レーシックに注目してみた。

 もうすぐ春休み――ってことで、うちの職場(学校給食センター)もお休みが近づいてまいります。んで、職員さんの一人が、春休みを利用して白内障の手術を行うそうだ。
 怖っ! 目ですよ目、眼球にメスを入れるとか猟奇フィクションの世界ですよ!
 でも今は、レーシックっていい手術もあるんですよね〜。Laser in Situ Keratomileusis (LAser in SItu Keratomileusis)の略でLASIKですってよ。これ豆知識。
 レーザーメスでさくっとな。しかも日帰り、超便利、え、何か凄くSF世界っぽくなってきてませんか現代。さすが二十一世紀。この調子で痛くない歯科治療も早く実現してくれ!(そういう注射あったよね。全国でもあまりないけど)
 具体的には、レーザーメス(エキシマレーザー)で角膜の歪みを矯正し、視力回復するそうですが、「切って/削って治す」ってある意味原始的でもあるなあ。こう、瀉血とかさ。またはクレイジー・ダイヤモンド(それは「殴ってなおす」)。
 目の周り、というか顔を厳重に消毒するんですよね。場所が場所だから当然だけど、この消毒薬が結構(かなり)臭いらしいです。
 ある人の体験談で、「レーシックが終わって帰宅したら、飼い猫が臭いを嫌がって逃げる」なんて哀しい出来事もありました。うちの猫なんて毛を逆立てて嫌がりやせんだろうな。
 うちの近く(滋賀県)だと、神戸クリニック 広尾院という所が良いようで。大阪にも拠点があるからOKOK。同僚さんはどこの病院行くって言ってたっけ……。
 視力が裸眼(左)で0.06の私も、お金と勇気が溜まったらやってみたいと常々思っています。調べたら両目で四万近くとか出てびっくらしたけれど、これはアイレーシックというものの場合。
 レーシックは機械任せなので、矯正の効果は一律ほぼ同じ。お薬で言ったらドラッグストアで買える市販品みたいなもんですな。
 でもアイレーシックは、患者個人個人に合わせて微調整したレーザー照射をしてくれるらしい。薬の例えをもっぺん出すなら、こっちはテーラーメイド医療だやな。
 実際、オーダーメイドの手術とも言われているらしいし。
 テーラーメイドとか言うと高級感ありますねしかし。実際、機械任せのレーシックと違って、アイレーシックしている所はそれなりに「腕利きの医者」みたい。
 ああ、さっきの神戸クリニックもちょうど、アイレーシックの症例数は全国トップとのことで。これが近隣(て言っても大阪とか;)にあるのは嬉しいことです。いつでも適切な医療が受けれる社会って大事!
 健康の大切さを噛みしめつつ、おのが視力をそっと嘆くイサイでした。いつか治そう……うん。

田中ロミオ『人類は衰退しました』

「おいしいっ」
 ひとり増えてしまいそうな味わい。

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫)

 うっかりしていたら積んでいる間に六巻が出たので、慌てて消化。今六巻半分ほど読んだんで、早めにそちらもアップします。

妖精さんの、ひみつのおちゃかい

 うおお……これはきつかった。リアルでもMP切れ起こしそうな低調期なので余計辛い。
 これまで細々とした語られなかった、主人公の学生時代や友人Yのお話。なんですが、他の子供らより遅れて入学した主人公は周囲から浮きっぱなしで、その学生時代は厳しいスタートなのでした。
 リアルペインで読者の心をくじくノリが、AURAと同じ階層のロミオを感じさせる。
 こう、胸にパリパリのアルミホイルで包んだプラスチックを突っ込まれ、それを丹念に折り曲げ潰し割る音を延々聞かされ続けるような精神力掘削構造。
 まあそんな状況も、妖精さんの登場で乗り切っちゃうんですけどね!
 ただ、六巻での鳥人間大会のような派手に力業で乗り切るのではなく、静かにじんわりとした活躍だったのですが。というか、妖精さんの影からの助力でナニコレいい話、という回。
 主人公が友達を作れるようになってからは、お気楽なノリになって安心安心。巻き毛ちゃんとか禁書目録の黒子思いだすわあ。どんなトラウマ抱えてたんかしら。
 しかし小ネタの元ネタが分かるとクスリと出来るのも、この作品のいいところ。文化助手機ってまんま夏への扉(旧訳)やんけーw

