大今良時, 冲方丁『マルドゥック・スクランブル』2

マルドゥック・スクランブル(2) (講談社コミックス)

マルドゥック・スクランブル(2) (講談社コミックス)

 うーん何だろう……漫画版一巻は「すごく面白い」で、二巻なってそれが「面白い」にダウンしたなーという妙なもやもや感。
 原作者は凄く褒めているし、この漫画家さんは十代女性ということで、凄い技量の持ち主なのは分かります。原作をだいぶ変えているけれど、単体でも面白く成立させている。
 けれど何が不満なのかといえば……。
 例えば、今回は冒頭からvsボイルド戦(第一ラウンド)なんですが、ボイルドの「ウフコックは俺の物(道具)だ」っていう主張がストレートすぎ、繰り返しすぎに感じたのがひとつ。
 んで畜産業者さんたちが出るまでの、バロットとボイルド、ウフコックの葛藤、などなどのくだりがどうも「しっくりこない」のが主な原因かなあ。
 ウフコックがああいう夢見るのって意外というか、それと真逆っぽい所にいたのがスクランブルの彼だったという印象なんですよね。
 バロットのウフコックに対する気持ちの変化も、あれ? っとなる。原作よりストレートに「愛されたり」って言っちゃったりしてるためか。
 逆に、バロットの過去編は良い感じです。ショーン、なるほど、らしいデザインだ。でも原作ではボコボコにしただけで射殺はしてなかったような。俺の記憶違いだろうか。
 ヴェロシティでショーンがやってたことを思うと、あそこまでして守りたかったものがとっくに壊れてたって、そりゃなあ……と同情を禁じ得ない。
 安心バロットは怖いねしかし。その後拾ってくれたお店、原作だともっといい人たちの印象だから、すこしこれは残念かな。バロットの殻についての解説が入ったのはいいとして。
 あと気になった箇所としては、絵の変化。全体としては同じ絵なんだけれど、線かな。薄く細く軽くなった気がする。特にドクターの造形が前より適当臭く見えるのはなぜだろう。
 前巻にあった線の太さとか絵の泥臭さ、木目調が出す温度にも似た味わいが、ごそっと脱臭されてしまったような残念さを感じる。一巻の絵、好きだったんだけどなあ。
 まあ若いしメキメキ変化しているから、三巻でどうなるか分かりませんけれど。
 文句言いまくりだけどこれも好きだからというか、今の所切っちゃう選択肢はないんだしねw
 二巻の白眉はやはり畜産業者登場!
 デブ、チビ、優男、ワイルド男、モンスター、と各種取りそろえたデザインが良い。レアのデザインとか好きだ。
 ミディは原作だと印象薄かったけど、テンション高いしゃべりとかで何だか好きになってしまったwそいうえば指に執着する理由は漫画版オリジナルだっけ?
 しかし花を咲かせた水の正体はなんだろう……ただの手品?
 あとシェルの部下の女性、結構可愛かったなあ。防護服見て「俺も欲しい」と言うシェルもちょっち可愛いと思ったり。ハチソン・ナイフの説明も巧いですね。
 ……連中が食べたステーキの肉、何だったんだろう。
 フレッシュが「やる夫」と呼ばれた意味、把握しました。触る? がわざわざ二度出てくる所に愛嬌を感じる。全身の脂身がほぼ乳脂肪って斬新なデブキャラかもしれん。
 プッシーハンドさんはわりとストレートかつあっさり描写されたことにびっくりしました。つーかあの人はどういうトラウマでああなったんだろう……。
 連載のほうではバロットの母親に関してとかまた色々エピソードが出てるようで、先が楽しみです。