第13話『聖者の帰還』

 ニュータイプのCMで、00二期の情報がちろっと出ましたね。
 二期マイスターがずらっと勢揃いしましたが、外見はあまり変わっていないというか、その……何あの新コスチューム…………。

 アザディスタン編後半戦。
 ユニオンとソレスタル・ビーイングの介入によって市街戦は鎮圧されましたが、大事な太陽光発電の技術者は撤退し、施設も破壊されてしまいました。マリナはただ国を豊かにしたくて太陽光発電を招き入れましたが、その行動がクーデターなど、争いの火種を持ち込んだのだと憤る国民は多数います。
 状況は最悪。それを解決するにはなんとしてもラサ、マスード・ラフマディー氏の身柄を確保しなくてはなりません。
 既に同じ結論に達しているCB側では、留美とロックオンが内戦を起こしたがっている第三勢力の存在について相談していました。ぎっちょんミサイルからMSを所有する組織がこの国に争いの火種を撒いたことは推測できましたが、なぜか二人とも、そこで「戦争が商売になる人種」について考えが及びません。君らが属している組織的に、真っ先にそういうものに気がつかないといけないのでは……。
 そんなわけで、調査のため再度刹那が使い走りをすることになりました。
 指示されていた場所には既にユニオンが調査に。もちろんグラハムとビリーです。とりあえず身を隠す刹那ですが、ガンダムセンサー搭載済みの乙女座にはあっさり看破されてしまいます。さあ観念するのです。
 CBは人材が結構不安な組織ですが、さすがにこうした場面のためにレクチャーがされていました(小説参照)。それに従って、刹那は一人称ボクのかよわい地元民の子供のフリをします。この豹変ぶりにはびっくりですね、見事に猫をかぶっていますよ。
 しかしことガンダムに対しては特別の嗅覚を持つ乙女座某にはききやしません。あっさりドーナツのひと(ビリー)は騙されていましたが。ああ、ビリーはスメラギさんの件といい、騙されやすいタイプのお人好しだなあ。
 にしても、ここの刹那とグラハムの会話は貴重ですね。戦闘では何度かぶつかる二人ですが、きちんと言葉をかわすのはここと、最終回ぐらいのものです(戦闘中のグラハム発言は著しく独り言)。
 グラハムのわざとらしい情報でアリー・アル・サーシェスが関わっていることに気づいた刹那。かつての師匠にして自身を洗脳し親殺しの原因を作った奴が絡むとなると、平静ではおられません。早速ロックオンらに一報を入れて、かつてのアジトへ向かいました。
 ただその前に王宮のシーンが入るのですが、そちらではマリナ暗殺未遂事件が起こっていました。
マリナ「なぜ……! なぜ私たちは、こんなにも憎みあわなければならないの……!」
 侍女として潜り込み「改革派の手先」とマリナを罵って銃を向け、即座に撃ち殺される女性。この内紛で家族や恋人を失ったりしたのでしょうか、何ともやるせないことです。王宮の警備体制に突っ込みたいところですが、内通者の手引きがあったのかもと考えると怖いですね。
 太陽を背に現れるエクシアを、夕日を浴びるイナクトで迎撃に向かうサーシェス。世界中の軍隊や国家から脅威と見なされているガンダムですが、サーシェスは既にパイロットが「クルジスのガキ」と見当をつけているので、ガンダムを恐れるどころか舐めてかかっています。だからといって痛い目に遭うでもなく、余裕であしらうあたりに実力と経験のほどが伺えますね。
 かつてサーシェスは神や聖戦を語り、幼い刹那と友人たちを戦いと死に駆り立てました。刹那はそのことについて問いただしながら戦いますが、分かったのはサーシェスは神など信じていないということです。まさにこの世界の歪みの権化。
 サーシェスはまんまと逃げ、確保していたラフマディー氏を逃がしました。この戦いを制したのは奴のでようです。ですが刹那も伊達に準備はしちゃいません、ラフマディー氏を護送するサーシェス一党を待ち構えるのは、月を背にしたデュナメスと、留美の命で随伴してきた紅龍でした(ちなみにこの人、デュナメスに乗った時はヘルメットもつけてなかったんですが、やっぱ身体能力一つで凌ぎきったのでしょうか。もうこのひとマイスターに入れた方がよくね?)。
