サロゲートとか

 うちの弟一号は六年ほど前(当時は学生)、中華飯店でバイトをしていたのですが、「あそこは美味しいから」と常日頃力説していた奴に連れられてご飯を食べてきました。どの料理もお値段四桁がデフォ、でも弟の奢り!
 ちょっと高いお店だけれど、確かに美味しかったです。エビのてんぷらとか、ぷりっ! とした食感が凄い。
 でも一番驚いたのは、昔八ヶ月ほどバイトしただけだというのに「元従業員だから」とお店がオマケしてくれたこと。
 あらかた料理を食べ終えて「デザート何頼もうかなー」と考えていたら、杏仁豆腐と胡麻団子(弟のお薦め)が運ばれてきました。オマケなので杏仁豆腐はサクランボや受け皿は無しでしたがそんなこと気にしない。
 団子は大きいのに中はまったく空洞がなく、餅も餡もギッシリで、何より外側の胡麻が香ばしくて堪りませんでした。
 気になるメニューが他にもあったから、また食べに行きたいなあ。


 さてそうやってお昼をたらふく食べた後は映画です。『サロゲート』観てきました。ブルース・ウィリスさすがに老けたなーと思うと同時に、ちょっと太ってきたような気がする。
 予告でやっていたシャーロック・ホームズがただのアクションスターになってて笑った。
 人間の身代わりをするロボット(サロゲート)が普及し、人々はロボを遠隔操作する未来が舞台。名前はユニーコドとかの「代用」でっか。ネットやMMOが普及した今の時代を感じさせますねー*1。コミックが原作だそうですが。
 サロゲートには安全装置がついているので、サロゲートが損傷しても持ち主(オペレーター)は無傷。……そのはずなのに、サロゲート破壊によって人が死んだ! というのがことの発端。
 ……見てると「安全装置」を使わないと、サロゲートからダメージフィードバックがあるように思えたんですがどうなんでしょう。なんかサロゲート停止させるプログラムで?オペレーターを保護しても、しばらくサロは動いてたし。
 ちなみに軍用の兵士サロがマネキンみたいな非人間的フェイスなの怖い(軍の量産品らしくていいが)。警官サロは身体能力が超人に設定されているのか、主人公(刑事)やその相方のサロがぎゅんぎゅん障害物を飛び越えて走る様は爽快。
 えっ、実はこの人がサロゲート!? とか。逃げてー中の人が違うのよー! とか。ビックリさせられたりハラハラさせられる要素がてんこもりで楽しかったです。ピータースさんは不憫でしたね。
 そうしたビックリドッキリやアクションの他にも、きちんと練られたサスペンス部分が巧みで良かった作品。
 まあピータースさんが※された時点で「ほほうこれはあの人の仕業だな」とは分かるんですが。でも「あれ、じゃあ息子さんを殺したのは……?」となって、じゃあもう一人何かいるんだなーと考えながら作品世界に没頭できる。
 何のかんのでテーマ自体には親子や夫婦といった家族愛が据えられていて、そのへんが敵役ともきちんと対応していたのも良かった。最後、世界はメチャクチャになったけれど、ブルース・ウィリスは望みを手に入れられたのね。
 薬飲む伏線があったのはミスリードだったんでしょうか……(あれのおかげでブルース・ウィリスが後悔するエンドになるんじゃないかとビクビクしてた。自殺落ちにならなくてえがったぜ)。
 サロゲートを使わず、生身で活躍するプログラマのおっさんが「サロゲートを救え!」と叫ぶシーンが印象深い。
 CMでもやっていたサロの人たちが一斉に倒れるシーン、新しくスカパーで始まる「フラッシュフォワード」と被りそうなのはいいんだろうか(「全世界が一斉に意識喪失」という序章)。
「人間と同じ性能のロボットを作るとして、人体並の駆体は可能かもしれないけど、人間並のAIを作るのはかなり無理そうだよなあ」
 って常々思っていたのですが、サロゲートの世界は「人間同様に精巧なボディを、人間が動かす」ことである意味「人と同じアンドロイド」を生み出しちゃっているのが凄い。
 スクリーン上に現れるなんてことない町並みの中、そこに行き交うどう見ても人間でしかない人々が「あれは人間が動かしているけれど、実は全部ロボットなんだよ」ってのはSFカルチャーショックだと思う。
 ところでディックあまり読んでないけど、フィリップ・K・ディックぽい作品だなとも思いました。アンドロイドは〜が今の時代に書かれたらこんな話になっていたかもしれないっていう(適当言ってます……ディックファンに怒られそうですね)。

*1:ネカマ同様「サロカマ」もいたしね。そんな語は本編にないけど