第9話 『大国の威信』


 雨の墓場、喪服のロックオンが墓参りに訪れました。順当に考えて、前回兄貴の回想に出た、テロの犠牲者……ロックオンの家族の墓でしょう。それはいいのですが、このシーンで重要なのはなぜか二人いるロックオンです。木陰にいるのが兄貴で、墓参りに来て居るのがもう一人(通称ロックオフ)でしたっけ。オフィシャルファイルか何かで言っていたような……。
 二期では「もう一人のロックオン」がいかに関わってくるか、注目です。あと、墓参りにあわせて兄貴の本名が明らかになるのも意味深ですね。
 さて、オープニングが終了してアムロのナレーションが入りました。既に作中では四ヶ月、介入六十回とのことで、月の半分は戦っていたことになるのですね。ガンダムに対し、明確に対決姿勢を打ち出した人類革新連盟が、いよいよ動き出しました。
 人革連の対ガンダム部隊・頂武。隊長に納まったセルゲイ中佐が演説を一席ぶってます。その中にはソーマの姿もありました。
 トレミーではガンダムの整備が始まり、ハロの兄弟たちがずらずら出てきました。なんとカラフル。……このハロって、他のガンダムに載せる余裕はないんですかね。
 四機一斉オーバーホールということでアレルヤはまっとうに敵襲を懸念しますが、スメラギさんは運を天任せにしています。
アレルヤ戦術予報士の台詞ですか」
 もっと言っておやんなさい。
 トレミー組が順調に気を緩めている間に、セルゲイ中佐はガンダム包囲網を着々と用意しているんです。プロの軍隊と、戦争している気分が緩いトレミーとの違いがよく分かるのが今回の話。
ミン中尉「ガンダムが放射する特殊粒子は、効果範囲内の通信機器を妨害する特性を有しています。それを逆手に取り、双方向通信を行う数十万もの小型探査装置を放出。通信不能エリアがあれば、それは即ちガンダムがいるということ」
 GN粒子のステルス性能を逆手に取った見事な作戦です。ただし超物量ゴリ押し。数十万個ですってよ、さすが共産圏(あれ、社会主義だっけ)。
 一方平和な日本では、沙慈とルイスのもとにルイスママが降臨していますがそれはさておき。
 マリナ姫は国連大使のアレハンドロと会談の場を設けることに成功しました。姫様は会談をまとめることに必死ですが、背後のシーリンはアレハンドロの不可解な行動に懸念を抱いています。うーん、なんという対比。
 場面戻ってトレミーでは、当直連チャンのクリスがお疲れでした。もう一人のオペレーター・フェルトはモレノさんの所、って、ここでも先生もう名前出てたんですなあ。後でフェルトは、両親の命日で物思いに耽っている所をロックオンに見つかってますが、気分が悪くてってのは、口実だったんですかね。フェルトの両親は第二世代のガンダムマイスターマレーネかシャルか未だに気になります、父親はルイードで決まりですけど。
 クリスにアピールしてしばらく彼女の仕事を請け負うリヒティ(操舵手)。さっぱり脈がない感じが憐れです。そしてクリスはクリスで、あまり一緒にお食事しても盛り上がらないツートップ・刹那とティエリアが食堂にいたため、食事休憩を楽しむどころではありませんでした。
 いよいよソーマはおニューのパイロットスーツ(脳量子波遮断機能つき)で初陣を迎えます。その前にロックオンとフェルト、休憩を終えたクリスといった場面転換がまた入りますが。でもってリヒティは、人革の通信素子に気づかなかったことでクリスに怒られました。お嬢さん、あなた特に仕事する上での注意とかレクチャーとかって全然しませんでしたよね!?
 戦闘配備。各マイスターはガンダムに乗って待機しますが、デュナメスは整備中につき万全の状態ではありません。あーあーあー、言わんこっちゃない。親切心で整備を手伝うと言う刹那の申し出を断ったおやっさん、アバウトなスメラギさん、席を離れちゃったフェルト、優しさのつもりだったリヒティ。後のシーンで、おびえて一時職務放棄したクリスといい、トレミー組は人的ミスが積もり積もってしまいましたね。
 こんな状況でも、ロックオンはフェルトに優しい言葉をかけます。普通にいい男&いい人ですなあ。兄貴はこうした積み重ねがあったから、喪失感というか、兄貴なき後のトレミーの不安感が凄かったのですよね。
 電磁波でちょっとは位置をごまかせるよう、オービタルリングへ逃げ込むトレミー。初めて後手に回らされた戦闘に焦りを隠せません。
 今回の戦闘では、詳細な戦術描写が出てきました。ミリタリーファンからウケが良かったと監督も言っていましたね。とりあえずスメラギさんは裏の裏をかこうとしてギャンブルしすぎだと思いました。なんかこの人天才戦術予報士みたいに言われてて、マイスターたちやクルーも持ち上げていますけど、重要な局面での戦果となると怪しいものがあるんですよね。昔神童今凡人っつーか、凄かったのは凄かったけど今は……って予感がひしひしと。大事なときに役に立たない上、なんかアバウトなんですよ。いや、別に彼女が嫌いなわけではありませんけれど。
クリス「早く来て、アレルヤ……!」
 水着でのアピールといい、アレルヤに気があるとしか思えない発言のクリス。ですが、オフィシャルファイルによると、「キュリオスが一番早いから」口にしたんじゃないかって推測が……おいおい。で、それはともかく、クリスってば飛び抜けて戦争している意識が足りてませんよね。14歳に励まされてますし。情熱だけは本物だったようですが、やはりどこか本気が足りません。
 ソーマとアレルヤが再びの邂逅を果たして、今回は終わります。体調も良くないのです……。