ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』III

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

 相変わらずルシウスさんはブレねぇな! な三巻。テルマエの六割は彼のリアクション芸で出来ている。
 この巻に至ってはエピソードの長期化が顕著になり、一つのスリップに数話がかけられるようになりました。ローマの歴史も動いているようで、その背景自体がストーリーとして確立されつつあるようです。
 でもルシウスは変わらない! 千円札の野口英世を「貨幣に描かれていたから」と平たい顔族の王だと思ったり、景品のぬいぐるみを神と言い切ったり、そら山賊だって圧倒されるわ!
 お陰様で、平たい顔族との交流も長引くようになってしまいました。温泉を出て街を出歩いたり、無茶な注文をぶつけられた若き建築家(土木社員だっけ?)と一晩中設計を練ったり……。
 しかし、本当に水辺でしかスリップしない体質なんですねえこの人。
 アエリウス(バナナの芽を潰した色男)は、すっかりルシウスにトラブル持ち込む役に。そのうち「ベッドが欲しい……女つきで無くていいから……」なんてこと言い出しそうだ。
 その一方、若き建築技師とのやり取りでは純粋に「建築家ルシウス」が見られたのも良い感じです。彼はタイムスリップでアイデアを得て有名になった人だから、彼が自前の技術や知識を揮っているシーンっていまいち少なかったんですよね(イントロダクションとかで風呂の仕事しているシーンはあったけど)。あらためて、ルシウスの風呂建築にかける情熱は凄い。
 ……そういえば仕事に熱中しすぎて奥さんに逃げられたけど、再婚のフラグはあるのかなあ。マルクスが紹介してやろか〜とか言ってましたし。よく考えると仕事一筋すぎて、私生活の幸せ度が足りない気がしますよこの人。
 ラストはどんな落ちになるのかいまだ予想がつかないこの作品、次回も楽しみです。