『BLASSREITER』DVD1巻

ブラスレイター VOL.1 [DVD]

ブラスレイター VOL.1 [DVD]

 そういえばTRPG(小説も出ている)『デモンパラサイト』も、悪魔憑きな変身ダークヒーロー物だよなあ、と。
 つまりブラスレイターもそんな話。ただデモパラ(グループSNE製)はウィルスによって超常の力を得るという趣旨の『ダブルクロス』(F.E.A.R.)とは逆に泥臭さを盛り込んだ作品ですが、どっちかってえとダークだけど硬派とスタイリッシュを目指した感じのブラスにはそういうのないですね。衝動を抑えるためにひたすらメシをかっこむとか、電柱や自動車を武器にして振り回すとか(笑)。ああいう豪快さもいいと思うんだが、ブラスは板野サーカスアニメ。
■第一話 絶望の始まり

 初回なのでOPはなく、バイクレーサーから開幕です。ここの手を振るジルは普通にヒロイン。しかしあまり心情描写もないまま、別れ話を告げたり、さくっと復縁を持ちかけたりするあたりはやはり薄っぺらい女で……。ゲルトの不幸のなんぼかは、女を見る眼のなさにあったのかもね(逆に男を見る眼はあったけど、そのせいで死んだとも言えるのはレーネさん。世の中うまくいかねーな)。
 ちらっと出てるベア子(ベアトリス)と、救急車の死体。後で見ると、この時ベア子が何かしたんだなーと分かる。女の裸がいきなり出るわけですが、死体だからかエロも萌えもないやね。そして蘇生→異形化の流れで、デモニアック(融合体)の名が出ます。
 レース真っ最中のサーキットに乱入する救急車と化け物。そこへ更に更に乱入した、なんか明らかにザコじゃなさそうな青と黒を基調にしたデモニアック。なぜか戦いだした両者の争いに巻き込まれるトップレーサー・ゲルトは、意外にも双方に蹴りを食らわしました。いいから逃げろw
 途中から映像が赤っぽくなったり歪んだりして、悪夢の光景のようになるのですが、あれ? と思っているとゲルトが飛び起きます。え、夢落ち? と思いきや、ともかくデモニアック乱入で事故って両足が駄目になった、のが現在のゲルトらしい。
ゲルト「バイクに乗れないレーサーなんざ、気の抜けたビール以下だ……」
 すっかり意気消沈するゲルトを励ますのは、XAT(対デモニアック部隊ザット)のメンバー・ヘルマン。かつてゲルト自身に「お前には向いていない」と、バイクレーサーとして引導を渡されたものの、交通機動隊という新たな道を見つけ、新しい職場で頑張っているヘルマン。ゲルトへの尊敬、友情、親愛を吐露して帰って行く彼に感化され、ゲルトもちょっとは行動に移ることにしました。
 病院のロビーで流れるゲルトの特番。彼はきっと奇跡の復活を果たしてうんぬんって、ゲルト自身が病室で奇跡否定しまくっていたのになあ。こんな番組を本人が聴くって、どういう心境なのやら。
 ともかく自分の所属チームを訪問するが、あっさり解雇されるゲルトさん。
 相手は済まなそうにしていますが、ファンもまだいるだろうに、戦略としてどーよそれ。でも所属の他レーサー(ここと、ヘルマンの回想にも出たイーゴって絡みそうで絡まなかったな)は、目障りだった不動のトップが空位になって清々したといった感じ。掌返し酷すぎ……(と思ったら、解雇を言い渡したマシューがジルと背後で繋がっていたからのようで。やれやれ)。
 退院して自宅に戻れば、恋人ジルからの別れ話が留守電に。イメージ映像で、ジルの顔と電話が重なる図はシュールですね。
 立て続けに色々やってきて、すっかり打ちのめされた感じのゲルト。一人、無人となったレース場の客席で黄昏れていると、そこにベアトリス登場。褐色の肌に眼鏡に、ちょいと前開きすぎの服装。が……それよりあの前髪のデザインがおかしいw プッチ神父みたいで、いきなりジョジョティストだやね。
 そしてベアトリスは、怪しい薬を差しだしてきました。未認可の新薬……人体での臨床試験もまだ……副作用で幻覚症状などなど……って、ヤバイよヤバすぎだよ! まあ結局は飲むんですが、その辺の葛藤ははぶかれていて残念。
 一方XATの面々は、倉庫街にて新たに発生した融合体を追います。一度調査して「いない」と思ったら、焼却炉の中に隠れていて笑える。逆立ちしてるし! が、まだ潜伏していることを読んでいたXATは、アタッカー(ヘルマンとアマンダ)が狙撃ポイントに誘導→アルとブラッドのスナイプではじき飛ばす→走らせておいた無人車に融合体をたたき込む→車にしかけた爆薬点火! と見事な連係プレーを展開します。しかし残念、融合体が起爆装置を支配したので、爆薬は不発。惜しいのう。
 とりあえずミサイルやら何やらたたき込んで車を破壊したものの、屋根にまたも隠れてました。
 ヘルマンが融合体の動きをニンジャって言ってましたが、この隠れっぷりは確かにニンジャ。そしてアマンダを人質に取り、融合しておいた爆薬を盾にします。何のためらいもなく「撃て!」と叫ぶアマンダ格好いいですね、肝が据わっているというか(私にかまわずって入ってないのもな)。でもあんた死んだらマレクどうなんのさ……。
 その膠着状態を打破したのは、謎の白い融合体!
 鮮やかに融合体を倒し、変身を解いたその姿は、なんとゲルト・フレンツェンのものなのでした……。マスコミが戦闘区域に入り込んでうざかったんですが、しっかりゲルトが融合体倒したところも見られちゃいましたねー。
 融合体の正体がゲルトだったことに驚くブラッド(「嘘だろ!?」)とアル(「誰?」)。……アルってバイクレースとか見ない人なんですかね? 超有名人・スーパースターであることは作中で何度か強調されていたんですが、狙撃ポイントに立っているはずなのに、アルがちゃんとゲルトの顔が視認できなかったって納得がいかないような? はてなはてな


