荒川弘『百姓貴族』1

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

 ハガレン作者によるエッセイ漫画。『鋼の錬金術師』のドラマにはいつも驚かされ、惹きつけられていたので、作者の来歴には多少なりとも興味がありました。「この人はどんな人生を送り、その中で何を思っていたんだろう?」とね。
 新刊のキング・ブラッドレイvsグリードらへんの戦闘描写には舌を巻いたものですが、女性でここまでアクション描けるってのも凄いな……。そして女性だと思うと、この本の農業生活もたくましさ三割り増しで見えます。
 道産子・荒川の農業生活にまつわるあれやこれやが語られるのですが、うちの母が道産子なので、質問しつつ読み進めると色々発見がある本でした。
 たとえば最初のエピソードで「毎日牛乳飲んでいたおばあちゃんの死後、火葬したらものすごく綺麗なお骨で褒められた」ってくだりがあるんですが。あれは多分市販の牛乳じゃ無理だろう、とか。
 母が子供の頃は新鮮な牛乳を飲んでいたけれど、遠くの学校へ行くようになって市販の牛乳を飲んだら、薄くて飲めた物じゃなかったそうです。今は逆に、薄めてないやつは濃過ぎて飲めないそうですが。
 純度百パーセントの濃厚牛乳、確かに毎日飲んでいたら骨が綺麗になりそう……。
 家畜用の薬を、効くからといってこっそり人間もお世話になるエピソードとか、色々「それはマズイだろw」と突っ込みたくネタ満載。親父殿のやんちゃっぷりとか、普通三回ぐらい死んでそうなものなのに……。
 なんか地元が日本の米所で、田園風景あたりまえーでも私は農業無関係ーの我が身を振り返り、あまりの軟弱さに切なくなるほどでした。農業高校時代の話とかね。あんだけ授業で身体を酷使して、まだ遊ぶパワーもあるのかよと。
 1とナンバリングされているし、続刊が出たら是非買っておきたいシリーズ。