田中ロミオ『人類は衰退しました』4
- 作者: 田中ロミオ,山崎透
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/12/19
- メディア: 文庫
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いつもより鬱になったり、少しだけ彼らの謎について触れられたりしましたが、相変わらずさっぱりです。主人公とおじいさんが生物学的アプローチでちょっと言葉を交わしましたが、やはり「妖精さんですから」で済んでしまうわけで。
キューブリックやヒッチコックがこの世界にまだ伝わっているのに驚きました(笑)。今回の助手さん絵本は元ネタ、エドワード・ゴーリーでしょうか? ああ、それと牧師なんて職業も残っていたんですね。この世界って確か少子化だったと思うんですが(主人公にしてからが、人類の教育機関最後の卒業生)、孤児院はあるんだ……。
さて、今度のお話は里の食糧不足に端を発する、謎の『妖精社』食品の調査。島流しの浮き目にあった主人公がやらかす、少女のための王国造り、の二本立てであります。合成食品とかまたえすえふですなー。
改めてSF的知識を持ってこのシリーズに臨むと、また色々な発見があります。塩基計算機とか前回の巻で初めて知ったんですが、あれも中々面白いですね。実現にはアウトプットに難があるようですが、その問題は解決されたようで。どっかに軌道エレベーターの遺跡とかありそう。前回調査した遺跡って環境建築っぽいし。
で、よく考えるとこの世界って、実はダイソン球の内側にある地球かもしれんですよね。
あるいはまだ人類のテクノロジーが生きているスペースコロニーや、テラフォーミングされた惑星が遥かお空にあるかもしれないと。端々に登場する超技術を見ていると、この世界の旧人類はそのぐらいの技術は確実にあったと思うです。自然がだいぶ回復しているのも、人類衰退のみならず、過去行われたバイオレメディエーション*1の影響かもですし。
さて本編。
逆ポリアンヌ少女が出たり、一斤くんが悪趣味なデザインだったり*2、チキンの末路その他深く考えると怖そうな要素が出てきたりと、いつも通り面白可笑しくそしてそこはかとなくブラックでした。いえ、八房龍之介ほとではありませんが。
……そういえば知性を持った主人公の○○はあの後どうなったんでしょうね。次の話じゃなかったことにされているんですが。