大森倖三『機動戦士ガンダム00』1

 俺達はソレスタルビーイングの…ガンダムマイスター。世界の敵を倒してやる。

機動戦士ガンダム00 1 (角川コミックス・エース 146-4)

機動戦士ガンダム00 1 (角川コミックス・エース 146-4)

 ワールドレポと一緒に購入。
 作者コメントいわく、「アニメの雰囲気を壊さないように」と言っているが、実際はアニメからズレた雰囲気をかもし出しているコミカライズ。
 1巻はセイロン島の戦闘をかなりすっ飛ばして(そのせいで中佐の戦闘が1コマで終了)、アリー初戦まで(決着は次巻)。
 冒頭、「この世界に神はいない」の刹那は、もっと厳しい顔をしていたのに、この漫画だと疲弊したただの子供の表情。この時点で何か不安になっていたら、イナクトの説明をなぜかビリーじゃなくてグラハムがすませ、「正確な評論だろ?」となんだか年若い笑みを見せる。あれ、なんかキャラが違うぞー? ってな具合に話は進んでいく。
 アレルヤは「しッしまった」「ティエリアー!!」と叫んだりなんだりで表情が豊かに。というか、全体的にキャラが表情豊かに砕けた印象があります。「機体テスト込みの実戦」に愚痴をこぼすアレルヤはアニメでの憂鬱さんと言うより、休暇が欲しい普通のあんちゃんって感じが濃厚に。ロック兄はおちゃめに舌出ししながら狙い撃つし、刹那の「世界の敵を倒す」発言も「え、00ってそゆ話じゃねえだろ」と思う。
 コーラはやられキャラっぷりに磨きがかかっているのはさておき、演習場に降りるエクシアが、一発撃ってくるのも疑問。観客巻き込まないのかあれ。
 とまあ文句ばかり言いましたが、結構これはこれで気に入ったりもします。ガンダムマイスターはロックオン以外クール系だったので静かなんですが、もうちょっと賑やかになりましたし。なんというか、アニメよりこいつら仲良く見えるんですよね。特に、空港のシーン。「全員無事で何より」のコマの、ちょいギャグ絵になっているやつとか。「ミルク」に対して露骨に不満顔の刹那とか。極めつけは、ティエリアと別れた後の三人、兄貴が「ヨッシャ!!! サードミッション開始すっか!!」と音頭かけて刹那とアレルヤ引き連れるシーン。こゆのアニメで見たかったのよ〜。
 絵は若干泥臭く、画面が見づらい印象も受けますが、ロボに気合が入っている。キャラやロボが粗く薄く見えたOOFより好きですね、ストーリー含めて。あげゃ(フォン・スパーク)はいいキャラなんですが。
 にしても小説版でもコミックスでも、スメラギさん褒めているのってアレルヤしかいないな。つうかアニメでもそうだった気が……。誰かもうちょっと褒めてやれよというか、アレルヤたまには正面から直に凄いって言ってやってくれ。スメラギさんとアレルヤが仲いいと和むし。
 まあともかく、全体にアニメの流れに沿った二次創作という印象が強いコミカライズでした(キャラや雰囲気のズレ具合が)。が、この漫画でのキャラがどう動くか(特にハレルヤ)、結構興味をそそられるので、次巻も買おうかなと思ってます。おしむらくは、セルゲイ中佐の出番が少ないことですが。
 追記(4月13日)。
 小説版は結構、ソレスタルビーイングの矛盾や功罪、政治の話なんかも結構出てきたのですが、年齢層とあわせたのか、この漫画版にはそういう要素は一切なかとです。グラハムの「ソレスタルビーイング、存在自体が矛盾している!」すらない。かろうじて、サーシェスの「下々の者はどうなっても〜」があるくらい。あくまでロボットアクション漫画として読むべきのもよう。