妖精さんたちの、いちにちいちじかん

 いつの間にか発動していた妖精的アイテムの効力で、里が大変なことに! という、つまりいつも通りのシリーズに戻ってまいりました。
 今回はクスノキの里全体がゲーム世界になってしまってさあ大変……ん? グリードアイランド?
 グミが消える現象はすぐぷよぷよだと分かりましたけれど、建物消失がテトリスで、しかもその原理がペプチドを用いて(強引ながら)論理的に説明されてるバカさ加減がすがすがしい。タイムパラドッスに匹敵だね。
 序盤の視線ネタがガンパレでつい嬉しくなったり。
 ドラゴンがDの字で表現されてたのは何のゲームだっけな……。
 ふーどぷろせっさーはあれですよね、かみをも殺すチェーンソー。
 でも、描画レベル最高(10000ポリゴン)時の妖精さんたちが嫌すぎる。
 コンフィングメニュー奪い取るシーンも含め、漫画とかヴィジュアルで楽しみたいお話でした。そういえば漫画化されましたが、未見ですけど評判はいかほどかな?
 さー早く六巻も消化するぞー。

一橋鶫『魔術師たちの言想遊戯I』

魔術師たちの言想遊戯I (ファミ通文庫)

魔術師たちの言想遊戯I (ファミ通文庫)

※ネタバレあり注意。
 構想中のネタとかぶっていることを知り、慌てて手を出したえんため大賞特別賞作品。とりあえずえんために出すのは控えた方が良さそうだが、別にカブリと言うほどカブリでもなくて一安心。
 話としてはそれなりに完成度高くて、一定の技量を持っていることを伺わせてくれる出来でした。ただ、作者とはどうも感性が合わなくて、イラッとかカチンと来る箇所多かったので、続編はもういいや。
 最初「敵愾心を持って読んでいるからそう感じるのかな?」と自分でも思ったんですが、似たような経緯で読み始めた『戦う司書』シリーズは、そのままはまってシリーズ全部集めたから、やっぱ違うなあと。
 後書きが何だかうざったく、ちりばめられたパロネタに萎え、キャラに魅力を感じず……と何か色々マイナス要因が多かったです。何か、合わない。
 他にも、魔術師を統括する(一応役所の)『言霊会』という組織が敵として出てくるんですが、こいつらがどうにも「言霊マフィア」としたほうが良いような暴力的組織なのが引っかかった。
 言霊の力で魔術を使う言想魔術。それは当然、言葉を扱うのがうまい人ほど得意なわけですが……そのエキスパートぞろいの言霊会が、やけに視野狭窄
 言想装具(マジックアイテム)の実験で何人もモルモットにしたり、在野の術師を狩り立てたり、何か日本とは思えぬ無法地帯に生きてるっぷりが酷い。
 ラノベの敵だからそんなもんかもしれないけれど、言霊というものをかかげておいてそれはどうだろう? という薄っぺらさを感じる。
 まあ深いテーマなのであまり突っ込まず、ラノベ的エンタメ性あるバトル方面へ突き進んだのはいい判断とも言えますが。でも言霊会にももうちょっと言い分というか哲学とか信念とかあるいは穏健派の存在があってもいいと思った。
 まあこのへん、近親憎悪みたいなのもあるのかもしれない、個人的に。
 プロローグが「拷問をやめることと引き換えに、暗殺を命じる男と命じられた男」なんですが、この出だしから何かうっと思うものがあった。でも、逆に俺はこういうプロローグとか場面を書いちゃう人間だよなあっていう点で。