■第二話 栄誉の対価

 本来、融合体は研究施設などに隔離しなくてはならないものの、有名人であることも鑑みて「監視」という譲歩した処置を取るXAT。良かったねという感じですが、ヘルマンにさえ「他言無用」というベア子との約束を守るゲルトは、「奇跡だ」の一言で変身についての説明を済まします。おいおい、それでいのか。あの薬について、なんか調べた方がいいんじゃないのあ〜? まあ彼からベアに連絡取る方法なさそうですけど。
 融合体は死体から変異し発生する、というのがこれまでのセオリー。ゲルトはどうやら、初の生者から変異した融合体らしい。
 ……という、おおむねの見解に反発するヘルマン。いや、あなたゲルト好きなのはいいけど、あの姿が融合体という今知られている現象のそれ(もしくは亜種)じゃなくてなんだっちゅーの。一方のアマンダは彼を融合体と思っていますが、心は人のままだという中庸な考え方に。
 基本的に地に足のついたキャラが多いブラスレイターですが、その中でヘルマンだけは、ゲルト関係には暴走っぷりが激しいです。遅かれ早かれあの結果は避けられなかったかもしれないけれど、ヘルマンが医療センターで外への鍵とバイクを渡したのって、凄い重大な失点ですし。ゲルトが人間の味方だと理解して貰いたくて必死で、戦闘区域に彼を連れ込んだりとかね。あらら。
 さてさて、融合体を退治したことで、ゲルトは再び英雄として返り咲きました。
 レーサーとしての復活ではないけれど(まあ足が治ったからバイクには乗れそうですが)、民衆がそれを求めるならいくらでも戦うつもりのゲルト。なんかヤバそうな方へ思考が進んでませんかそれ。医療センターに用意された部屋には、ずらっと花束などプレゼントの山が。ゲルトを拘束したXATにも、本部前まで抗議の群衆が来てたし、うへぇ。
 二度目の融合体退治のあとには、「救世主」として彼をあがめるような風潮が広がっていきます。XATのがんばりも認めてあげてください……(涙)。「おれはゲルト・フレンツェンだー!」と言ってはしゃぐチビッコとかもいるし。まあ一方で、「お前の国から悪魔憑きが来るんだ! お前も悪魔なんだろ!」なんてたぐいのイジメもあるんですが。
 ベア子が言っていた副作用、幻覚と情緒不安定に悩まされるゲルト。監視にきたヘルマンらには「俺は悪魔憑きじゃない。人を襲うなんてありえない」と言い切った彼ですが、酒の水面や鏡には、時折変身後の姿が映ります(酒のほうは心情描写の可能性もあるけど、鏡の方は確実に幻覚っぽい)。憂さ晴らしにヘルマンから渡されたバイクで走りますがそれでも駄目。
 思い出すのは、医療センターに送られてきた、分かれた恋人・ジルからのボイスメッセージ。会う約束をしたのは明日だけれど、待ちきれなくて今日行っちゃいます。
