パクリ騒動終結

 略称おかま、こと『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』がパクリ疑惑で回収・絶版へ。
 拾い上げ作品が売れに売れたと思ったら(電撃ではよくあることですが)*1パクリ騒動→絶版回収→ヤフーのニュースにと、随分でかく広がったもんです(電撃じゃなくてもあまり無いことです)。
 電撃文庫MAGAZINE Vol.14でも短編掲載予定だったのが取りやめになったとか。
 騒ぎになったのが先月二十五日ごろでしたが、二週間ほどの間をおいてとうとう公式で認められちゃいましたねえ。新刊情報からも削除されちゃったみたい。
 パクリ元の作品、バカテスこと『バカとテストと召喚獣』(ファミ通)はアニメ化も決まって好調のシリーズ。にちゃんのスレだと「文章が下手」とよく言われていたんですが、それが文章トレスされるとは妙なものです。
「電撃の編集や選考委員は気付かなかったのか」とか言われていましたが、とあるレビューサイトを見て「ラノベを多く読んでいるから、かえって気付かなかった」んじゃないかと思ったり。
 要はラノベを多く読んでいると、多少似ていてもラノベのテンションやノリという範疇で括って、個々の判別がつかないってことなんではないかと。
 バカテスは未読なんですが、立ち読みしたり限りではラノベでないと許されないスカスカ文体というやつでしたね。この「ラノベでないと許されない文体」って時点で、既に結構な範囲が括られているんではないかと。
 ただ面白いのは、おかまがバカ売れして、なおかつあちこちで面白いと大好評だったこと。
 文章トレスなんてせずに正攻法で挑めば良かったのに、なんでこういうことになっちゃったんだろう? 設定だけなら似てるとかパクリと言われる作品は数あれど、肉身の文体部分を剽窃する事例は本当に珍しい。むしろ史上初ってなぐらい。
 応募時からトレスしていたのか、編集の指示という陰謀論なのか。気になるっちゃ気になるんですが、やはり作者が何を思って書いてしまったのかが一番気になりますね。
 自分の場合、小説を書くのは文章考える楽しさってのがかなりのモチベーションでもあるんですけれど……。面白い話は書けるのに、文章は借りてくるってのは実に理解しがたい。
 非難とかじゃなく、ただただそれが不思議でなりませんでした。

追記

Togetter - まとめ「おかま騒動での見解の相違」
 関連であったので持ってきてみた。マルコフ連鎖って初めて聞いたわ。
 これ読んでみてから「そういや検証まとめ全部読んでなかったなあ」と思って改めて見てみると、うーん。トレスにしてはそんな独特な言い回しを使ってなかったのね。
 日本語で書かれた作品としては普通に出るんじゃって語彙とかがほとんどなんじゃ? ただ「言い訳させて」や「「第一回っ!」」なんかは引っかかる。
 でもラノベをたくさん読んでいるであろう編集さんとかが、これに気付かなかったっていうのが分かる気がした。ああしかし、ニュースだからって食い付いているだけじゃダメだなあ。
 とはいえ、騒動はもう決着がついて後の祭り。くだんの本はヤフオクで高騰中……っと。真偽のほどはさておいても、この作者さんににはまた日の目を見て欲しい。

*1:増刷含めて四万五千部。まさに異例のヒット新人。