 薄っぺらいと特に思ったのはキャラクター、中でも主人公ですね。
 カトリはヒロインの魔法によってオリジナルの「弓原」から別人の「久実原」に変えられてしまうのですが、これが冒頭から明らかになっているもんだから、久実原がどうも活きたキャラとして感じにくい。
 読者は「魔法でぽいと生み出された」非人間的なものと知っているんだから。魔法ですから、全然普通の人間のようには振る舞うんですけどねー。軽薄すぎるし、ヒロイン口説くにしても言いようが何か、あまりよろしくない。
 弓原の境遇とかは断章にでも挟んで、終盤まで隠しておいたほうがサプライズだったんじゃないかなあ(同じ事感想で書いている人をなんぼか見たが、本当になぜこんな判断にしたのか悩ましい)。
 ……なんかソーマとマリー(ガンダム00)思い出した。あれはかなり話に都合良く作られた二重人格だったもんです。あそこまで酷くはないけどさ。
 ヒロインも、何か百ページ過ぎるまで登場しなかったりしたのはまあ目を瞑るとしても、終盤以外目をみはるような魅力がなかった。
 イラストでのデザインはとても素晴らしくて、彼女の魅力はおおかたイラストで形成されている気がする(逆に主人公のイラストはどうも似合わない気がしてならない。久実原でも弓原でも)。
 このヒロイン、設定は特殊なんだけれど言動は超普通なんですよね。取り立てて変わったこと、ひねったことなんて言わないんです。ベタベタだな〜って印象。
 時たま幼い面を覗かせるから、そこを強化しても良かったんじゃないでしょうか。需要あるだろうし(ロリは一人いるけれど元は成人男性だったらしいしな)。
 あと、基本的に何もしない。主人公は彼女に救われたって思っているけれど、それは彼がそう勝手に思っちゃっているだけで、ヒロインは救ったつもりも助ける気も別になく、それどころか自分が何かしたなんて相手から言われるまで全く知らないんです。
 戦闘シーンは多いけれど戦うことはないし、主人公と会話があるくらいか。その会話も前述のように取り立てておっと思うイベントは特にない(アルバム見ていた時の件とかぐらいか)。
 基本的に「守られっぱなしのお姫様」なだけで、無個性なんですよ。最後らへんでカトリを墓地へ案内して、そこからとてもヒロインパワーだったし、ラストのデレは実に良いんですけれどね。
 もうちょっと過程のシーンはどうにかならなかったのか……そもそも彼女、こいつに惚れていいのかなあ、とも思います。何か久実原が彼女に惚れた理由がピンとこない(外見しか見てなかったように思える)のに、その久実原に延々ラブコールされ続け、対人経験少ない(生後一年)こともあって洗脳されたようにしか見えない。
 現実でも、人間、自分を好き好き言う相手に惚れることはよくあるし、それはそれで幸せなのかもしれんけどね。
 あとはまあ、ダンディーロリの店長と、しゃべる犬チャムさんが良かったぐらいのものか。説子は「無口な回復要員」ぐらいでいまいち印象薄い……。
 浮舟さんは怖いし嫌いなタイプですねー。一応「巻き込まれた被害者」だった主人公にあの態度はねーよなと引いてたらすぐ死んで、ああ死に要員だから嫌な奴だったんだなと思ったぐらい。

 良かった点としては、何と言っても言想魔術の設定ですね。
 魔術師の派閥が「語族」と表現されている点や、言想魔術史の視点としての歴史講座とか。歴史上の著名人が実は魔法使いだったり、洋の東西を問わず貴族(おそらくは識字階級)がイコール魔術師だったりというのが。
 言葉の乱れは魔術の乱れ、だから我々は日本語圏を死守する! っていう大義名分が一応言霊会にはあるんですが、「なんでそれを守らなきゃいけないの?」って首を傾げるのは残念な点でしたが。日本語が乱れたら日本語魔術がどう弱体化するのか、特に詳細説明されてないし……。
 つーか黒人侍のオルト先生は、言霊会所属だけど元の語族との繋がりはどうなってんの? 寝返り?
 非日常世界での暗闘と、日常世界での営みが密接に関連しているというこの設定には、一般人への選挙活動が重要であったPBM『ソング・オブ・トリニティ』ぽくて良かったけどw
 各キャラクターの言想魔術も、固有の特徴が異能バトルとしての側面を強めていて面白いです。検閲による呪文無効化、同音異義語、論理の糸による逆接と順接、などなど……。
 ただ、異能物ならではの相性がどうのとか応用性にはいまいち欠けていたかも。検閲主義の凜先生は、あの盲目さがいかにも言霊会の刺客という「都合の良い悪役」っぷりを際だたせていましたが……。
 オルト先生もそうだし、言霊会は全般的に安っぽい悪役なんですよねえ。出てくるのが管理官しかいないから、組織の下っ端って相当弱いっつうか、組織自体大した規模じゃなさそうって印象もあるし。
 それと主人公の「言霊の弾丸」は、夜桜四重奏の弾弾弾弾(ダダダダーッ)! にしか見えないので困る。ヒロイン救う手立てにはなったけれど、そのまんま過ぎてやばくないですかね。余談だが、殻の中に言葉が届いていたってことは、一応これって連絡手段にも出来るのか。
 夜桜四重奏の名前を出したところで、ちょいとパロネタにも触れてみる。
 パロディに善悪無し、ただ巧拙あるのみとは言ったもので、パロるのは悪い良いじゃなくて、面白いかどうかが大事だと思うのですよ。この作品のパロは面白くないからよろしくねえ。
 重要な場面のやり取りですら「だが断る」とかってパロや引用で返してて、萎えてしまうのですね。もうちょっと場面選んでくれよと。リスペクトよりもウケるっしょ? な作者の意図を感じるというか。
 このパロでも特に致命的と思うのが環ちゃんの存在。スケッチブックを使った筆談を行う、主人公の同級生(♀)なんですが……。
 主人公が「どこぞの美少女ゲームのキャラクターを真似したいお年頃」と言ったり、作者が後書きでKyeのゲームに影響を受けたと明言していたり、パロよりもオマージュとして受け取って欲しいキャラのようですが……。
 こっちとしてはオマージュしてどうすんだ? という所でしょうか。これってあれだよな〜……と冷めた気分で見てしまう。筆談には設定上の必要性はあったけど、あのキャラをそんなに彷彿させる必要あんの? ああ作者がやりたかっただけなんだね……。
 筆談キャラってだけなら、電撃文庫のみーまーに「伏見柚々」というキャラもいるんですけどねえ(あれのストック制度もそれはそれで理解に苦しんだけど)。

