第11話 『アレルヤ』


 今回は当方一押し回につき、キャプ画像大増量でお送りします(一部コラ含む。小さくて多分わからないけど)。……たとえば左上の子アレルヤは目のハイライトがないんですが見えませんね、はい。でもE-0057とかって目が死んでいるほうがそれらしくっていいと思うんだ。
 ちなみに10話、11話が収録される小説版ダブルオー2巻は8月1日発売だそうですね。
 さて、久し振りにガンダムストーカー・グラッハムの登場です。ティエレン20機──また激しい戦果だやな。……そんなにデブリが宇宙に飛散したままで大丈夫なんでしょうか。回収業者とかいそうですけどさ。口笛を吹くドレッドダリルがいかにもアメリカン。
 一方、同ユニオン勢ということで、ビリーとエイフマン教授がGN粒子、およびイオリアの真の目的について語らったり考察したりしたところでオープニングです。にしても、多様変異性フォトンってなんか便利そうな名前ね。
 さて、「戦いに勝って勝負に負けた」感アリアリのソレスタルビーイングでは、絶望ティエリア先生による学級会(という名の糾弾会)が始まっていました。スメラギさんに文句ブー垂れてますが(そしてスメラギさんも指揮官として頼りない発言してますが)、今回はスメラギさん以外の責任も重大っすよー。常識人でオトナな兄貴がとりなしてくれ、ひとまず場は収まりました。
 一方、アレルヤはソーマ/タオツーとの遭遇から、自らの過去を回想しています。
アレルヤ「まさか、あの忌まわしい研究が続いて……?」
 というか続いてないと思っていたのか。

 施設の回想。右のやつは寝ている所だと最初思って「睡眠時は裸だったのか……?」と不憫に思った時期もありましたが、どうやらあれは死体置き場のようです。なるほど、右上に袋がある。でも普通被験体が被験体の死体安置所に入ったりしないと思うんですが、アレルヤは屍体の振りして脱走とかしたんでしょうか。まあ、単なる演出上のイメージって可能性もありますけれどね。
 さて、大規模な作戦を行いながらも、得たのは精神的にソレスタルビーイングをへこませただけで終わってしまった人類革新連盟。セルゲイ中佐は上司と対談を行っていました。当然のこととして、これ以上のガンダム鹵獲作戦に難色を示す中佐ですが、既にソレスタルビーイングへの対応は次の段階へと入っていました。ユニオンと密かな接触をって、冒頭でグラハムたちが出てきたのがまた意味深ですな。オバフラとソレスタってまだ特に何もなかった気がするし。
 あと、この上司は寛大で有能な感じがしますね。中佐を責めないし、辞表も受け付けん! って。後半は他の政治家連ともども、出番がなくなってしまったので、また再登場していただきたいもんどえす。
一般兵さん「ピーリス少尉。次の作戦でミン中尉の……同志たちの、仇を!」
 ここだけしか登場しなかった、人革連の女性兵士さん。ソーマは微妙にズレた返答をしてましたが、この二人の組み合わせはもっと見たかったですね。てかこのお姉さんはミン中尉と個人的に親しかったりしたのかしら。かしらかしらー。
 一方、超人機関の研究員は、ガンダムパイロットに機関出身者がいることに勘付きました。
研究員「いる。被験者E-0057。E-0057、脳量子波処置後、新たな人格が形成。凶暴性あり。データ収集後、処分」
「E-0057」という数字の桁からすると、A〜E×0000〜9999でアレルヤは40057人目の被験体ということに。ワールドレポートによると、アレルヤは「本名不明(覚えていない?)」……つまりほぼ物心つく前から超人機関に入所しています。で、その時もらった番号がこれっつーことは、アレルヤが脱走した時(番号もらって10年後)+アレルヤが機関を破壊しにきた時(更に10年後)で、20+@年機関は存続していたんですよね。……何万人の子供が死んだ/廃棄処分されたのでしょう(数十万はさすがにないと思いたいが、十数万は行きそう)。「人革にとって人命は消耗品(DS版アレルヤ)」ってね。使いべらすもほどがあるわ!
 さらっと処分とか言いやがってこのやろう(失敗してるけど)。……しかし脳量子波ってどの資料でもちゃんと解説されていないんだが、SF用語にあったっけかなあ、これ。脳を量子コンピューターとみなしてのモノなんじゃないかとは思うんだが、ある意味GN粒子以上に漠然としているんですけど。俺の勉強不足?
 さて、中佐の命令でタオツーのミッションレコーダーを調べていたらしき研究員、中佐に進捗状況を尋ねられましたが、さっくり誤魔化しやがりました。
研究員「我々以外にも脳量子波処置を研究している国がある可能性を否定できません」
セルゲイ「もしもそうだとしたら……。この世界は、歪んでいる」

