ときた洸一『機動戦士ガンダムOOI』1
機動戦士ガンダムOOI (1) (角川コミックス・エース 97-17)
- 作者: ときた洸一
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/01/23
- メディア: コミック
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連載中に見てて所々微妙だった絵って、特に直ってないんですな(ブリュン狙撃シーンのレイヴとか)*1。
テレビ本編のセカンドシーズンと同時間軸。地球連邦政府下には相変わらず量子コンピューター・ヴェーダの作った人造人間・イノベイドが、自身を人間と信じたまま暮らしていた。
ハイスクールに通う真面目な学生、レイヴ・レチタティーヴォもその一人。
アニメ本編に登場したリボンズ・アルマークと同型の彼は、ある日を境にヴェーダによって『覚醒』させられ、「イノベイドの中から六人の仲間を選定せよ」というミッションを受ける。
大筋としてはこんな感じですが、そもそも下されたミッションの目的自体が不明だったり、00関連の他の外伝が色々と絡んできたり(シナリオ担当の千葉氏いわく「00外伝の総決算」だそうなので)、状況はどんどん錯綜し、複雑化していきます。
基本はサスペンスのノリでしたが、二巻ぐらいからはもっとMSがガンガン登場する展開になるかな?
#01
■連載時の感想
■00I 一話@今後の展開予想(当然まったく当たって無くて笑える)
メインキャラのレイヴ・ドクター・ハンターを登場させつつ、基本的な設定とルールについて説明に終始した回。ドクター・テリシラがレイヴと話しつつ、ちゃきちゃきと概要をまとめてくれるので理解しやすくなっています。
テリシラと出会う前の、自分が人間じゃないと知ってパニくっていたり悩んでいたりするレイヴも見たかった気もしますが。シナリオは容赦なく先へ先へと進んでいくのでした……。
(そういえば「使命」に「しれい」ってルビ振ってあった誤字が修正されてますね)
#02
■連載時の感想
一話終わりでラーズに撃たれたブリュンくんはテリシラの治療で一命を取り留めました。見つけた経緯も会う約束を取り付ける場面も一切省略されていたので、てっきりあのまま死ぬ脇役にしか見えなかったんですが……。
前回同様、テリシラとレイヴの会話でイノベイドの生態や今後の方針などについて説明されていきます。何というか情報量は多いけれど、あまりそれを感じさせない作りになっていますね。うまく圧縮されているというか。
ただ、そこに少々キャラのリアクションが追いつかない感じなのが残念。四話でレイヴは「イノベイドって何なんですか?」って多少なりとも感情をぶちまけますが、本当はこの回あたりで見たかったんですよね。
没になったおまけ四コマ(1月22日のときたブログ)によると、この時点でレイヴくんは休学しているっぽい。そのままヘルフィ邸に住み込むようになっているみたいですな。
#03
■連載時の感想
当初からテリシラにあった「国境無き医師団に所属していた」「師匠がいた」という設定が消化された回。これの関係で、若モレノファンががっぷり食い付きましたからねー。
しかし医師団ってボランティアだから、やってて儲かるようなものじゃないはずですよね?
若い頃から現在までそれに関わっていて、なおかつ結構な豪邸……。もしかしてテリシラの稼ぎは、医者としてのそれよりもメディアの出演料がでかいのかもしれない。
この話では変態医師クレーエ・リヒカイトがブリュンを誘拐したのでそれを救出する流れ。少年をさらって女装させるとかw しかもセットになっているゴス椅子が生命維持装置になっているらしいですし。サイズ違いで色んな衣装ありそう。
ブリュンを椅子ごと連れ帰る図は何度見てもシュール。これはときたさんが椅子を気に入ったからのようだし、椅子が生命維持装置になっているってのは後付でOK?