 気に入らない箇所を挙げていったらずいぶん長くなってしまった……。
 主人公が二重人格になってしまうというややこしい設定と状況を捌ききって、ちゃんと話を完結させていることは凄いし、設定はやはり好きです。
 それに対して、敵組織や人物の作り込みに甘さが目立つかなあという。せめて主人公(久実原だけでも)もっと素直に好感が持てる奴だったら良かったのかも。
 あと肝心な点として、言霊をメインにしてるわりに、「言葉の力」迫力感が物足りなかった。ただの暴力装置としてしか機能しておらず、このへんは作者の限界を感じる。上で言ったことと矛盾しているようだが、そっちは設定の煩雑さとしての話と思ってもらえれば。
 主人公がヒロイン説得するのに三ページずっと台詞を言ったりするけれど、ただ長口上すりゃいいってもんでもないと思うんだよねえ……。というか店長の講釈を丸引用せんでもよかったんでは。
 戦闘に参加しないヒロインだからこそ、彼女ともっと「言葉」のやり取りをして欲しかったんだけどな。パロネタの多さも、言葉の力を軽んじて写るから嫌なのよ。

更新停滞中。

 今更かよ! という自明な突っ込みは受け付けない。座布団没収!
 昨年夏からはじめたアットゲームズ(セルフィ)のほうで雑記書いちゃうのと、セルフィ開始と同時期からストレスたまってダウナーなのとで、精神的に余裕が作れません。
 三月に少し休みもらったらまた溜まっていたレビューとかアップしたいと思います。zzz……

