久慈光久『鎧光赫赫』
なまじ何かに才を見つけると それ以外の生き方が出来なくなる
- 作者: 久慈光久
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/04/15
- メディア: コミック
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帯のアオリ『勝利無き戦いに赴く者たちのその矜持を その誉れを思い知るがいい豚共!』がやたらと挑戦的ですが、内容はさもありなん。
全体的に暗くドロっとしたムードが漂う「虐げられた者の怨念」を感じさせるストーリーが大半を占めています。力及ばず虐げられ辱められ、それでも生きながらえて抗い戦い出す……という。
そうした重さだけならまだ大歓迎なんですが、本書の収録作はどれもスッキリした終わりになっていない物が多いのがまた困りもの。「え、そこで終わっちゃうの!?」という締めくくり方が多く、話がシメられたような感じがしないんですね。表題作とか「お覚悟!」がラスト1ページなのは酷いぞw(表紙が本当のラストページと思えばいいんでしょうが)
話としては一応落ちているんですが、余韻を持たせる間もなくぶった切られる感じが多くモヤモヤしてしまう。ただでさえドロっと陰鬱なストーリーが多いのだから、ラストぐらいスッキリさせて欲しいものです。
『狼の口』はバトル描写少ないから、アクションたっぷりのこっちから読んだ方がこの作者は気に入るかもよ――というレビューを読んで手を出してみましたが、締め方がこれだと『狼の口』に手を出すのも躊躇しますね。
画力は高いしアクション描写も凄い、ストーリーもきちんとしている。でも最後の最後で惜しい、という。
特に『雷電特攻』という天狗娘の話はトップクラスで歯がゆい作品。というかこれはちょっと話として終わり切れていないのでは? 弾丸餓鬼(タマガキ)は三本くらい載っていたんで、雷電もあと二回ぐらい続きが出ないものか。
かと思いきや、Web連載された『エマ』応援漫画『舞子の部屋』という作品がずらっと収録されており、空気の違いにズッコケそうでもありましたが。ずっとああいう話読んだ後に食い合わせ悪いなあもうw
まーその後ラピッドファイア(護身術を習うもあえなくレイプされた女性が、新たに銃を習う話)と、表題作が載って持ち直しますけど。
それにしてもカバー下が中々渋いデザインで良い。