考察:ヒクサー・フェルミ、PとFの間

 グラーベで1エントリやったので、相方でも一ネタやらねばとか思った。
 ガンダム00公式外伝、00P(電撃ホビー連載)と00F(ガンダムA連載)には、ヒクサー・フェルミというキャラが登場します。同じ名前と、(髪の長さや衣装の違いはあれど)同じの顔のキャラクター。しかしPのヒクサーは「天然ネアカ(byときた洸一)」で陽気な好青年、Fのヒクサーは物静かなクール系と性格に大きな隔たりがあり、「果たして同一人物なのか?」と疑われていました。
 しかし、今月のガンダムA1月号、00F第14話にて以下のような台詞が。
ヒクサー「ボクはね 昔仲間を裏切ったことがあるんだ とても大切な仲間をね……」
 この他にも、昔(P)のヒクサーを思わせるような仕草などから、どうやらFもPも同一人物っぽい可能性が高まりました。
 ここではヒクサー・フェルミがFもPも同一人物と確定させた上で話を進めます。


 本題──PからFの間に、ヒクサーに何が起こったか(何をしたのか)?


 ヒクサーは302年ごろに「死んだはず」の人物。シャルの回想では故人のルイードマレーネ、そしてグラーベと共にFのころの姿が出ています。グラーベは死亡(もしくは再起不能)の可能性が高いですね。で、グラーベとヒクサーが共に死んだと思われるような事件があるとすれば、グラーベが駆るガンダムラジエルと、ラジエルと合体可能な支援機・GNセファー(パイロットはヒクサー)の運用中の事故としか考えられません。
 F14話以前は「ヒクサーの名前(CB構成員だからコードネームですしね)を継いだ、同じ容姿の別人」あるいは、「死亡したが蘇生され、その際に性格(精神)が変わったヒクサー」などの推察が出来ましたが、ハヤナの「ヒクサーは生きてる」発言から、何とか生き延びた(もしくは重傷を負って治療していた)ようです。


 仲間=グラーベ(シャルも含むか?)を裏切ったことへの罪悪感や葛藤、後悔などが、ネアカの彼をこうまで変えてしまったということは充分考えられます。一期ルイスが悲劇を経て、二期ルイスへの転身を果たしたように。
 まあ00Pがまだ続いているので、ヒクサーのついてまだ意外な事柄(いわくありげなロケットとか)がこれから明らかになる可能性も高いのですが。それでも、Fのヒクサーの変わり様はギャップが激しすぎます。
 そこで考えられるのは(私じゃなくて外伝スレの書き込みからの案ですが)、ヒクサーは元々Fのような性格で、Pのあれは擬態であったという説。
ヒクサー「今度始まる新しいガンダムマイスターのスカウト。美人でボインボインが集まれば、きっと男性マイスターの成績もアップするのに。そうだ、ヴェーダに提言してみよう」
 Pのヒクサーは、かように軽い言動の人物ですが、それは武力介入が近いことへの緊張を和らげるため、とされています。この時点で、多少なりとも彼の明るさは故意であることが分かりますね。ある程度は地も混じるのでしょうか?
 しかし「地」がFのS気さえ入っていそうなクールぶりを見ると、Pでの明るい振る舞いは「自他の緊張を和らげるための振る舞い」と言うよりも擬態・偽装のレベルです。なぜそんなことをする必要があるのか? それは(これも同じスレでの書き込みからですが)ヒクサーは監視者や、アレハンドロあたりからのスパイだった=裏切ったのではなく、最初から裏切り者だったということ。
 今のCBも裏切り者とかスパイがいっぱいですからね……(ライル、王留美、グレーでアニュー)。
 Pの時代はまだまともにヴェーダが稼働していますが、計画に利用できると踏んだなら見逃しかねませんし。またスパイ説ですと、「命令で大事な仲間を裏切った」過去を持つヒクサーが、Fで「ただ命令されて動く自分」に疑問を持つのもしっくり来ます。そのための、あげゃ(フォン・スパーク)との対決。


