出雲旅行記(1)

 引っ越し二日目にして一泊二日の島根旅行へ。
 なぜとは言うな! 全ては母上の差し金じゃ!
 ……引っ越しの予定の前に、既に予約にて決定していた日程であります。キャンセルしたら金取られるし。仕方がなかったのです……ですぅ……。一番の理由は、八月から家賃が値上がりするので、何がなんでも七月中に引っ越さなくてはならなかったってことですけど。
 あんたら家族四人総出で働いてんだから、こんぐらい払えんだろう? いいえそんなお役所さま、低所得者集団の我が家にはとてもとてもぉ〜! あああ、追い出そうとする役所の悪意が見えるよハレルヤ! てな具合に本当に追い出された(人聞きが悪い)んですけど。払うローンは今までの家賃とそう変わらぬ、お値段据え置き。貸賃じゃなくて我が家になるんだから、ありがたいこってすなあ。
 さて、旅行です。夜中まで荷物解いて掃除して、でも朝の五時に起きて車を飛ばして電車にどんぶらこっこの一時間。京都八条口からバスへ乗り込みます。俺はといえば、引っ越しづかれ+前日になって生理開始+他人が運転する乗り物苦手(酔い止めはもらった)+いまだ引き摺る夏風邪+寝不足、などなどなどの理由でテンションはだだ下がりだったわけでー。酔い止めの効果でぐっすり眠りながらも、出雲神社に到着した時には、不機嫌どころか体調不良まっしぐらでした。
 今回の旅行のメインは、出雲神社59年ぶりの本殿ご開帳。伝統や建築的なことはよく分からんけど、神社を見るのは好きな鵺屋は喜んで参加しちったわけですが、まあ、その。出雲神社は……きつかった。
 まず、熱い。暑いじゃなくて熱い。炎天下なのは無論のこと、木陰のアスファルトさえ輻射熱を放ち、もう俺たちを焼き殺しにかかってたよ! 照り付ける太陽のギンギラギンの眩しさは尋常ではなく、視界が軽くホワイトアウトしそうな光量に「ああ、俺、すっごく焼けてる……」という気分になることしきり。熱すぎて目眩がした(誇張抜き)。
 で、イベントがイベントなので全国から参拝者が集まり、人出が凄いことになっていました。境内が人混みで埋まっていたとかそういうわけではないんですが、メーンイベントの本殿を拝むためには、テントの下で順番待ちなのです。何やら冷却剤を振りまくでっかい扇風機があっちこっちに置かれてましたけど、焼け石に霧の一滴。青緑の袴をはいた神職さんを「暑そうな服だな−」と横目に眺めながら数十分。ガイドさんが事前に言ってましたが、参拝時間より待ち時間のほうが倍ながかったです。
 で、まあ、そうまでして見た本殿は。まあ、良かったですよ。
 一番感動したのが、200年以上も前に描かれたのに、いまだ色鮮やかな五色の八雲です。あんまり色が綺麗だから、つい最近作られたレプリカっつわれても信じられそう。常日頃から締め切って、太陽の光を当てなかったからここまで保存できたんでしょうねー。
 その後は何度かトイレ休憩を取って、ホテルへ。途中、出雲なだけに勾玉の資料館へ連れて行かれたんですが、あれは行って一体どうしろというのでしょうか。三十分も時間取るほど観る物ないし。NHK大河ドラマ聖徳太子)で使ったっちゅー勾玉やパワーストーンの数々が展示されていましたけど。
 夕食はホテル周辺の飲食店で取ることになります。結構美味しい居酒屋に入れたんですが、疲れまくって具合が悪くなっていた私は、残念ながら大して楽しめませんでした。うう、ゴマだれチャーシューサラダ、美味しかったのに食べきれなかったっす……。
 何かどでっかい招き猫が印象的な店でしたね。出雲神社のお土産屋にも招き猫はあったんですが、私が買うには手に余る品で残念。高いし。でかくて持ち帰れないし。いつか1mくらいの招き猫を買って、我が家に設置するのが昔からの夢なんですけれどねー。
 ホテルでヘドロのように眠りこけて、一日目は終了です。