんだよこちとら
このシリーズで初めて好感が持てるキャラが出たよ……死神赤コートいい! 本名がちょっと変だがそこはさておき、彼女の活躍ならもっと見たかったな。
しかし結局なんだったんだこの漫画……。超投げっぱなしの落ちは休刊打ち切りだから仕方無いんでしょうけれど、今までもろくに面白くなかったしなあ……。
妙に不快感をかきたてられる、という点では印象深い作品だったけれど。
鬼門の宿/渡千枝
今回も抜群の安定感。取り憑かれ物の文脈で話が進むわりに、牡丹灯籠の話題が出るタイミングはちょっと遅かった気がするけど。
でやっぱり、彼女は悪い人じゃないよーという落ちになるのだなあ。画家との関係は最後らへんになるまで分かんなかったからいいんですが。
昔の妖怪画みたいにベタだが、巨大な目に見下ろされるシーンが怖い。
吸う女/平田京子
おお、今回は男が女に騙されて系の話ではないのか。
しかしあの眼鏡の人はなんだったのかなあ。彼女も見えてるってことが分かる前から、ちょくちょく意味ありげに顔を出していたのに。落ちには何の関与もしなくて意味不明。
少女崩壊/高橋りつ
次のお仕事が決まったそうで、何やらめでたい。それに画力とか質が向上したような? 初期に載った石ころの話から、結構成長が見られると思う。
ただ、キャラがごちゃごちゃして分かりづらかった。分かりやすかったのは黒ちゃんぐらいで、後は誰がメインなんだよっていう。
1p目からして、主人公が教師の矢部だと分かりづらかったし、クラスの生徒がその他キャラとして動くのがどうも把握しづらかった感じ。
しかし落ちが分かった後で腑に落ちない部分も。
携帯が無くなった時に黒ちゃんがソワソワしていた理由とか、推薦を狙っているけど〜言うことがチグハグ、の部分の真相もスルーされてる。
黒ちゃん視点だとありがちなホラーになるので、こっち視点のどんでん落ちは良かったけれど、それに併せるためにいくつかご都合な展開だった。
徠夢アナムネーゼ/成海圭
汝の今際 麗しき♪ 攫えよ汝 衆生の命♪ 和光の繁栄 誉れあれ♪
どんどんどん どどんこどん どんどんどん
『闇の漫画家』でデビューした作者の、受賞後第一作。……それが載るのが、休刊決定号ってのがなあ。前回脱サラ宣言しているし大丈夫かこの人。
画力は前回から更にあがったかな。表紙の2p目がコメディ物のように見えたけれど。主人公がゴスロリキャラデザインなのは萌えか、萌えを狙ったのか。
ストーリー自体はやはりありがちで、超常の医者が奇怪なアイテムで……医者の助手が人造人間のようで……という設定では、どうも『フランケン・ふらん』に見劣りするなあ。
「ここで作られるものは常に完璧よ 効かなくなるなんてまずありえないわ」
人体の免疫機能はどうした!? 同じ薬を使い続けたら免役できて効果が弱くなるのが普通だと思うのだが、豪快にそのへんを無視してくれる。
しかも特定の幻覚を見る作用の薬って、すげーなオイ。幻覚の内容や歌のセンスは好き。一時展開が怪物に追い掛けられるパニックホラーのそれになってびっくりだ。
こういうテンションはいいなあ。あとAnamnese(既往歴)というネーミングに笑った。