大森倖三『機動戦士ガンダム00』3

 大森版ダブルオー、最終巻。が、次回予告で二期一話のシーンやっているので、続きちゃんとあるようです。
 三冊で終わったので、キュリオスが背中に出られなかったんですが、本編でもハレルヤはいないし超人機関関連が完全スルーで笑う。ソーマ=マリーは最後ギリギリ入りましたが。
 全体的に駆け足ながらよくまとめており、少年漫画的な熱さがあります。マイスターやトレミーの結束が、アニメ一期なのに二期並に固いのも特徴(笑)。 結婚式場を爆撃したトリニティを刹那が駆逐しに行くシーン、最初からティエリアが出撃する姿は、無言のうちに心が通じ合っている感じが出ています。その後のクルーとスメラギさんの会話は、実にトレミーがアットホームな感じでした。
ロックオン「後見人参上! うちのきかん坊たちの面倒はキッチリみるぜ!!」
 ロックオンも参戦したところで、ジンクスの配備と国連軍結成のニュースが。ソーマがさっそくジンクスに乗って登場します。ユニオン側では、ジンクスに乗ることを拒むグラハムに対し、未練たらたらのダリルが表情豊か(クラッカー涙w)。
ラッセ「オレはこの船(プトレマイオス)を守るためにいく。そのために出撃するつもりだ…」
 GNアームズ、ロールアウト。終盤、トレミーがやられた時にアルヴァロンにがっちりアームズで食らいつく姿も男気でやんす。
ロックオン「悩み事か? 独り立ちするにはいい機会だ。ありがたく苦しめよ」
 ヴェーダのハッキングで不安になるティエリアを慰めるロックオン……。この作品はアニメ本編と同じシーンをやりながら、台詞を流用せずに、うまく自分の言葉に直している感があって良いです。
 さて、ジンクスによるトリニティ討伐。どういうわけかアリーが最初から参加しており、ジンクスでアイン、ツヴァイを撃破しちゃいます。あれ? ツヴァイどうすんの? と思ったら、そのまま鹵獲してやはりアリーが乗ることに。
 そしてジンクス襲撃の真っ最中に、ヴェーダからバックアップを切られるマイスターズ。
 動かないコクピットで叫ぶ刹那。
「ダメだ、あきらめない。何があっても立ち上がる。どんなどん底を味わっても起き上がる。世界が冷たくつきはなしてもあきらめない。そうやって生きてきた……そうやって生きてきたんだ……。それが……それが……」
 ガンダム再起動。そしてアニメ通りロックオンがティエリアをかばって負傷しますが、このタイミングで初トランザムとなります。イオリアのメッセージ「ガンダムと共に……」で、傷つきながら微笑むロックオンの顔が重なる。出番の少ないコーラサワーは、トランザム発動ガンダムに対して「まッ待って!!」「なんじゃそりゃあああ」とリアクションを返してくれてちょっと嬉しいw
 展望台で落ち込むティエリアを慰める、負傷したロックオン。アニメだと二人だけのシーンでしたが、ここで刹那とアレルヤも登場します。あ、ロックオンの台詞がわりと名言多いな、この漫画。
ロックオン「心配すんな、なんだかんだ言いながら俺達チームはやってきてる。その小さな自信を積み重ねてきたことがオレ達マイスターの財産なんだ。」
アレルヤ「その支えを力に」
刹那「戦い抜く」

 上記のようにマイスターたちがはっきりと「チーム」として結束していることが伝わるのは、漫画最大の見所かもしれません。
 ちなみに「俺達」と「オレ達」は原文ママ。……この後の戦闘で、アレルヤもソーマの攻撃を受けて、急に一人称が「オレ」になるんですが、ハレルヤの伏線なのかなあ? 一応一巻だけハレルヤって言っているんですよね、アレルヤ
アリー「ア゛ァ゛ー、けったくそ悪い。この世界から消えてくれよ ガンダム
 盗んだツヴァイで走り出してアリー登場。
ラッセ「一機も後ろには通さない!!」
 ラッセは一期終盤でGNアーマーに乗ってからが本番でしたが、この漫画でもかっこよく活躍してくれます(「実体剣で!」の台詞だけちょっと微妙)。二期でももっとパイロットやってくれないかなあ。
ラッセ「敵の疑似GNドライブ搭載型を殲滅すれば、世界に対してオレ達の力を誇示する事が出来る!!」
アレルヤ「計画を継続できる!!」
スメラギ「本来の計画を 世界の変革を!!」

 紛争根絶への強い思いとともに戦うトレミークルー。なんとも熱いノリで清々しい。
アリー「何が戦争根絶だ、商売の邪魔しやがって!! そんなもん出来る訳ねーだろ!!」
ロックオン「知ってるさ!! こんな事をしても変えられないかも知れないって! けどオレ達は賭けたんだ。自分達がこの歪んだ世界の毒薬となり、その浄化作用として世界が一つに生まれ変わる事をな!!」
アリー「ハッ。言ってろォ!!」
ロックオン「世界が政治に対して無関心で居続け、歪みや地球の危機すらも目を背け続けている状況が、色々なものをここまで悪化させてきたという事も知っている。しかもそこには巨悪なんてものも存在していないという事もな!!」
アリー「なんでも知ったつもりか。反吐が出んだよ!!」

 アニメでもおなじみ、アリーvsロックオン。アリーがCBを「このテロリストがー!」と呼ぶのはちょっと苦笑するところですが、アニメではアリーがわりと正論吐いていたのに、それがなくなったのは少し残念です。が、ロックオンの後半の台詞は中々。「巨悪なんて存在しない」からどうにもならないのが現実。この後アリーはロックオンを自爆でやられますが(デュナメスをツヴァイに抱きつかせる)、アリーの最後の台詞もちょっと格が…orz
 とにもかくにも、例の「オレは イヤだね……」がまるまる1ページ(見開きには足りなかったようです)、それに重なるティエリアの叫び。ナドレで戦うティエリアの顔が号泣その物です。悲しみに暮れるトレミー。しかし、そこでスメラギさんの一喝が。
スメラギ「総員!! 戦いなさい!!! この戦いを始める時、涙を流す事も、泣き言を言う事も許されないと覚悟を決めたはず。それが戦いと言うものだから。これが戦争の真実。戦うのよ!!!」
 ああ……スメラギさん、その台詞アニメでも言ってくれたら……。
 アレハンドロの台詞「塵芥」が「ちりあくた」じゃなくて「じんかい」なのが気になります。そそてアルヴァロンの砲撃で吹っ飛ぶトレミー。クリスとリヒティのみならず、スメラギさんやフェルトまで宇宙に放り出されているのはどういうこった!w
 エピローグのシーンでは、腕を失ったルイスと、病室を訪れた沙慈のカットが入っていて切なさ倍増。
 三巻は結構ページ増量されて厚かったんですが、それにしてもこの内容をがっちり纏めたのは凄いです。ガンダム00のコミック版は、こっちだけ買っていればだいたいいいんじゃないでしょうか、ハレルヤいないけど。もう一冊のほうは、無理やり原作をなぞろうとして、わりと薄っぺらいのがなんとも。セカンドシーズンも楽しみです。