映画『RED』観てきました。

※この日記はアットゲームズからの転載です。
 昨日のことですが。タイトルは「超危険な年金生活者」の略だそうで。
 主人公はブルース・ウィリス(モーゼス)。朝は六時きっかりに起床し、サンドバッグをボスボス殴る。この時点で「このジイさん、実は強いんだぜ」という布石は盤石です。
 しかしこの俳優さんも、ご老体の役が回る歳になったんか……五十代くらいじゃなかったっけ?
 前に観たサロゲートじゃ、自分のサロゲート(身代わりロボット)の役をするのに、かなり厚化粧で若作りしてましたけど。
 当然襲撃とかあってそれを返り討ちにしちゃうんですが、襲撃者第一陣はともかく、第二陣がバカすぎて「ああ、この映画はこういうおバカなアクション映画なのだな」ということが理解出来ます。
 だってねえ、いかにも特殊部隊ーって面々が家一軒取り囲んでおいて、庭のあたりからもう立射のまま包囲を狭めていくんですよ!
 しかもでかいマシンガンでポーチに薬莢ばらまきまくっているし。お前ら後始末とか考えないのか。異界福祉公社の吸血鬼退治だってもうちょっとマシだわ!w
「ゴキブリ退治のため家に爆弾を仕掛ける」という喩えの実例を見たような気がいたしました。
 ただ、退屈することはなかったんだけれど、思ったよりバカさがはっちゃけてないのは残念だったかな。物足りない。
 激突されて回転する車から降りて、超スムーズに立射姿勢に移行するシーンはありえなさすぎて笑えましたけど。
 CMで出ていたチーム・オイボレの四人が全員集合するまで結構かかったし、出番が尻すぼみなキャラもいた。
 マーヴィンというイカれたパラノイアのジイさんが面白くて、「十一年間LSD漬けにされていた」ため、色々行動が危ないです。
 最初は「なんだよもうこのジジイ」って感じでしたが、前述の経歴を聞くと「それにしてはマトモ」という言葉に頷きたくなりますね。的外れな行動していると思ったらそうでもなかったり。
ブタちゃんはてっきり精神安定剤と思ったが、あのまま捨てていったんですね……。
 そのマーヴィンですが、終盤に副大統領とっちめにいくべ! って段になると、途端に台詞がほとんど無くなります。CMにあった、体に爆弾巻いて走るシーンとか、色々仕事はしてるんですが、すっかり静かになっちゃってまあ。
 ジョーは……てっきり実は●●●●! をもう一回やるのかと思ったらそうでもなかったり。事件が終息したくだりで、誰も特に言及しなかったよね……? カットされているのかな。ひょっこり出てくるほうが、この映画のノリ的にらしい気がするんだけど。
 そういえばジョーが一番アクション的活躍は少なかった気がする。大臣に変装した時は、衣装がうさんくさすぎて笑いましたが。
 ヴィクトリアおばあちゃんはいい女感が満帆で素敵でした。彼女のロマンスの話題がミスリード含みでクスリとする。胸に三発とか激しい愛だな。イヴァンはロシアンマフィアのちび(いや大使館にいるからマフィアじゃないだろうけど)だと思ったら、結構いい男でした。お幸せに。
 ロシア大使館が出てきた時、ちょっとバラライカ姉を期待したんだぜ……(作品が違う)。
 主人公の年金係で、いつも電話で話してたヒロインが意外と肝座ってて驚きです。最初は誘拐まがいのことされてギャーギャーわめいていましたが、途中からハイになって感覚が麻痺してたような。
 この映画「よぼよぼのご老体なめんなよ、俺たち超強いんだぜ! 若造はすっこんでな!」ってノリの映画だと思いましたが、そういう匂いは最初の方だけだったかな……。
 ジョーなんか「80歳」「肝臓がん」「老人介護施設暮らし」の三連コンボでいかにも老人ーってキャラだったんですが、その分おとなしかった気がします。
 そのへん予想は外れたけど、老人の主人公に対し、若造のライバルキャラとして、クーパー君は役割全うしてた感じかな。ラストの決断はあれでいいのか少し迷うけれど、まあ結果オーライなんだろう。
 家族愛が強かったり、生真面目そうなしかめっつらだったり、いい感じの敵でした。
 やたら俳優陣豪華に揃えてたり、色々大味だったりするのは、観てないけどエクスペンダブルズを思い出させる。
 爆笑するほどでもないけれど、吹き出したり、クスクス出来る楽しい映画でした。あのエンドマークと、その後のエピローグ(荷台の女装したジイさんを乗せつつ、荷車を押して地雷と兵隊から逃げる図)も不意打ちされて笑っちゃいましたよ。

神林長平『敵は海賊・海賊版』

敵は海賊・海賊版 (ハヤカワ文庫 JA 178)

敵は海賊・海賊版 (ハヤカワ文庫 JA 178)

