日日日『ギロチンマシン中村奈々子』1〜4巻
「でもね、チェスみたいに単純じゃない、将棋よりもなお複雑で、難解で、嫌になるような遊戯がある。その遊戯では、僕たちは君たちに負けない。経験がちがう。興味がちがう。才能がちがうんだよ」
そして奈々子は宣告する。
「これは戦争なんだろう、ロボットくん?」
- 作者: 日日日,大出長介
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一つの箱を出ても、外にはさらに広大な箱が広がり、そこから出ることは出来ないまま、でも誰かが外側から箱の住人を観察している。そんな、悪夢のような世界に翻弄される少年少女のお話。
周りの何もかもは実はニセモノで、実は自分はよってたかって騙されているのではないか? そんな、思春期に限らずとも一度は人がいだく強迫観念を扱った作品。
人類はロボットと戦争をしている。そのように規定された舞台(ハコ)の中、繰り返される問いかけと葛藤。
──自分は人間なのか? ロボットなのか?
人とロボットの違い。そもそも人間とは何なのか。人間とはロボットよりもそんなに価値のあるものなのか。毎回の葛藤と問いかけには、一冊ごとに一応の決着を見せてはいるが、次の巻でまた揺るがされる。
三巻から四巻にかけて、「最初の中村奈々子」にスポットが当てられ、背景が色々と明かされていく展開は面白かった。が、ロリエの正体のように、色々な設定が二転三転していく感じにちょっとついて行けない気分もあります。
今のところ、コミカルさも込みで、1巻が一番面白かった感じ。三巻から「可哀想──です」みたいに、妙に心理描写が直裁な物言いになった気がするのもひっかかっる。
作者が後書きで何度か「書くたびに違う話になる」と語っているのですが、それなら今の物語は一巻のエンディングから続いた「ありえたかもしれない物語の一つ」とだけ考えておけばいいんじゃないかなあと。
『ギロチンマシン中村奈々子』は実は一巻までで、あとは全部壮大な後日談と言うか。強いて言えば、二巻はまだ学園編だったので良かったです。しかしその後の、千紗の影の薄さは……orz
ちなみに書影がアメリカちゃんだけ仲間はずれになりましたけど、赤が二つ居るとちょっとね。千紗好きだし。書影四つは多いし。──でも三巻のエロ展開は勘弁して欲しかった。大事なものを捨てないでください、日日日さん。
……それはそうと、五巻のサブタイトルってどうなるのかなあ?