 そのジル邸では、浮気の真っ最中でございました。ゲルトを利用することしか考えていない二人……舐めてやがる。その会話一部始終を見てしまったゲルト、当然ながらキレてしまいます。まあ普通の男なら、充分トサカにきますよね。で、彼はただでさえ情緒不安定。しかも融合体の力なんてあるから、ああ体が光り出し、変化を初めてしまうのでした。
 一方そのころ、とある教会では聖歌隊のちびっ子たちが、「私たちの英雄ゲルト・フレンツェンのために」などと歌い出します。清らかな歌声に重なる、ゲルト(半変身状態)に首を絞められるジルの顔。なんつー黒い演出をしますかっ。
 しかしここで、前振りにもあったナイフでゲルトを刺すマシュー。あーあ。そして、監視していたヘルマンとアマンダはその光景を目撃してしまいます。ようやく自分のしたことに気がつき、ジル(まだ生きてる)を放り出し、己におののくゲルト。
 逃走するゲルトの前に、青い融合体が出現します。トンネル内で、八つ当たり気味に攻撃を仕掛けるものの、やはり経験の差かあっさり敗北して転倒。「お前も堕ちるのか!?」なんて諭されますが、追いついたヘルマンらを振り切り、更に逃げるゲルトは、そのまま谷に転落して爆発炎上してしまいました。あーあーあー……。


 さてさて、何やら変身ヒーローへのアンチテーゼかってな話の幕開けでした、ブラスレイター
 非業のヒーロー・ゲルトが、これからマスコミと世間からの偏見やらなんやらに立ち向かいつつ融合体と戦うストーリーと思いきや、そうでもなくて。そして本当の主人公は、たまに出てくる青い融合体(ジョセフ)なんですが、今のところは主人公であっても語り部ではないって感じだなあ。中心人物は間違いなくゲルトだけど。
 語り部は……最後まで生き残ったアマンダあたりかな? いちいち勘が良い(でも運が悪くてあと一歩踏み込めない)彼女は、探偵ポジですしね。主役はXATでもいいんだがなあ(それはむしろ「舞台」か?)。OPの流れからしたら、ジョセフとゲルトのダブルヒーロー路線もよさげなのに残念。
 しかしスナイパーコンビは空気気味ですねー。
 OPでも、チーム四人がマスク外している絵、この二人がアマンダとヘルマンに比べるとかなーりモブ風味の顔になっているような。目が小さいデザインだし。最初はブラッド(ゆうきゃん)ももうちょいしゃべっているんですが、気がつくとアル(勇者王)のほうだけしゃべってて、後はだんまり状態。そして背景と同化。あるえー? ああ、でもドッグタグと弾丸のお守りって、途中から急に出たと思ったら(まあ本編は実際そんな感じだけど)、エンディングでちゃんと身に付けていたんですね。
 監督はこの作品で「硬派」を意識したそうで、温泉/プール/シャワーシーンなしという方針だったそうです。
 まあキャラデがNiθさんなので、尻に妙な気合いが入ってますがね(しかも男女無差別)。妥協して顔を洗うシーンは入れたとの言ですが、それ男ですよ監督! まあこのストーリーで温泉以下略をやられても困りますが、アマンダやメイフォン(オペ子)にシャワーシーンが入らなかったのはびっくりだ。今時珍しいよ実際。