ホラーM5月号
今月から紙の質が変わりましたね。ページ数は変わってないけど、ちょっと薄くなりました。
もののけ草子がお休みで、すこし寂しいです。
・賢者の石(秋乃茉莉)
なんというロミジュリ。レビスが男女の仲を取り持ったりして、前にベニスの商人やったときとほとんど変わっていねえ。
・KATANA(かまたきみこ)
主人公が中二的に悩んでいたが、相変わらず妙な具合に刀に絡まれる……。不憫っちゃ不憫なんだが、当人はどうしたいんだろうな。親に逆らってまで進学したいのか、なんで研ぎ師の道を選ばないのかとかが分からんかった。
・ミスミソウ(押切蓮介)
私はそんな 他人の身勝手な成長のために 中学時代を犠牲にされた
押切蓮介の凄さがよく分かる漫画。初めてでろでろ1巻を見たときは、こういうものを描ける人だとは予想だにしなかった。
ぶっ壊れ女教師・南先生。彼女もまた、静かな狂気に満ちたこの世界に巣食う悪意の一人。けれど、その悪意は果てしない連鎖の果てに、ここに結実している。南先生のこれまでの行動はまさに教師失格であったのは間違いないのだけれど、その背景にあるものを考えると哀しい。悪意と悪意の終わらない連鎖。彼女は可哀想だけれど、でも許されない、でも可哀想……という感じか。
そして、これまで無言無表情で死を撒き続けた春花が見せた久しぶりの「表情」。その見つめる先にあるのは、重傷のしょーちゃんが眠る病院。おじいちゃんがそろそろ春花を心配しだしましたが(いや、ずっと心配しているんですけどね)、思わぬところで邪魔をしてしまうか……?
・薔薇のヴァンパイア(矢萩貴子)
私が罪深いヴァンパイアならあなたはなんだ!?
先月の「ぱしっ ぱしっ ぱしっ」の妙なポージングには笑いましたが、今月ものっけからキラキラ。だめだ、笑える。面白いけど笑う。
とうとう吸血鬼である事がバレたレオン。そして明かされる「描かれませぬように」の意味。新たに浮上したルキフェル卿の謎。
今回は、先月に引き続いて戦争に突入するのですが、拍子抜けするほどシーンが終わってしまいました。メインはその後の捕虜虐待なのですねー。少年が串刺しにされたり、エディーやりたい放題。だが、そんな彼を「叱る」マヤの美しいこと。眼を抉られても気丈。
ついにブチ切れるレオンは、ルシフェル卿との約束も果たせず、新たな敵を生み出すハメに。
続編は九月からということで、しばらく空きますね。ちょい寂しい。
賢者の石やKATANAの戦闘シーンはいまひとつなのですが、この作品は剣劇も気合が入っていていいです。
・カノン(三条友美)
さんざん突っ込み済みだが、自殺の理由が二重瞼ワロチ。
・血骨の謝肉祭(うぐいす祥子)
待ってましたのうぐいすさん。うむ、薔薇の婚約者よりはいい感じかな。
肝試しに行った先で待ち受けていた怪物たち。篭城、そして脱出。狂気を露呈し、自分が助かるために友人を犠牲にしていくデブキャラ……。そして、一人さらわれた主人公を助け出すため、地味で目立たなかった少年は勇気を振り絞り、ヒーローとなる。
ってな具合に、ホラーアドベンチャーの王道的と見せかけてひっくり返す見事なオチ。最後のほうハッピーエンドでしたな。
あと、この人の絵が大好き。独特の毒気や暗さ、色気があって、綺麗なんですよね。完成度と個性とがしっかりある。
・まがまがし(駒宮心羽)
一応終了……か。うーん、以外にハッピーエンドだな、しかも少年漫画系っぽい。主人公が最後までハングリーなのはよかったんですが、兄はそれでいいのかー? どうせならもっと悲惨でもっとグロくて、でもそれを主人公が笑い飛ばすような、爽快さのあるラストが欲しかった。1話が好きだからよけいに。
敵キャラの変態はイイ味してたかも。途中から全然小物でしたが。つーか人の魂を食べた妖物ってあんなにいるのか。
・絵画修復家キアラ(たまいまきこ)
燭台と雨漏りの伏線は良かったかな。ギネヴィオはいつもどおりいけ好かないキャラだ。
アドリアーナさんの料理が酷すぎるからって、毒臭と言い続けるギネヴィオとキアラに笑った。
……しかし、強盗なんぞが5年も聖職者のフリなんて出来るもんなのか。
・暗闇のショータイム(真山創宇)
カニバリネタがうぐいすさんと被ったのが不幸としか言いようがない。しかも負けてるし。
話が破綻しているんですよね。主人公が人形にスープかけたりして、何か食欲ないのはいいんだけど、その理由がない。両親もカニバリだから? 「謝肉祭」では、主人公が肉を食えない描写があったけれど、あれはちゃんと理由が分からないでもなかったし。
主人公が「彼に食わせるために」育てられたってあるのに、後で出てきた両親は「さすが私達の娘」とか言っているし。「彼」がなんで主人公を気に入ったのかも謎。そゆ血筋ならちゃんと説明してくれ。この美女と野獣カップル自体はなんかイイ。あと、絵は好きだから期待しておきます。
・サタニスター(三家本礼)
サタやんは愛すべきバカでしたが、今回はバカな死に方をしました。ふぅ……。
家電と同列に扱われる墓井田。1巻のウサギちゃんと同じやり方で助かったと思いきや、伊看崎死亡……?
あと、マタニティ・レッドの赤ちゃんはどーなったんだ。
雷崎刑事が登場したことに驚愕。ミカモンのことだから、忘れたまま連載終了するもんだとてっきり。あるいはエピローグでちょろっと出るだけとか。
ラストページのいづみは、本当なら凄く燃えるところなんだが……。そこに辿り着くまでの過程を2、3話くらいすっ飛ばした感じなので盛り上がりにかける。ミカモン……サタニスターを描くことにそんなに疲れたのか……?
・嘆きの天使(熊谷蘭冶)
そろそろ毒気が抜けつつある今日この頃のランヤ。が、その世界観と香るような空気は健在。
リタの脚にくちづけしてる男がミハエルに見えるんだが……。
剣を投げるシュヴェスター・クリストフにびびる。ジークリンデが鞭打たれるシーンは描かないのね。
さて、新たにリタという敵が登場したが、どうなるやら。──そろそろ1話の冒頭(回想前)を忘れそうです。
・血走りの家(駕籠真太郎)
い……伊藤潤二?
・デス★チェーン(ワタナベチヒロ)
はて、先月あたりからまた面白くなくなってきたな。
二人の男の子のタチが悪いどころじゃないイタズラ(というか罠)や、山崎先生の狂気がさっぱり動機付けがなくて、ただ荒唐無稽しているだけに見えてくる。理解できない怪物として描いているわけでもないしな。
・辻占売(池田さとみ)
閑さんはあまり喋らないほうが雰囲気出ていいですね。最後の、黙って消えゆく塵を見つめる姿とか。
最初の主観から一転、そのキャラの客観を描いて話をひっくり返す手法は楽しい。
あと……猫を殺さないでええええ!
・雨のお墓(柴原むかで)
話の雰囲気自体はいい。ひっかけ的なシナリオを狙ったようだけれど、一読しただけじゃ分かりにくいかな。
あと、最後「送り届けてあげよう」と言ったくせに、結局吉田くん埋めているのは凄いツッコミどころなのだが(笑。最初自殺だと思ったのに、マミが一度自力で這い出したってのは、どこで知ったんだろう?