グラント・モリソン, デイブ・マッキーン,『バットマン:アーカム・アサイラム 完全版』
私が病気だと? 鏡を見て物を言え! 貴様はどうなんだ
バットマン:アーカム・アサイラム 完全版 (ShoPro Books)
- 作者: グラント・モリソン,デイブ・マッキーン,高木亮,秋友克也,押野素子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2010/09/30
- メディア: 単行本
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話は正直「それでいいの?」という感じではあるが、台詞回しや絵の迫力で、読んでて鬱になりそうな強烈な力があった。
アーカム・アサイラムはバットマンの主要な舞台であるゴッサムの精神病院。精神を病んだ犯罪者が収容されているので、おなじみの面々が顔を出してくれる。
トゥーフェイスが出っぱなから失禁しているのだが、映画ダークナイトの彼が念頭にあるので、見てて何か辛いものが……カードを捨てる所はちょっと嬉しくなりましたけど。
この病院が出来るまでの歴史と、ジョーカーによる人質事件解決に乗り込んだバットマン、二つの時系列が交互に語られていく構成となっているが、どちらの物語も人を狂気に引きずり込もうとするような、陰鬱さと吸引力に満ちている。調子が悪いときに読まない方がいいだろう。
というか実際ちょっと気分が……。
税別2600円のほとんどはこの「絵」を見るだけでほとんど元は取れた感じ。フルカラーで、もはや「漫画」の絵とは言い難い作品が出版されるとは、アメコミとは凄い世界なのだなあ。
それなりに写実的な登場人物の中、バットマンは専用の黒フキダシと影のような姿、ジョーカーは怪物のような姿(表紙にもなってる)で描かれ、特異さが強調されている。
ジョーカーの台詞はフキダシすら無く、画面に直接金釘流の文字で書かれるので、読みづらいのが難点か……。