新紀元社編集部『幻想ネーミング辞典』

幻想ネーミング辞典

幻想ネーミング辞典

 なんという中二病促進剤。一二〇〇ほどの語彙を、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語・ロシア語・ラテン語ギリシャ語・アラビア語・中国語の十カ国語では何と呼ぶかをまとめた辞書です。
 数詞や季節といった基本的なものから、有名所のモンスターや人体部位、「尿」「大便」といったシモのものから、マイナスイメージの単語まで広く浅く収録している。
 新紀元社から出ているファンタジーファイルとかもそうですが、ライトノベルTRPGの資料として役に立つかなーと思って購入したのですが、思ったより適当過ぎて苦笑が漏れました。
 私の手元には和独・独和、和仏、西和・和西辞典などがあるのですが、そっちでいくらか単語を知っていると、違和感のある訳が多いです。たとえばドイツ語でケンタウロスはツェンタオアとZで始まる語なんですが、この本だとKから始まるケンタウアーとなってて「ほあ!?」と驚いた。
 他にも、スペイン語だとHはサイレントされるのですが、本当なら「オンブレ」でないといけない箇所が「ホンブレ」になっていたり(まあ他のところだとちゃんとHがサイレントされていたので、これは誤植かな?)。
 あと英語の読みが結構一般的に知られているものから外れているのも首を捻ります。天国の訳がHavenなのはいいんですが、「ヘヴェン」て…ヘヴンでいいやん。発音に忠実に書こうとしているとも取れますが、読むこっちはめんどい。
 当然ながら文法などには一切触れていないので、格変化とかもナシ。単語を並べているだけなので、そのまま創作などに使うと恥をかく可能性は高そうですね。個々の語に関しては辞書を引いて詳しく調べると安心。
 ネタとしてツッコミを入れつつ楽しむのがいいかもしれません(その場合、千三百円は少々高い気もしますが)。