第10話『ガンダム鹵獲作戦』


 人類革新連盟の猛攻!
 迎え撃つソレスタル・ビーイングは人的ミスの積み重ねでガタガタ!
 CB最大のピンチ、どうなるガンダムマイスター
 ……と緊張の引きで終わった前回ですが、そんな10話の冒頭は前回までの緊張感を台無しにする開幕なのでありました。そう、沙慈とルイスのパートなのであります。恐ろしい空気・読まないっぷりですが、沙慈ルイパートは監督も声優さんに「むしろ(空気を)読むな!」と指示を出してのもの。周囲の冷たい視線に耐えつつ、お二人はこの生温いラブコメ展開を繰り広げるのであります。
 そしてかなり脈絡のない繋がりで、宇宙戦闘に物語りは戻りました。アレルヤはソーマさんと遭遇し、頭痛→無能化コンボであっさりカーボンネットに捕らわれます。脳量子波干渉の苦痛は生命に関わるらしいですが、ならそんな奴出撃させるなよと(戦力ないのは分かってるが)。何もしていないのにぎゃんぎゃん悲鳴を上げられて、ソーマさんはさぞや困ったことでしょう。ていうか困った顔してますよね、これ。
 セルゲイ中佐は中佐で、アレルヤがあんましうるさいので、もしやこれは脳量子波の影響かと冷静な分析を開始しました。しかしパイロットの過去は過去で置いておいて、鹵獲もちゃんと優先させる中佐。大人ですね。さすが公式・ダブルオー一できた大人。監督もサーシェスと並ぶ最強パイロットと認めてますし、指揮能力も折り紙つき。人格も戦闘力も地位もあるとかってマジナンバーワンですね。
 デュナメスもエクシアも苦戦し、スメラギさんも己が迂闊さに苦悩。まんまと鹵獲されちまったキュリオスは、ゆうゆうと分析→パイロット確保の流れに入ってしまいます。あっけない初陣かと思いきや、中佐と少尉にヴァーチェが追いつきました。
ティエリア「敵に鹵獲された……!? 何という失態だ。万死に値する!」
 片手間にティエレンを極太ビームで屠りながら(まあいつものことですね)、更に鬼畜発言を続けるティエリア。いきなりティエリアオン・ステージです。ヴァーチェが鬼畜性能なだけありますぜ。そして欠けらもためらうことなく、鹵獲されたキュリオスを消し去ろうと発射体勢に入ります。
 しかし、ソレスタルビーイングの今後の計画(キュリオス必要)<アレルヤの粛清、なんですかティエリア先生。
 ともかくも、ヴァーチェが狙いを定めるラオホゥ四番艦を守るため、ソーマ少尉のタオツーとティエレンが対応します。ようやく少尉にも手ごたえのある(まともに戦える)相手が出てきました。アレルヤ相手では単なる不戦勝で不完全燃焼でしょう。しかしソーマにとって手ごろな相手でも、一般兵には致命的な強敵です。しかもタオツーまで足をやられました。
 が、ティエリアがソーマに手こずっている間に四番艦は危険な宙域を離脱してしまいました。艦内ではどうあってもキュリオスのコクピットを開けられないので、カッターで強行突破の段に入っています。さすがに気絶してたアレルヤも目を覚ましました。が、まだ事態を把握しきっていない模様。ただぼんやりと、ソーマの声を聞いてます。脳量子波続いていますね。そのためまた頭痛を思い出したのか、呻きと共にハレルヤにチェンジしました。
アレルヤ「聞こえる……声が……ううっ。
 そう……あの時の。女の声だァ!」ハレルヤ

