『ブラスレイター ジャッジメント』1・2巻

「お似合いだ、お姉ちゃん。俺がまっとうな人間なら、五回は犯してる」

ブラスレイター ジャッジメント (角川スニーカー文庫)

ブラスレイター ジャッジメント (角川スニーカー文庫)

 BLASSREITER小説版。文章自体は、これがデビュー作という新人作家の起用なのでいまいち。
 正確な時間軸は不明だけど、本編開始から数年前、アマンダがXATに配属されたあたりから話が始まり、最後にマレクがアマンダに引き取られる。マレクは本編で13〜14歳で、引き取られた時も少々幼かった感じだし……3〜4年ぐらい前? ブラスレキャラは年齢のデータがあまりなくて困る。アマンダが確か雑誌とかで23とか言われていた気がするし、XAT入隊が20歳で交通機動隊時代は18歳勤続2年とか? 本編でジョセフは25歳なので、この話だと22〜23ぐらいになるのかな。
 一冊200pほどと薄いのですぐ読み終わる。物語は、XATが初めて対峙したブラスレイター・マルコこと鳥(フォーゲル)を、アマンダ視点とジョセフ視点でそれぞれ追っていく課程を綴っています。漫画版(ちちしりふともも)主人公ながら、アニメじゃぽっと出ですぐ退場したスノウも登場し、それなりに活躍。ジョセフ置いてけぼりにしまくっててひでぇw
 ぶっちゃけXAT目当てで読んだのですが、最初のほうでアマンダ歓迎会でメンバーが飲みに行くシーンがある以外は、アマンダとヘルマン以外XAT勢の活躍が全然なくて残念な限りです。メイフォンに対するアマンダの反応はやっぱり鋭いなあ。挿絵のブラッドがなんか男前だと思ったら、特徴であるはずの鷲鼻が小さくなっているのは何故。
 で、まあ困ったのが、わりと「陳腐」なところ。ダブル主人公を務めるアマンダとジョセフには、自分は弱い・でも人々をデモニアックから守りたい・そのために力が欲しい、強くなりたい、という共通した思いがあり、それがたびたび描写されます。繰り返しモチベーションを示すのはいいんですが、書き方がもの凄いテンプレ的。まあその描写に限っただけの話でもないんですけどね。「んな陳腐なモノは今までにもさんざ読まされてんだから、そこから更に一歩進んで魅せるもの読ませろやゴラァ」というか……捻りもへったくれもありゃしねえ。オリジナルで次の作品が果たして出せるのでしょうか、この作者。
 ただ、ヘルマンとアマンダが刑務所やら病院やら村やらを回って聞き込み捜査をする展開は楽しかったです。ブラスレは本編でも、アニメっつーか海外ドラマ風味の雰囲気があって、そこを忠実に再現したような感じ。
 まあ公式二次創作というわけで、アニメでは出し切れなかった裏設定も幾つかあって、そこが読みどころですね。
 アマンダとヘルマンは同期だけど、ヘルマンにXAT入隊を先越されちゃったとか(アマンダが来るまで二班のアタッカーは一人だけだった)。アルはXAT二班の酒豪だが、アマンダはその上をいくザルで、付き合ったヘルマンは二日酔いで酷い目に遭ったとか。あとは、ソロモン72柱と紋章の関係やなんやかんや。
 それと、本編よりジョセフがだいぶ弱いです。悪魔化による衝動を抑えるため、武器の形成すら教えられるまでできなかったし、ガルムの変形も知らなかった(というか、アニメではジョセフってガルムと融合して操ってたのね。気づかなかった)。だから戦闘は一巻中盤まで素手オンリー。あと、エレアともこの話の中で初対面。
 あとの見所は、Niθさんの絵ですね。二巻カラーページは他媒体(設定資料集表紙とか)からの使い回しですが、一巻は書き下ろし。内訳は尻(エレア)・尻(アマンダ)・ブラつけてない(メイフォン)。あ、そういやアマンダノーブラが確定しているな、この小説。
 挿絵でも女性陣は基本ノーブラとしか思えない描きようでやんす。ベアトリスとかあのファッションはつけてないよなー(せめてニップレスぐらい……)。121p挿絵のベアトリスも尻アングルですし。さすが男女無差別尻アニメブラスレイター
 まあブラスレ好きなら読んでみてもいいのではないでしょうか。
 ただ、間違ってもブラスレ入門用に読んではいけません。アニメを観ましょう、ええ。
 それにしても、この小説版ジョセフは酷い。
 女(スノウ)を利用して、用がなくなったらポイ捨てしてしかもそれが相手のタメだと思っている、典型的に悪い男。
 デモニアック倒す→襲撃された一家の生き残り発見(スノウ)→間違えて自分の血を飲ませてしまう→ブラスレイター化しちゃったので、事情や力の使い方を説明→そして置き去り。奴としては、「ザーギンとの戦いは自分の問題、これ以上スノウを巻き込めない」ってな理由があるんですけれど……。スノウ置き去りにするなら、せめて居場所を用意してやらないと、たった一つの繋がりであるジョセフを追っかけるでしょうに、そりゃ。
 漫画版じゃ姉ちゃんと神父の仲間がいたけど、そっちはどうなっているんだろう?
 で、スノウ健気です。子犬のようとか表現されるように、とにかくジョセフ一筋。
 一人にしないで、置いてかないで、とたびたび涙ながらに頼み込むけど、ジョセフはガン無視。あげく、マルコ戦でピンチの中駆けつけられた時には、今一緒に戦ってもらうことが、彼女に報いてやれることとか言い出すジョセフ。マルコも一応ザーギンの差し金なんですし、そこで覚悟を決めてスノウを連れて行ってくれりゃいーものを……。
 まあアニメと漫画との兼ね合いもあって、スノウを本編に出せないから無理やりこういう処置なんでしょうけれど。どっちにせよノベルジョセフひでぇ。都合のいいときだけスノウを利用。さいてー。