竿尾悟『コンビニDMZ』1・2巻

「店内禁煙、ヘルメット脱帽、くそったれの銃火器、爆発物持ち込み禁止。はた迷惑な核及び生物化学兵器持ち込み禁止! 戦場に交戦規定(ROE)があるように、店内にもルールがあるんです」

コンビニDMZ 01 (ヤングキングコミックス)

コンビニDMZ 01 (ヤングキングコミックス)

コンビニDMZ 02 (ヤングキングコミックス)

コンビニDMZ 02 (ヤングキングコミックス)

 戦場のド真ん中にある非武装地帯(DMZ)でコンビニ出店! ジャパニーズの商売魂はここまできた!
 ……という主旨のミリタリーギャグマンガ。「ポイントチャーリー店」なんてネーミングまでイカしてるぜ。
 会話の内容からすると、他にもDMZに出店しているコンビニはあるようですが……物語の舞台は中でも、トップクラスの激戦区。もちろん商売的な意味じゃなく、戦争的な意味で。
 周辺で繰り広げられる紛争は、三つ巴の泥沼により笑っちゃうくらい激しいもの。誇張された鉄火場といいますか。そらコンビニ前で掃く落ち葉もから薬莢に変わりますわ。
 我々現代人には馴染み深い「コンビニ」の業務と、日本人には果てしなく遠い「戦場」が奇妙にマッチした点はシュール。よく考えると結構怖い状況なのですけれど、そこはまあギャグマンガということで。激戦による補給不足をあてこんで「医薬品特設コーナー開設!」とかちょいとブラックかもです(笑)。
「いらっしゃいませ、野郎共(ファッキンガイズ)!」などの名言を初め、強烈な個性でコンビニを切り盛りするカリスマ店長・川口、戦場に咲く一輪の花なむちむちぷりんなナイスバデーヒロイン・雨宮さん、オタというか漫画家デビューによって休戦を生んだという功績を持つまさるくん、これら店員をレギュラーメンバーに、毎度軍人や本社からの出向(バイザーとか)を加えて一話完結で話が進みます。
(しかし漫画家デビューでバイトやめることになったはずなんですが、後の話では普通にバイト続行なんですよね……なぜだ)。
 コンビニという特性上、兵士たちの憩いの場となったり、緊急時の補給地点となったり、その重要性から店の前がスナイパー通りになったりと、「もしも戦場にコンビニがあったら」という状況を想定した場合のシチュエーション様々。
 かと思えば「おしゃれスナイパー」「おでんの意外な使い道」「ATMとATM(対戦車ミサイル)違い」「階級つきパン」などなどのアホらしい話題にも事欠かない、とバラエティ豊か。新兵が弁当買いにパシリさせれたり、店周辺に地雷がバラ撒かれて地域の子供たち向けに地雷教室を開いたり(見本の地雷に対して普通に「あれ見たことある」とか深く考えると泣けてくるんですが)……。いやはや、よくネタが尽きないものです。
 結局はコンビニの存在が、泥沼の紛争を終わらせなかったりしてますしね。最終回はやっぱりコンビニ爆破とかになっちゃうんでしょうか……まあ真面目に考えると山ほど功罪背負っているわけでして。でもやっぱり、何も考えず楽しんで読むのが一番ですね(こう書いていると余計なこと考えて楽しめてないかのようですが、実際はゲラゲラ笑いながら読んでました、ハイ)。
 一巻二巻それぞれに、読み切り漫画もオマケで収録されているのでお買い得。三巻まだかなー。