第17『スローネ強襲』・第18話『悪意の矛先』

 ネット不通の間に再放送は進んでいったのであった。
 すっかり出遅れダブルオー感想二本立て。


 画像の上と下が兄と妹という関係に何か理不尽を感じましたが、ようはドラエモンとドラミちゃんみたいなもんだと思って納得することにします。一般的な意味での兄妹じゃなくて、同じ遺伝子から生まれたデザインベビーとかそんなもんらしいし。ネーナは少し違うけど。
 三国合同軍事演習の時点で、ティエリアが「こうも早く世界が動くとは」と言っていましたが、それでもなお世界の動きを早めたがる存在がいるようで。カンフル剤・トリニティが投与されちまいました。グラハムが高潔とも評した(小説版)ソレビのガンダムマイスターに対し、色々と過激な彼らの行動が、「ガンダムを倒すために世界が一つになっていく」という状況を生み出すのです。
 とまあ、そんな役割上トリニティとトレミークルーは対立するわけですが、17話はその布石、18話で決定打(完全対立)というのが今回の流れ。
 そんなわけでプトレマイオスに顔出しにやってきたトリニティ兄妹ですが、実に潔く視聴者&トレミークルーに嫌われようとがんばっていますね。特にミハエル君は四方八方に喧嘩を売りまくります。ロックオンに「うるせえぞこのニヒル野郎」、アレルヤに「不完全な改造人間君」、ティエリアに「女だったらほっとかねえのに」などなど。……しかしアレルヤへのあの言葉って、事情を知るスメラギさんとティエリア以外にはよく分かりませんよね。まあ、超人機関の一件からなにがしか察して、リヒティとかがああ、それであの時スメラギさん怒ったのかーって気づいてくれたらいいなと妄想。気づいてもみんな、守秘義務的に口にはしないだろうけど。
 険悪な空気に一抹の清涼剤、ハロ登場。ロックオンの相方(橙)がネーナの相方(紫)にニイサンと呼びかけ、感動の再会と思いきや全然そんなことはなく。アバンで紫ハロ(小説版ではHARO表記)が、80年前の木星で見つかったらしーので、記憶が飛んでてハロを覚えてないのはそのへんが理由っぽい。って、ちゃんと破棄しておけよ……>当時の木星クルー。変なところで抜けているな。
 さて、次男が次男なら長女も長女。初対面の相手にキスをするわ凄むわ、なんか悪女ですね。ティエリアに至っては、聖域(ヴェーダへのアクセスルーム)まで犯され、憤懣やる方なし。刹那やアレルヤにもマイスターとして相応しいか否か、常に厳しい目で見てきたティエリアです。そりゃ「あんな奴らにガンダムを与えたのは誰だ……?」となりますわな。あと、ミハエル君は釘宮病だと思います。
 そんな弟妹をいさめ、謝罪もする長男ヨハンですが、礼儀正しいように見えてそうでもなかったり。慇懃っつーか。結婚式場を爆撃したネーナにさらっと注意だけで済ますあたり、実は下二人よりタチが悪い男でしょう。そのタチの悪さは万全に発揮されなかったわけですが。監督はもう1話トリニティを暴れさせたかったようですけど、それがあったらヨハンの真のエグさが発揮されたのかな?
 とりあえずトレミー側に最悪の印象を残しただけの対面を終えて、トリニティは行動を開始します。
 You have witnessed too much……(あなたは知りすぎた……)
 エイフマン教授、あぼん。絹江姉さんより早いんだっけ、そういや。
 そこへ駆けつけるグラハム一行。しかし時既に遅し、既に基地は壊滅状態でした。ビリーは運が強いなあ、ルイスと違って五体満足だし。慎重に、ゆっくりとですが、初空中変形を見せつけてミハエル(スローネツヴァイ)に挑むハワード・メイスン。
ハワード「これがフラッグの力だ!」
 まあ勝てるはずがないだろうことは想像に難くないのですが、それまでユニオン勢レギュラーとして出演し続けた名ありキャラが、ガンダム乗りとはいえぽっと出の新人に殺られちゃったんだから、またも視聴者の反感ポイントが加算されました!
グラハム「私の顔に何度泥を塗れば気が済むのだ……ガンダム……!」
