横尾公敏『ロボット残党兵』壱
「んーこれはすばらしい。なんとシンプルで効率的な兵器だ。
威圧感もあり何よりゴミの掃除と道の舗装が一気にできる点がスバラシイ」
- 作者: 横尾公敏
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/10/20
- メディア: コミック
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絵柄はどちらかというと劇画調で、太い線が荒々しく描き込まれ、泥臭くそして迫力あるもの。
そのペン先から紡がれる架空戦記の世界を、ひとクセもふたクセもありそうな、けれどどこか愛嬌のある連中が暴れ回ってくれる。メカのデザインなどは、横山光輝風のそれを思わせ、まあつまりあの辺の作品が好きな人には是非お勧めしたい。
ヒトラー総統やヒムラー長官といった歴史上の人物も登場し、ロシアの怪僧ラスプーチンはソビエト版シュトロハイム風味のマッドサイエンティストとして活躍。ナチス側でもやはりマッドサイエンティストがいるが、こちらは自身を半機械化して目玉や腕を増設しまくってまるで蜘蛛のお化けである。そんな機械化人間研究者の中で、一人日本人の高橋はまともなように見えたが、山中君の一件からすると、やはりドス黒い。
移動要塞がごとき超巨大多砲塔戦車などのメカも迫力。スターリングラードでの巨大戦車にいたっては、攻撃する側も「目標…前方の鉄塊!!!」と言う始末。史実としてドイツがスターリングラードで負けたのは間違っていないんだけれど、機械化人間投入によるデタラメっぷりは実に爽快です。
娘の成長を見守るため、自身の研究を続けるため、病の身から全身機械化をした主人公に全然触れてませんが……。まあどのキャラも大変魅力があるのですよ。秘密警察の森なんて、全身機械なのにウサギリンゴとか剥いて、「うさんくさいから」と食べるの拒否されちゃったり。お茶目な上にアクションしても格好いいのだから素敵です。
たまたま店頭で見つけて購入したのですが、結構な掘り出し物でした。今後も注目したい所存。