 むむむ、コイツは面白い。
 今更な話だけれど、こりゃ中高生時代に図書室で出会って、うぉーゲロ面白れー! とか叫びつつ神林長平にはまり、むさぼるように読みまくるたぐいの作品だ。ていうかそうなりたかった。
 まず冒頭の一行からして凄い。これはこういう雰囲気のお話ですよ、ということが一瞬で理解出来る素晴らしい書き出しだ。是非見習いたいものである。こんなのを初期作品で書いちゃうんだからさすが。
 でもってキャラクターも活き活きしている。好みとしては伝説の海賊・匋冥(ヨウメイ)よりも、海賊課刑事のらてる&アプロ、それにラジェンドラの三人組が好きですね。
 アプロが猫型宇宙人ってのもそうですが、食い意地が張りまくりだったり、ラテルやラジェンドラといつも口げんかしている様が楽しくてならない。宮廷の晩餐美味しそー。
 ジャンルとしては古き良きスペースオペラで、何だか絵柄が九十年代アニメで脳内再生されてしまう。
 そして内容も奇想天外。まず、海賊・匋冥にランサス星系の宮廷女官が行方不明の王女を極秘に捜してくれとやってくる。それを引き受けた匋冥を海賊課刑事が追う、と王道っぽい導入だったのですが……。
 天使と魔鬼なんてものが出てきてありゃりゃ、こいつはSFファンタジーなのかと面食らっているうちに、並行世界に飛んじゃったり、登場人物がそれぞれ二人に増えたりしてしまう。その上ラテルには突然「娘」が出来ちゃって……。何とも冒険的! もちろん王宮の陰謀なんてのも絡んできて、最後までどうなるか分かりません。
 しかしメイシア、可哀想に……。
 クラーラといい、神林さんは猫好きなのかな? だったらちょっと嬉しい。
 ところでCAWシステム、あれってもしかして……。


 確か図書館にシリーズがずらっとあったと思うので、おいおい続きも追いかけていきたいと思います。

三友恒平『とても透明でやさしいしあわせ』

とても透明でやさしいしあわせ (IKKI COMIX rare 7)

とても透明でやさしいしあわせ (IKKI COMIX rare 7)

 以前日記で書いた、『必要とされなかった話』著者の短編集。
 思ったより絵柄の変遷が大きかったが、話としてはあまり面白くなかった。もっとこう、痛々しくて激しいのを期待していたんだけれど。
 必要とされなかった〜はもうちょっとぐっと来る場面がいくつかあったんだけれど、この短編集は現在との実力差をかんがみても、いまいちな物ばかりだった。たぶんこっちから読んでいたら、単行本にも手を出さなかっただろう。
 単行本と短編集を合わせて読むと、結論としてこの作者はもういいや、という感じ。まあ次があったらちょっと手にとって見るかもしれないけれど……煽りとかちょっと褒めすぎな気がする。

誰かのための自殺をしよう

 タイトルが中二感満載だったが、ネタを知るとどうということのない発想であった。ついでにギャグ作品。
 単発のお笑いとしてはまあいいかというところで、主人公とエセミュージシャン志望娘がこの先も二人でだらだらしていくといいなあと思う。

もりびと

 この短編集では一番好きなメルヘン。もりびとがヤバイ存在なのは予想していたが、かあちゃんが結構思い切ったことしてくれたな。ラストは少年が少女と一緒に木になるかと思ったが、そうでもなくて残念。
 ネーミングセンスがなぜか戦う司書風味で良い。

雨と風の物語

 メルヘン二本目。たぶん一番画力がひどい。
 北風があんな怖い顔デザインなのはなぜだろう……。最後いい話っぽくまとめてはいるが、どうということもない、雰囲気だけの漫画という感じであまり面白くはない。画力の悪さも萎えてくるし。

しぬまで

 一本目で想像した中二っぽい話そのもの。
 世界には主人公と少女しかおらず、他の人間がどれだけ傷つこうが死のうが知ったことじゃない。んで主人公は家族の死と必要とされない自分とかそんな感じの不幸を背負ってて、うわー……とゲンナリした。
 こういうのに共感してぐっと来ちゃう年代が自分にもあったんだろうなとは思うが、そこを差し引いてもあまり上手くはない。
 主人公がアレ過ぎて、そのうち彼女が少年を拒絶する展開になるかと思ったがそうでもなく。もうちょっとまともな神経持っているかと思ったんだが。
 こういう他者を無視して狭い世界だけで完結する話、自体は必要なこともあるし、別に否定はしないのだけれど。この二人がこうなってしまうまでの痛々しさとか、明るい諦念だったり絶望感だったり恨み節だったりがどうも物足りない。村に火を付けに行こうとする道雄のほうがまだ筋が通る。
 ラストは明るく締めているが、この二人って実はもう死んでいるんじゃないかと妄想してしまうけれど。ガス爆発起こしておいてあれがちょっとあり得ない気が。

ぼくらの町のゲーム屋さん!

 おまけ漫画。作者の実体験を元にしたエッセイなのだろうか?
 ぶっちゃけ短編集で一番面白かった。これの単行本があったら手を出してしまうかもしれない。