諫山創『進撃の巨人』2
死を覚悟してなかったわけじゃない…でも…
一体 何のために死ぬんだ…
- 作者: 諫山創
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/16
- メディア: コミック
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慣れてしまったのかパワーダウンか(たぶん前者)、前回ほど圧倒的絶望感は受けませんでしたが、それでも凄絶なまでの「迫力」の描き出し方は、一等頭抜けている。
今は画力が残念な感じだけど、この輝きに技術が追いついたらどれほど化けるのか。あるいはなまくらになるのか。本作が終わった後も目が離せない作家になると思う。
さて、明かされるミカサの過去、エレンへの思い、自らを責めながらも立ち上がるアルミンなど、今回も見所満点であります。
嬉ションしねえようフンドシ締めて読むべし。
今回の話で作品のテーマとして浮上してきた「弱肉強食」「生存競争」。一方で残酷な世界と評しつつも、「親切なぐらい分かりやすい」とするあたりに、この作品のスタンスが見えます。
それは過去のミカサ覚醒シーンにも現れていました。
ケダモノに蹂躙された彼女とその家族、でもその光景は、蝶を食うカマキリや、鳥を狩ってきた父のそれと同じものだとミカサは認めます。
その思考回路もそうですが、一方の幼少エレンも見事な「異常性」の持ち主。これから友達になるかもしらない女の子のため、危険な大人達を殺しにかかるという。
進撃の巨人はバトル漫画と言うより、サバイバルとか戦争物とか、もっと闘争的な話なのだと思う。
しかしミカサもエレンも、何がどうしてこう育ったのかなあ。まあエレンはあの親父(と注射)が明らかに怪しいし、ミカサも何か特殊な一族の末裔だという話が出てきましたが。
あと少々ネタバレになりますが、今回は巨人を殺す巨人が登場! そいつの正体は――ここではナイショにしときましょうか。でも何で裸体じゃないんだよ。
アンチ巨人巨人は髪が長かったりして、他よりも格好良い気味に描いてますね。まあ○○○だし当然か? ファイティングポーズとかもいい。
あと巨人に連続踏みかますシーン、ミカサの過去回想のあれとも重なるなあ……。
巨人と人類の戦力差が圧倒的すぎるんで、これぐらいのハンデは欲しい所でやんす。これで最初から人類側の巨人vs人類の天敵巨人のバトルだったら普通の少年漫画ですが。
今回は補給所が襲われて撤退できなかったりと、兵站に関する描写も盛り込まれていて良い。まあ前巻からして装備のネジ締めたりガス補給してたり、ちょくちょく細かい演出ありましたが。
ミカサの「一本なまくらに」はそうした補給の大切さと同時に、彼女の優秀さも見せる良いシーンでした。その前の、巨人を切り伏せるミカサもカッコイイですしね。
とにかくこの漫画、ほんの数コマ数コマの演出がとても良いです。
笑顔で自殺の道具を用意しちゃう少年とか、襲われている仲間を見捨てる選択をして「俺の指示で何人死んだ」と苦しんだりとか……。作者、良い意味で意地が悪い。
ただ、残念に感じたのは商人とのやり取り。商品の運び出しを優先して住民の避難を阻害していたんですが、ミカサの一言で黙ってしまった。
あれはミカサらの「雇い主」なんてもう死んじゃったからお前がどうこう言っても意味ねーんだよ、ってことですかねえ。他は良いけれどここだけ少しひっかかりました。
今回もおまけページは充実していて、壁のある所って結構広かったんだなー、へーあの超大型巨人マジでけえなあと感心しながら見てたんですが、最後の最後でw
何か一瞬マジかと思ってしまいましたよ……心臓に悪い。打ち切りNO!
三巻は十二月ですってよ。待ち遠しいぃ!