 無論、ハムの阿修羅ポイント(溜まると阿修羅を凌駕する必殺ゲージ)にも加算。
 と、世界がそんなヤヴァイ状態なのに、親戚の結婚式のため、帰国するルイス。渡航制限? ママが代議士さんに頼んでくれるって。……そんな無理が通ったりしなければなあ。しかしおまいら、キスもまだだったんですね。せめて友達卒業しておればなあ。
 そんなこんなで、トリニティの武力介入も七度。って、多いんだか少ないんだか。
 トリニティのガンダムスローネをこっそり調べていたトレミークルー。どうやら疑似太陽炉搭載機のようだが、そんな代物、CBの技術を盗んだとしか思えない。もしや組織に裏切り者が? と、ますますイヤ〜な感じになってまいりました。
 しかしCBのエージェント、王留美はといえば、トリニティを容認する方向でいくつもり。うわぁ、この人もタチ悪そう。
 軍人墓地、ハワードの墓前にてちょっぴり語られるグラハムの過去。小説版でもこのへん大した情報はなかったなあ。ジョシュアの言と合わせると、ハムはフラッグのテストパイロット時代、模擬戦で事故に近い形で、上官を死なせてしまった模様。なんかジョッシュの口ぶりからすると、その後昇進したっぽいんだよなあ……。このへんって二期で語られるのかー。どうなのかー。
 自分の目に何も映らなければ世界は平和だと勘違いする愚鈍な精神。
 自分の周りが幸せであれば世界は平和だと思い込んでしまう視野の狭窄。
 そういうのをさあ……無知って言うんだよ。
(小説版2巻)
 連日のミッションに疲れたネーナの目に映る、幸せな結婚式の光景。それこそCBたる彼らが守るべきはずのものなのに。
 世界のどこかが幸せじゃないのなら、自分のぶんの幸せを減らさないといけないですかね。そうすることで他者の取り分が増えるなら、それもいいかもしれません。でも、「みんなが幸せじゃないから私たちも幸せになっちゃいけない」じゃ、いつまで経っても誰も幸せにならんわけです。というか、全てが幸せにならなきゃ自分も幸せにならないとかって、凄い傲慢だし。人間の分相応ってのは、自分の周りを充足させることなんですから。
ネーナ「世界は、変わろうとしてるんだよ」
 あの幸せな人々を殺してまで変えた世界はどんなのでしょうね? ネーナの軽佻浮薄な行動は、世界をどう変えるかという具体的ヴィジョンを感じさせません。まさに「あんな奴らにガンダムをry」です。何とも薄っぺらな悪役。視聴者にいとも簡単に嫌われる、自らの信念すらない傲慢者。
ネーナ「死んじゃえばいいよ
 そして、ルイス・ハレヴィの運命は断じられました。
 せめてGNハンドガンの弾が一発なら、沙慈に救われたのに。共に生きられただろうに。いや、そもそも最初の一発がなければ。何一つ起きなければよかったのに。けれど、結局のところ、今まで世界の戦争にもソレスタル・ビーイングにも無関心な傍観者であり続けた彼女は、ひどく残酷な形でそれらの「当事者」になってしまったのです。……二期予告だとどうもMS乗っているしな。腕はなんだ、義手?
ティエリア「拒否された!? この僕がアクセスできないなんて……そんな……」
 ヴェーダがハックされ焦るティエリア。リボいる、リボリボ。
 一方、着々と人員を減らしていったオーバーフラッグス隊では、ビリーが怪我を押してフラッグの整備に励んでいました。……あの、他の整備員とかは? そんなに整備しにくい機体がダースちょいほどもあって、よく運営できたなオーバーフラッグス。
ビリー「単独出撃なんて無茶だよ」
グラハム「そんな道理、私の無理でこじ開ける!」

 出現するスローネを迎撃に向かう、グラハム・エーカー@阿修羅を凌駕。あるいみジャイアニズムに通じるものを感じる台詞。
 燃え盛るアイリス社の工場。ご臨終なさった工員さんの、スローネに対する「あ、悪魔……」が的を射ているというかなんと言うか。
グラハム「一矢は報いたぞ、ハワード」
 発言直後に吐血したハムですが、内臓とか大丈夫なんですかね。12Gて。
 最後に、刹那が主人公らしくスローネ三機を駆逐しに行ったところで次回へ。