 さりげに中佐が刹那いことを言い出しましたが、それはそうと研究員しらばっくれますねえ。最後に全部バレてあぼんしましたけど。
 所戻ってプトレマイオス
 敵パイロットの中に自分と同じ存在がいる……それは、あの忌まわしい機関が存続し、自分の同類が次々と生み出されていたという事実の証明に他ならない。アレルヤ(とハレルヤ)はどういうワケか機関が存続していないと思っていたようなので、動揺していますな。機関を脱走して10年、その間にどれだけの子供たちが、「厳しい実験」や「過酷な実験を強いられ」、「強化に失敗して次々と処分」されていったのか。
 ……まー超兵の被験体とか実験とか言われても具体的になにやるかピンと来ないんですけどね。アウシュヴィッツ動物実験とはちょい種類が違いますし。731だと生物兵器作るために毒ガス実験とか……あー狂四郎みたく毒ガスの中で生き残る実験(訓練?)とかはあったかもしんない。厳しいとか過酷とか一言でいわれても、幅がデカいからつい想像してしまうんですよね。グリア細胞を強化うんたらってことは、失敗したらグリオーシスすんのかね。サイトカインで神経細胞増えるなら(?)、それ投与されて高サイトカイン血症っつーかサイトカインストームで多臓器不全とか。宇宙空間に適応するための訓練とか。銃の射撃やMSの操縦訓練も実験とはまた別に受けていたから、なんか凄い忙しい生活送っていそうですね。月月火火水木金金みたいな。
 まあそんなこんなで、人を人とも思わぬ扱いを受けたアレルヤですが、「戦闘用に改造された人間にどんな未来がある?」って台詞を見るだに、どうにもそのころに刷り込まれた思想はきっちり機能しているようで。ソーマも同じようなこと言っていますね。作戦遂行こそ存在理由。いまだに超兵機関の呪縛は解けない。しかし。
ハレルヤ「戦うことしかできないからだ。それがオレらの運命だ!」
アレルヤ「違う、僕は!」