 また、Fのヒクサーには首輪爆弾が付いています。犯罪者という経歴を持つあげゃやマレーネも付けさせられていたこれは、ヴェーダが危険人物の命令違反を阻止するための処置でした。反逆はすなわち死という人権ガン無視の代物ですが、まあCBはトレミー以外は普通に腹黒いですしね。たまに首が炸裂しても死なないのがいますが*1
 ヒクサーがグラーベを手に掛けたとして、それが事故のような不可抗力やケアレスミスにしろ、スパイとして命令に沿った行動にしろ。ヴェーダが首輪を付けているからは、ヒクサーに責任を問える形で行われたようです。Fでパイロットスーツの上に着ているコートとか、ファーが付いてることを別にすれば、拘束衣に見えなくもありませんね。ベルトいっぱいで。
 シャルが彼との再会で「なぜ今になって」とか言っていましたが、傷の治療の他に、ヴェーダに拘禁されていた可能性も高いです。あげゃは首輪の他に手錠もあったし、マレーネガンダムを動かすとき以外は独房入りさせられていました。首輪組は基本的に行動の制限が大きいので、ヒクサーが一時期(世界を見てくるよう命令されるまで)拘束状態にあったことは想像に難くないかいかと。


 ヒクサーはガンダム乗りではないので、マイスターとは呼ばれません。そのことが不満で何かやらかした(仲間を裏切った)とも考えられますが、これは他に比べ可能性の低い想像です。ガンダムに乗れなかった「予備マイスター」はラッセやエコがいますが、(エコはともかく)ラッセは自分のポジションに不満を持つでなく、己の仕事をこなしています。
 横から彼が乗るはずだったエクシアをかっさらう形になった刹那に対して、特に敵愾心がある風でもないようですし。GNアームズでよくよくサポートしてくれました。視聴者の知らない所で二人の間の葛藤のドラマが〜っつっても、コミュ能力皆無の刹那を見ていると、そういうやり取りがあった風でもなし。ラッセの人間が出来ているんでしょうね。
 で、スパイの件はまだしも、ヴェーダそんなマイスターになれなかったからってなんぞやらかすような、未成熟な人格の持ち主を選定してくるかというと疑問なわけでして。ヒクサーがそんな底の浅い人間とも思いたくないので、この説はナシであってほしい。


 別の仮説は、ヒクサーが「端末人間」であるということ。Fでのヒクサーはヴェーダの端末として、世界を見てはその情報を上げています。怪我の治療の際などに改造された可能性もあるのですが……ルイスにしろヒクサーにしろ、先天か後天か微妙なところ。
 Pでは今のところ、グラーベが人外っぽい描写はあるんですが、ヒクサーは別にそんなことはありません。ただ、CBに来る前のヒクサーって経歴が不明なんですよね。連載分で記述されていたら俺が赤っ恥ですが(笑)。シャルは女子高生(ワークローダーで優秀な成績を収めた)、マレーネやあげゃは犯罪者、ルイードはメカニックあがり、イアンさんはAEUの整備士、モレノさんは国境なき医師団。グラーベや874は人外。おっさんはAEUだっけなんだっけ……。シェリリンはイアンさんの弟子だから、生まれた時から居たほうかな? で、ヒクサーだけ特になし。
 ということは、ヒクサーは先天的な端末組……つまりハナヨの兄弟たちで、自覚がない方のタイプでは? と。874=ハナヨ、887=ハヤナみたいに、193=ヒクサーみたいな……まあ無理やりですが。つか、これだとハナヨより製造が先ってことになって、人間からちょっと離れるのがネック。うーん。でもまあ、端末組なら、ボンズリの介入を受けて操られて(ヴェーダ経由)〜みたいなことが可能になるかもしんない、と思った次第。
 グラーベはプルトーネの事故を気にしていましたから、その事故の時と同じく、ボンズリ様の介入っぽいものをラジエルに喰らって死ぬ可能性も高そうですし。で、Pセカンド1話でのヒクサーの台詞。
「なんだよ、無視するなよ。そういうの傷つくんだよ。もし戦闘中にお前を支援しなきゃならない場面で、今回の心の傷がうずき出したらどうするんだよ。トリガーを引く指が一瞬遅れちゃうよ。オマエ死ぬよ。こんなことで死にたくないだろ?」
 単なる軽口だけど、これもまたグラーベさんの死亡フラグに思えてならないんだぜ……。
 まあ色々予想とか仮説を立ててみましたが、さて真実はどう来ることやら。
 Fではプルトーネの件みたいに端的な描かれ方になるでしょうから、00Pでの真相が楽しみです。Fのヒクサーは最後、生き残るのか死亡するのか……。「ほんとうのボク」はあげゃが取り戻させてくれそうですが。

*1:心停止まで残り10分でもMSを操るあげゃは、ナノマシン込みだとしても化け物です。