室山まゆみ『よりぬきあさりちゃん』上・下
よりぬきあさりちゃん (上) (てんとう虫コミックス―Tent〓musi comics library)
- 作者: 室山まゆみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/09/28
- メディア: コミック
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よりぬきあさりちゃん (下) (てんとう虫コミックス―Tent〓musi comics library)
- 作者: 室山まゆみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/09/28
- メディア: コミック
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いやーまったく、秋本治に匹敵するご長寿漫画ですね。子供のころ読んでいた読者も「え、まだ続いていたの!?」って驚いたりとか(周囲の友人や弟)。
ドラエモンで言ったら、性別女で運動神経抜群でケンカ上等の小学生が主人公のあさり。スネ夫の嫌味っぽさとか出来すぎの頭の良さとか、そして何よりジャイアンの横暴さを受け持つのが姉の意地悪秀才タタミ。で、ママはやっぱりママ。
そんな面子が繰り広げる日常ネタの児童向けギャグ漫画ってのが基本スタンスでした。
しかし長期連載の常として、家庭内が主要な舞台だった初期から段々と学校などに主眼が移り、内容もファンタジーやホラーの要素が時折混入し、さらには読者からストーリーを出してもらうなどカオスなことになっています。
まあ「いつもの面々が繰り広げる、いつもの騒々しい日常」という点では、どこから読んでも金太郎飴な安定感でしょうか。
何ぶん幼稚園とか小学校とかごろに読んでいたものだから刷り込みが入っていて、今読み返すと狂おしいばかりの懐かしさに見舞われますね。「ああ、子供のころは自分もこんなこと考えていたな」って思い出させられる感じ。
てんとう虫コミックスとか、手に取ること自体もう十年以上なかったんじゃないかなあ?
しかし長年離れていた間に、意外な変化も色々起きているわけでして。『ハイスクールあさりちゃん』美しく成長したタタミにはびっくりです。まあ、あれはあれでアリ。
保育士になったあさりの話とかも好きです。子供にだけ挨拶させているお母さんに、「ボタン落ちてますよ」で自然に頭を下げさせて、すかさず「お早うございます」ってやるくだり。
歳経た今だから気付くネタがちらほら見えるのも良い感じ。例えばこの作品、少女漫画で、児童向けで、ギャグ漫画という括りでありながら作画が大変丁寧です。絵が綺麗だし背景もちゃんと描く。
何より、キャラクターの衣装が毎回丁寧に描かれています。主人公は女子小学生ということで、ちゃんと雑誌でも見て研究しているのか、毎回衣装が違っていて、しかも中々可愛らしいんですね。
でかい頭に対して体が小さくて、最初ちょっと気付きませんでしたが(笑)。
あと、「食べ物」の描写がいいのもポイント。確かあさりちゃんでキノコシチュー見て、激しく食べたくなったような記憶がかすかに残っています。
パイケースにカスタードを流し、チョコをつけたさくらんぼを浮かべて「おたまじゃくしの池」とか。食べてみたいw
また、(単行本未収録だけど)ヤクザが出る話とか、やおい漫画が出る話とか、「悪魔占い」の回で、ソロモンの悪魔の名前がずらずら書いてあるコマがあったり、あさりが酷いことされるってんで思わず具体的な拷問内容を口に出して「よくそんな気持ち悪いこと考えるな」って言われたり。児童向けのわりに、バラエティ豊かなネタが詰まっていますw
あさりちゃん自体は、もう九十冊以上出ている(ぴっかぴかコミックスとか含めて)ので、今から新規に手を出す人はあまりいないですかね。まあどこから読んでも、一話完結なのであまり問題はないんですが。
気楽に、片肘張らず読める作品です(まあギャグ漫画ですし)。新しく手を出す人には、この『よりぬき』も悪くないんじゃないかなあ。……一冊が千円近くする上、結構分厚いのが難点ですけれど。