 いつになく厳しい声、表情でそれを否定するアレルヤですが、背後には第二人格ではなく刹那がいたので不発に終わりました。即座にごまかしてその場を去るアレルヤですが、この時彼は何を言おうとしたのでしょう。何が「違う」のか。刹那は最後、自分を戦うことしかできない破壊者と割り切っていました。アレルヤはこの時、どんな答えを持っていたのか。
 一方そのころアザディスタン。久し振りにマリナ姫の出番です。次回への前振りですね。
 とりあえず目の前のことしか見えていないマリナ様ですが、シーリンはもっと悲観的で(というか現実的)でシビアでした。太陽光発電建設現場見学の提案を「わざわざ暗殺されるために?」と一蹴し、アレハンドロがなぜアザディスタンを選んだのか問いただします。このころのアレハンは狸なので、のらりくらりとかわされてしまいました。
 やがてアレルヤは、酒に逃げるスメラギさんの元を訪れ、自らの過去とともに超人機関への攻撃プランを提案しました。
アレルヤ「この悪夢のような連鎖を僕が断ち切る。今度こそ―――僕の意思で」
 CM前の台詞ですが意味深ですね。セルゲイ中佐も、ソーマ初登場の時に、超人機関が続いていたことに驚きました。チェンチュウにあった施設も、中佐という高い階級にありながら存在を知らされていませんでしたし。世間一般には存在しない物として扱われていたのですね。アレルヤが脱走した時、もしくはその後に、機関は表向き閉鎖され、研究が止められたことになっていたのでしょう。
 で、アレルヤの「僕の意思」でってのは……やっぱハレルヤが関わっていそうな感満々。彼の超人機関脱走の経緯は二期で明かされるそうですが……。媒体によって関連情報に微妙な齟齬が感じられるので、是非期待したいところであります。
 ──という具合にAパートが終了し、Bパートの幕開けは経済特区日本。
・今回の沙慈ルイ:沙慈、ルイスの作戦と自らの料理の腕で、ルイスママの好感度アップ。
・今回の絹江レポート:イオリア・シュヘンベルクは当時の優れた科学者をスカウトしていました。
 ソレスタルビーイングがいよいよ動き出します。いつまでも前の戦闘の残念っぷりを引きずっていられません。
 地上組のロックオンと刹那は順調、アンフは今日もやられ役です。前回の精神ダメージを払拭するにはてごろですね。
ティエリア「過去というものがあの男を歪ませているのなら、それは自らの手で払拭する必要がある。それでこそ、ガンダムマイスターだ」
 アレルヤの援助をし、敵を引き受けて先行させるティエリアアレルヤは普通に礼を言ってますが、前回はうっかり消しとばされるところだったのですよ……。まあティエリアはだんまりを決め込んでいるでしょうから、視聴者と彼だけの秘密ですな。
 ともかくアレルヤは人革のスペースコロニーに侵入を果たしました。さりげなくセキュリティのデータを書き換えていますが、これはクリスがプログラム組んでおいたんでしょうか。機関の人たちは、「ガンダムが来たーっ!」と一目散に逃げていきます。

 上の画像では機関の研究員は一人しか映ってませんが、実際は複数人いたりしました。でも機械に繋がれたままの子供にゃあ誰も目もくれやしません。つうか何の機械なんだろう……。壁はしきりっぽいから、ああいう椅子に座らされた子供が画面外にもずらっといそう。
 機関に接近したアレルヤの脳内には、量子干渉で子供たちの声が響いていました。一応頭痛感じているらしいですが、脳量子波の強さはどう考えてもアレルヤの方が上です。これまでアレルヤは、ソーマと遭遇するたびに凄まじい声をあげてもがき苦しんでいましたが、それと同じことが一斉に何十(何百? 何千?)の子供たちに起こっているのです。……っつーか脳量子波干渉の苦痛は生命維持に関わるってあったから、これでショック死している子とかいるんじゃ……。アレルヤがハレルヤを止めた時にはミン中尉は手遅れだったし、何かタイミング悪い人だ。さすがダメなところてん器。
 ともかく、同類の苦しむ声にアレルヤは躊躇いを禁じえません。自分で作戦を提案し、ためらわないと口に出して言いながら、結局は躊躇ってばかりですね。決意済ませたんじゃないか、とか、まあ無理もないよな、とかは思いますが、やっぱこの思い切りの悪さがアレルヤですね……。
 そんなアレルヤをハレルヤが罵倒叱咤します。

アレルヤ「彼らは生きてる!」
ハレルヤ(改造されてなぁ! そしていつかはオレらを殺しに来る! 敵に情けをかけるな!
 他人なんざどうでもいい……オレはオレという存在を守るために戦う!)

 アレルヤの中で、かつてハレルヤ/自分が撃ち殺した少年に、幼い己の姿が重なります。撃ちたくないという言葉と共に引かれる引金。
 ああ、やったやった。やっちまったよ。
 この時の決断が本当に正しかったのか。しかし現実としてはそうするしかなかった。改造した子供を見捨てて我先に逃げ出す大人たちも、自らが不幸とすら知らない同類の子供も、一緒くたに撃ち殺し、焼け落ちる施設を後に、キュリオスはふらつくような頼りない機動で去っていきました。
 誕生日とはいえ何か乾杯のタイミングが悪い(同胞+子供虐殺)気がいたしますが、酒でも飲まないとそりゃやってられませんよね。
 ……前回からなんか感想が凄い長くなってきて疲れました。次回からはアザディスタン編なので、多分短くなることでしょう。ふう。