原作:乙一/漫画:大岩ケンヂ『GOTH』

 何故 自分はこのような穢れた魂を持って生まれついてしまったのだろう…

GOTH (角川コミックス・エース)

GOTH (角川コミックス・エース)

 いまだと『NHKへ行こう!』コミック版で有名な、大岩さんの初単行本。絵が好き。
 内容は、猟奇事件や人の死に興味を引かれる「GOHT(ゴス)」な少年と少女が、殺人事件に巻き込まれたり解決? したりする話。「僕は普通とは違う」と(胸中で)言い切る主人公とか、高校生に追い詰められる大人とか、ナイフで殺し合う男子高校生とか、まあ中二向けと言えばそう。GOTHの人を題材にした作品といえば、『SINO 黒い魂を持つ少女』(上月雨音)のシリーズも連想しますね。
 ……だがしかし、原作者である乙一さんの後書きがかなーり本作を台無しにしてくれているような。この作品にのめり込んだ読者ほど、読み終わった後にアレを目にすると面白くねーなー、という感じ。
 何か昔、秋山ドン(『回廊』の首領閣下)が日記だか雑記だかで、よい後書きというものについて書いていた気がするなあ。読後の余韻をぶち壊すのは駄目だとゆー、そういう趣旨の記事だったと思うが、記憶がかなりアバウト。
 まあそんなわけで、この作品を読む時は後書きから先に目を通すべきだろう。
 原作のほうは未読だが、漫画版は複数のエピソード(記憶とか)が合体している模様。この本自体は買ってから結構経つんだが、引っ越しの際に見つけたのでやっと積読から解放しました。表紙のしっとり暗いデザインと、それに似合う中身がいい。ベタの黒さと白さとか。
 三話目の「土」は、コウスケの顔が思い出せないのって何かの伏線かと思ったらそうでもなく終わってしまって残念。佐伯さんと=だと思ったんだけどな。でも落ちとかはあれが一番好きです。前後編の「記憶」は正直微妙だったし。
 ただ、「土」も表紙のボンテージ拘束にヒクんですよね……。
 色々好きなんだけれど、個人的に残念な部分も散見される作品でした。原作……は、まあコミックだけ読んだら別にいいや。