 ガンダムではなく生身で狙撃するロックオンと、マシンガンの射撃をかいくぐって蹴りを食らわせる紅龍。00では数少ない肉弾戦シーンです。アレルヤもせっかく筋肉の人なのですから、こういう場面が欲しかったですね。もったいないもったいない。二期に期待。
 首尾良く敵を片付けたところでエクシアが訪れ、ラフマディー氏を確保しました。何かソレスタル・ビーイングと聞いて嫌そうな顔をしていますが、まあ仕方ありません。
 さて宇宙のトレミーでは、全然出番のないティエリア様がおかんむりでした。この人怒ると髪が静電気か何かでも帯びているような、不自然な広がり方しますが誰も突っ込みませんね。猫の毛か何かみたい。ちなみに彼が怒っているのはスメラギさんの作戦に対してなのですが、エクシアの心配はしても刹那の心配はしていません。そこへフォローを入れたのはやはり出番のないアレルヤさん。
アレルヤ「僕はスメラギさんのプランに賛成だ。世界に見せつける必要があるのさ。ソレスタル・ビーイングの思いを」
 さてさて、その作戦とはどんなものなのでしょう。
 作戦開始。まずはマリナの元へCBからのメッセージが届きます。ラフマディー氏を確保したので、王宮に向かう。早期停戦へ向けて会議をしてください……というような内容です。
 何せテロリストの言うことですから、罠の可能性も高いです。紛争根絶とか掲げられても、紛争指定されてタリビアみたくアザディスタンがズタボロにされるかもしれませんし。何にせよCBがやって来るということは、戦闘が起きることとほぼイコールだと思っていいでしょう。当然マリナたちはそれを望みません。しかし……。
マリナ「それ以上に信じたい。信じたいのよ」
 刹那との邂逅、ここ数日の葛藤が彼女にどのような思いをもたらしたのか。王女らしく凛々しい顔でマリナは決意を語りました。あれ、これって今までで一番きまっているシーンじゃないですか? マリナ様。
──ガンダムが来る。
 世界の首脳陣も、相変わらず母子で三角関係を築きつつある沙慈ルイもその動向に注目せざるをえません。
 本当に来るのか? という疑問を軽々蹴飛ばして、エクシア堂々のご来場。
 戦闘する意志はないという表明として非武装です。それに気がついたマリナは攻撃しないよう命令を下しますが、ソレスタル・ビーイングを敵視する市民やMSのパイロットたちは次々と攻撃を加えてきました。マリナの悲痛な叫びと硝煙の中、エクシアは攻撃がやむのを待って、ゆっくりと王宮へ近づいていきます。まるで無抵抗・非暴力的なその姿はガンジーがごとき、そう、殉教者のよう。……世界最高峰の兵器でありながら、非暴力を示す。皮肉であり矛盾でもあり、しかしそれこそソレスタル・ビーイングの姿勢そのものです。
刹那(今度こそ……ガンダムに)
 そしてラフマディー氏は無事王宮に保護されました。堪えられなくなったように、マリナはその場を飛び出して刹那に声をかけます。あーた暗殺されかかったばかりやっちゅーのに、狙撃されても知らんぜよ。幸いそんなことには至りませんでしたが、刹那は倒置法喋りで「戦え。お前が信じる神のために」と言い残していきました。かつて神を語る輩に騙され、神を信じて親を殺し、今またサーシェスに騙されていたことを再確認しながら、そう言い放つのです。彼にとっての神とはガンダムなのかもしれませんが、マリナの神は違います。アレハンドロは軽々しく、他者の異なる神に誓いを立てる信用ならん男でしたが、刹那はどうなのでしょう。彼の信仰とは。
ロックオン「けどよ、お嬢さん。これでこの問題が解決するのかい?」
 ミッションコンプリートを見守ったロックオンと留美は、アザディスタンの今後について考えます。
留美「できないでしょうね。でも、人は争いをやめるために、歩み寄ることができる。歩み寄ることが」
 ううむ、世界なんて壊れてしまえーと言ってしまうあれと同一人物とは思えない発言だな王留美……。アレハンドロが終盤、しわ寄せ的に道化となったように、留美も後半ではちょっと人が変わっちゃったのでしょうか。この辺の剥離が気になるんですが、うーん。
 何にせよ、アザディスタン編はこれにて終了し、来週はコーラさんが出ます。
 ガンダムの力ではなしえなかったことと、ガンダムの武力を使わずしてなしたこと。そんな前編と後編が印象的なエピソードでした。


 オマケ

 その仮面、他に選択肢はなかったんでしょうかと小一時間。