 ヘルメット被ったまま髪型が変わりましたが、これは黒騎士ブラフォード並の膨張運動が働いたのでしょうか。ていうか捕まる時にチェンジしろよと多くの視聴者が思ったであろうことを芸も無くここに書いてみたりします。オン/オフの演出って説があったがどうなんだろう。
 さて、ここでハレルヤの象徴・蟹バサミのご解禁です。まだシルエットだけですけど。中佐のもとに入った四番艦乗組員の悲痛な叫びにはただ合掌するしかありませね、ハレルヤのことですから、ただ脱出するだけじゃなくやっぱ嬲り殺しもしくはご丁寧に皆殺しにしてかねませんし。
セルゲイ「全ては私の判断ミス……。しかし手ぶらで帰るわけにはいかん! 是が非でもあのデカブツを鹵獲する!」
 自らの失敗に打ちのめされ、涙に暮れるだけだったスメラギさんと好対照の中佐。上に立つ人間ってこうあるべきですよね、戦況予報士さんや。まあ実際結構被害も出ましたが、撤退するほどではないのなら戦果をあげたいところです。
 中佐はティエレンを引きつれ、デカブツ=ヴァーチェvsタオツーの戦闘に介入しました。ザコの集団なんてヴァーチェに的にしてくれと言っているようなものです、そしてやっぱり言った通りになりました。相手が悪すぎるのですよ。しかし彼らの犠牲を礎に、キャノン砲発射までのタイムラグを利用してついにヴァーチェに泥をつける!
 キュリオス同様、手足をカーボンネットに封じられるヴァーチェですが、頭痛持ちではないので力の限り抵抗します。それに巻き込まれてまた一般兵(まあ頂武に配属されているからそれなりに精鋭のはずですけどね)がまたまた死んでいきました。合掌。武器を取られ、ティエレン六機に押さえつけられてもまだ抵抗を続けるヴァーチェに、中佐は直接攻撃をソーマに命じます。
ティエリア「やられる……!」
 死にはしないんでしょうが、これを喰らえば腕でも足でも持っていかれて、今度こそ完封されることは確実。アレルヤに死刑宣告を突きつけたティエリアですから、それこそ万死しようともガンダムを敵に渡すわけには参りません。
 その瞬間、種が割れるがごとく目が光るティエリア。すわ自爆か!? いいや、まさかの装甲パージだ──ッ!
 その髪の毛はガンダムに必要なのか!?
 と思うような、アジアンヴューティ顔負けの長い赤毛をさらすヴァーチェ改めガンダムナドレ。ありゃコードの束だそうですけれど、先っちょをどっかに繋げる予定とかあるんでしょうか。コードだとしてもあんなに垂らす必要はあるんでしょうか。まあ、世の中にはセーラー服着たノーベルガンダムってのもありましたけど。ていうかGガンを例えに持ち出すと色々無意味になるのでまあ比較はやめときましょう。
 装甲パージで拘束も解け、晴れて自由の身になったナドレは肩キャノンを手に残りのティエレンを殲滅します。中佐と少尉はやむなく撤退しましたが、ヴェーダの計画にそむいてナドレを晒してしまったことでティエリアは打ちひしがれます。やりましたね人革連、戦闘としては負けですが精神的に勝利しましたよ(まあスメラギさんとセルゲイとかは冗談抜きで実際そうですしね)。
 ティエリアの一人称がこのシーンだけころころ変わっていますが、二期でその謎が明かされるそうな。やっぱ多重人格とかそういう落ちになるのでしょうか、かしらかしらー。
 宇宙でも照明弾使うのねーってことで、作戦中止・撤退の合図が入りました。単に足止めされただけですが、刹那・ロックオンはどうにかプトレマイオス防衛に成功します。なんか虚しい。しかしもっと虚しいのは、散々な損害を出しながら、結局戦果ゼロで帰らなくてはならない中佐たちのほうです。そしてそんな彼らに、更なる追い討ちをかける存在が。
ハレルヤ「見つけたぜ、ティエレンの高機動超兵仕様!あぁ、間違いねぇ。さんざんっぱらオレの脳量子波に干渉してきやがって!
 てめぇは同類なんだろ!? そうさ、オレと同じ! 体をあちこち強化され、脳を弄繰り回されてできた、バケモノなんだよォ!」