#04
■連載時の感想
登場当初から論理性を重んじるキャラだったテリシラですが、このへんからやたら楽観的な面が目立つようになってきました。イノベ狩りとかもうちょっと検討してもいいだろjk……。実際にイノベ狩りが起きない世界観っぽいから通るんでしょうが。
にしても、クレーエが「不老のナノマシンを持つイノベの血を人間に与えれば、人間も不老不死に!」と言い出した時は「んなわけねーだろw」とゲラゲラ笑っていたんですが、マジでそういう設定らしくて連載当時はぶったまげた物です。
え……そんじゃイノベイドって献血とか輸血とかどうしてんの……ヴェーダが不健康体認定して献血拒否とかしてんのか。
ただまあ、女性イノベがなぜか妊娠可能という設定がある以上(少なくともまだ撤回されてないはず)、イノベの不老や脳量子波の因子を徐々に人類に拡散させる目的があるのかもしれません。勝手に人類造りかえるとか恐ろしい話ですけどね。
でもヴェーダって「人類の遺伝子幅を狭める」のが最大級の禁忌と設定されているんですけれど(だから大量虐殺はNG)、その割にイノベイターへの進化を推奨するのが分からない。
不老不死になってあまり子供作らなくなったら幅狭まりますよね? この矛盾はどうなるんだろう。
生物ってのは遺伝子レベルでは既に「不死」を達成しているから、個体の求める不死は単なる大脳皮質の願望でしかないはずなんだけれど……(だからそういう方向に進化すべきという論説はおかしいし不自然)。
しかしそんなことは、スルーに出会って顔が崩れるドクターのインパクトの前には、どうでもよくなってしまったり。いわば一卵性の双子みたいなものですが、「女の自分」を前にしてはさすがに冷静ではいられなかったようで。
#05
■連載時の感想
一巻最後の話ということで、ヒクサー・フェルミの登場がサプライズとして入ってる話。前回から続き、テリシラとスルーの漫才というか、ハーミヤも加えたギャグ時空が愉快(前半との落差が大きいからなおさら)。
ちょうど本誌七話でブラッドさん(カタロン構成員の無自覚赤イノベ。一話で殺されたフリンチとも同型)がえれーことになったので、この回ではまだ元気している彼がちょっともの悲しい。まあ今回でも銃で撃たれたりすんですけどね、結局。
おまけ四コマ「だぼあい」
タイトルはこれに決定か……。スレでは「がんばれレイヴくん」「どくたあ」「いのべえど」などの予想があがっていましたが、「へれすて」同様に作品タイトルから取られたようです。
「頭の中でムービーが見えるぞ」のレイヴくんがアホの子顔w そして背後のドクターは何見てるんでしょうね。ヨダレ出てるし。なんだってこの人はいちいち細かい所でいかがわしいのか。
五話の「全員イノベイドですが」がセルフ突っ込みされているのは笑いました。まあそれが分かるのはメタ視点だけなんですけれどね(ハーミヤがイノベってのは七話でテリシラも知る処になりましたが)。
女装姿を自分で気に入っているブリュン。
作中でもあまり自分の格好を気にしていないあたり、本当に気に入ってやしないかと心配です。そして「うむ、いいな」と同意するテリシラ……。やっぱ駄目だこの人ー!
スルーの過去設定「父が事業に失敗して一家離散」までは本編でも普通にありそうですが、姉が十人いるってのはネタだよなあ。……ヴェーダ、結構適当に記憶作っているのかしら。
ところで未だに本作の舞台というかロケーションが気になります。
最初の舞台、レイヴの生活圏は小物や風景からすると経済特区日本に見えるんですが(レイヴのPCが絹江のと同じ、携帯が沙慈のと同じ。ドクターと初めて会った時に窓から見えていた公園が、背後のビルなど含め刹那が通っていた所と同じっぽい。など)。
一方でフリンチに会いに行った時や、ブリュンに会いに行った時など、日本っぽくない風景。まあスルーたちがいるカタロン基地も、アニメのやつとよく似てるけど「別の支部」と言い切られているしなあ。
レイヴの生活圏が日本で、ヘルフィ邸あるのが日本国外だと飛びすぎだし、レイヴが見ていたテレビなんかは英字だから、一応英語圏なのか。ところで連邦の収容所とかどこにあるって設定出ていたっけ……。
*1:後で気付いたけれど、p170最後のコマ「あっ その 実は……」のドクター、連載時は目のベタが抜けていたのが追加されてましたな。