近藤 一馬, 片岡 人生『デッドマン・ワンダーランド』4
常に「正論」ってのは一番地獄に近い泥濘だぜ?
デッドマン・ワンダーランド (5) (角川コミックス・エース 138-12)
- 作者: 近藤一馬,片岡人生
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: コミック
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正気に戻ったオウルはタチ悪いなあ。あと超坊主が今回ボスキャラだったんですが、奴は登場当初のヘタレキャラの頃のほうが好きでした。「ああ、超坊主×オウル人気出るんだろうな」と思っていたら、作者が開き直ったようなそっち方面のキャラでしたし(あのお寺のシーンはそういう風にしか見えないんですが)。
超坊主の救い理論は言葉がストレートすぎて、今ひとつ狂気度が足りなく思いました。「ここにあるのは〜(中略)痛みだけだろうが」のくだりとか。死こそ救済だ理論とか。まあ「この超坊主がグレイトフル・デッドを与えてやる!」は良かったんですが、同じこと言いすぎというか。
それとロクロを差し置いて、端役キャラとかの過去が少し出たんですが、超坊主含め橙火花ほどのインパクトを感じませんでした。機算機算うるさくて、しまいにゃ首がやばい感じになっていたロクロのバックボーンは気になっていたのになあ。で、火花があっさり復活していたと思ったら、シロの足を奪うだけ仕事してサクッとやられてました。あ、あれー?
とまあ、正直今回は微妙な感じが強いです。
が、そこはそれ。今まで良かったからこそのガッカリさなわけでして。面白い点はやっぱりあるわけですよ。
例えばオイシイ所で出てくる千地さんですが、彼は明らかにガンタと戦った時より強くなって登場しましたねw 音速てあーた。で、主人公の師匠・兄貴ポジになってきましたし、カッコイイ表紙やら台詞やらなんやらある上、女が苦手という弱点もしっかり見せつける。そういえば再登場した羊くんは影薄かったな……一緒に出てきた水名月はモロパンにジュースかけにと元気良かったですけど。
しかし墓守の罪の枝無効化の仕組みが「酸化促進剤」ってどうなのソレ。
で、主人公ガンタ。まだまだ力弱くて情けなくて、ピンチを常に自分で切り開けるわけじゃない。そんな己に憤りを感じる彼は正統派主人公ですね。イイ男になりますよ。シロとも仲直りしましたし、そのシロも前回の仲違いに深くダメージ受けてて可愛い。
そして次回へのツナギにモッキンバードが登場しました。シロやレチッドエッグを知っていたり、シロと同じ模様の服を着ていたり、体がツギハギだったり、いかにも物語の核心に関わっているキャラです。
そういえば作者が設定忘れているんじゃないかと思っていたキャンディ(解毒剤)が、今回は効果的に使われていました。最後の「…やっぱ苦いや」は良演出。
そして同じく忘れられた感があったキャラ・御堂アザミが今後の重要キャラに浮上してくる模様。争奪戦にでもなるのかしら。ついにデッドマン誕生の仕組みが明かされる!? ……あ、そいやDWの所長って何が原因であんな老化していたのかとか全然分からんのだが。そのへんの謎はまだ先かなあ。お付きの双子がさっぱり姿見えませんが、今回は玉木も登場短かったし。
とまあ様々な謎と波乱を孕みつつ、スプラッターでコーティングされた少年成長物語は続くのです。
しかし、容赦なく人が死ぬ漫画だ。
あ、あとカバー下はチョップリンですかね? 早く再登場しないかなあ。ヒタラじじにも期待。