 残念ながらガンダムダブルオーでは、バケモノってほど超兵の凄まじい強さは(最終回のアゲルヤ除き)全然発揮されていないので、いまいち説得力に欠ける台詞ですが、まあそうなんです。中佐の推理をなにげに裏付けちゃいましたね。そーいえばアレルヤがモノクロで格納されたタオツー(開発中?)を回想していたので、案外タオツーの操縦経験なんかもあるかもしれません。……アレルヤが超兵一号とかになって、タオツーを操縦して、そして今のソーマみたいなパイロットスーツを着たら、きっと似合わないんだろうなあ。そうだ、きっとあれはソーマ(女子)用なんだ、うん。監督もタオツーの配色に関しては、「女の子だからね」と言い切ってたし、確か。
 陣営の違う超兵同士の一騎打ちが始まりましたが、先ほどの頭痛地獄はどこへやら。ハレルヤはヴァーチェがろくに攻撃を当てられなかったタオツーに軽々とマシンガンを命中させますが、出力を最低限に絞って確実なダメージを与えることはしません。猫が鼠をいたぶるがごとく遊んでいるのです。……この時点で「マリー」と気づいていたのなら、実は内面で殺さないよう手加減を考えていたってことになるんですが、どうなんでしょう。画面のハレルヤは楽しんで戦っているようにしか見えないんですけど、うーん。このフリーダムめ。二期では、ハレルヤがいつソーマ=マリーに気づいたか明かされるのでしょうかねえ。
 そうして弄ばれる乙女・ソーマを見かねてミン中尉が割り込み、少尉を離脱させました。
ハレルヤ「邪魔すんなよ、一般兵! 命あっての物種だろうが!」
 さりげなく後半が優しいです。ハレルヤの半分は優しさでできています、大体アレルヤ向けの。
 でもまあ頭痛は止まるし、きっとよく効きますよ、ハレルヤバファリン(画像参照)。

 しかし敵には容赦しないわけでして。アレルヤは例の蟹バサミ……正式名称シールドクローを展開し、動けないようガッチリ掴みました。中佐は「男の覚悟に水を差すな」とミン中尉の男気をソーマに諭して去って行きます。
ミン中尉「いつか、お前たちは報いを受けるときが来る。我々が築き上げてきた国を、秩序を乱した罰を!」
ハレルヤ「そんな大層なもんじゃねぇだろ? 人を改造して兵士にするような社会に、どんな秩序があるってんだ。
 ……そんでもって、オレは女に逃げられて少々ご立腹だ。だからさぁ。
 楽には殺さねぇぞ!

 キュリオスのシールドクロー(ブレード)がティエレンコクピットに突き立てられます。白熱する杭がじわじわと迫ってくる、機体が被弾して爆発するのとはまるで違う生々しい死の恐怖にミン中尉は悲鳴を上げます。
ハレルヤ「どうよ、一方的な暴力に成す術なく、命をすり減らしていく気分は?」
 あんたら超人機関でどんだけ地獄見たんだ。
ハレルヤ「ククク、こいつは命乞いって奴だなァ! 最後はなんだ。ママか? 恋人か? 今頃走馬灯で、子供の頃からやり直してる最中かァ〜!?」
 嬲り殺しを楽しむハレルヤに、ついにアレルヤが呼びかけました。なんか既にミン中尉手遅れっぽいですけどね。目の前にあんな熱い物出てきたら輻射熱でローストですって。まあパイロットスーツで少しは持ったんでしょうけど。まあそれはさておき、アレルヤは必死で自分の半身を説得します。ハレルヤも「お前にゃかなわねえよ」と譲歩の姿勢を見せます。しかし。
ハレルヤ「なんてなァ!」
 ティエレンを貫いてフィニッシュし、ハレルヤは高笑いをあげました。ああ、これでマリーとの和解フラグは完膚なきまでにバッキバキです。監督はそれ狙ってやったんでしょうけれど、ハレルヤは天然かどうか判じがたいところですね。フリーダムですから。
 戦いは終わりました。プトレマイオスガンダム、そしてマイスター。すべて健在です。
 ですがティエリアアレルヤもそれぞれに心の傷を負って打ちひしがれ、スメラギさんもまた「また、間違えてしまった……」と落ち込みます。加えて地上では、王留美がそんな情けない面々をひと括りに罵倒するのでした。あ、裁定者気取りのティエリアもマイスターでくくられて、ちょっとざまぁ。アレハンドロが傍観者宣言をした所で、今回は終わりです。