高本ヨネコ『恋忍(こいしのぶ)』1

 13年前は子宮内ニートだったような中坊が
 先生の言うことにいちいち逆らってんじゃないわよ…

恋忍(1) (ワイドKC 週刊少年マガジン)

恋忍(1) (ワイドKC 週刊少年マガジン)

 これが初単行本だという著者の、すがすがしき変態讃美漫画。
 それでいて例の条例(結局否決されそうだけど)に対応するがごとく、主人公はロリータにだけは萌えられないという弱点あり。
 人知を超えた変態紳士中学生のもとに、落ちこぼれくのいちが押しかけ妹としてやってきた……という粗筋のもと、濃いキャラどもがネットスラング混じりのギャグを繰り広げます。
 主人公の名前が栗乃花薫という時点からしてアレですが、三話ぐらいまでは押しかけてきたヒロインに振り回される、フツーの男子中学生だったんですよね……。
 引用した部分はヒロインの台詞で、この後は主人公から「13年前はこの世に存在すらしてないだろうが!!」と突っ込まれます。見た目は可愛いけどとにかく性格が悪い。
 悪どいことをする訳ではありませんが、主人公を籠絡してくのいち試験を突破するべく、超作為的かつ古臭い手段でアタックをしかけます。後半ちょっとヒロインの出番が減ってくるけど。
 周囲のキャラもまた濃い面々。存在自体がおちんちんランドの女装少年(梨花ちゃま似*1)、「汚物は消毒よ」と小学生の集めたエロ本を焼却するママ、主人公を尊敬するリーゼントヤンキーエロ坊や、三十路女装男のくのいち頭領*2などなど。
 目次ページの「やらないかガイ」に始まり、「なん…だと…」は序の口、「常識的に考えて」「出来る…! 出来るのだ…!!」や孤独のグルメネタ、あと元ネタの分からなかった「この男……圧倒的紳士!」などパロ満載です。
 Mixiアプリサンシャイン牧場」まであんなパロにされようとは……。あと十二宮忍者ってまんま聖闘士……+ローゼンメイデンですかね。
 が、この作品はパロネタだけではなく、作者独自のセンスも抜きん出ている。
 おちんちんが嫁入り道具、水中戦(お風呂イベント)、恵方ヌキ、メタボリックちんころーる……どういう読書・人生経験がこのような常軌を逸した言語を炸裂させるのか。
 ただ、前述のパロっぷりや、直接的な描写こそないもののエロ漫画のそれを思わせる雰囲気やノリなど、好き嫌いが別れる内容というところ。
 ただ、ヒロインのドットキャラや、キャラ紹介ページ、連載時はタイトルがあったスペースを利用して各話解説をするなど、小ネタにこだわった作りは非常に好み。
 基本は一話完結だったんですが、次回からは十二宮忍者が主人公籠絡のために仕掛けてくる長編展開になりそうです。しばらく注目しておこう。

*1:というか巫女コスプレの絵があったから確実にそれ意識してたよな。

*2:見苦しくないのが幸いだが、男なのにくのいち頭領ってどういうこと。