『機動戦士ガンダムOOF』ときた洸一/千葉智宏(角川書店)

機動戦士ガンダム00F 001 (角川コミックス・エース 97-13)

機動戦士ガンダム00F 001 (角川コミックス・エース 97-13)

 ガンダムエースで連載中の、公式外伝漫画。
 んー、なんといいますか、基本的にアニメ版のオマケですね。単体の作品としての完成度は低いという印象を受けました。主人公スパークが、本編で語られなかった各戦闘の解説(イナクトの性能や、カスタムフラッグの弱点などなど)をしてくれるのは面白いです。そゆ解説キャラなのに、基本はちんぴら風の犯罪者(常に手錠)というキャラづけもいいです。「あげゃげゃげゃ」ってどうやって笑うんでしょうなー。
 ですが、毎週放映されるOOに対し、OOFは月刊誌の連載。よって、話は大変駆け足です。せめて週刊誌か何かで出来なかったのでしょうか。つうか、この漫画の存在意義自体が凄い疑問。
 物語は、かつてガンダムを開発したお嬢さん・シャルが創設したソレスタルビーイングの支援組織『フェレシュテ』と、フェレシュテのガンダムマイスター、フォン・スパークの活躍が中心となってます。ガンダムが4機もあんのに、太陽炉が一つしかないので常に出撃できるのは一人という設定ですが、「四つしかない太陽炉」ってアレルヤが言ってたんだが……(アニメ1話)。フェレシュテはアニメでは影も形もないので、CBに対して存在を隠しているような印象ですね。イアンさん(この漫画ではイワン)や、Dr.モレノは知っているようですが。あとはスメラギさんかな。サポートするなら、お互いちゃんと連携とっておくほうがいいもんじゃねえの。まあソレスタは結構、人材管理とかずさんだからこういう形になってんのかもですが。
 さてそんな本作ですが、OO世界の別な側面が見えたり(トルペードなデュナメスとか)、本編の解説をしてくれるのはいいんですが、話の運び自体は首をひねるものがあります。マイスターを落第したエコ・カローレ(14歳の刹那にすら負けたんですね、この人)みたいな存在も面白いけれど、ネタはいいのをそろえながら、キャラや状況をあまり掘り下げないまま次々進行してしまう。
 ハナヨ(ガンダムマイスター874)とか、ハロの中に何かいる描写は当初からあったものの、登場が結構唐突で、でも作中では突っ込まれなかった上、後半の「ヴェーダからの独立」という大事なイベントへの流れもタメが全然ない。正直、ファンの二次創作と言われても納得出来てしまう……(スパークが影ながらロックオンサポートして、「よーしロックオン! やりゃあ出来るじゃねェか!」と言ってたりがどうにも)。スパークがそういうキャラってのは理解できるんですが、アニメで反映されていないのはともかく、作中のロックオンはスパークの存在すら知らないわけで。
 とりあえずダメな子カローレはかわいいです。頭悪いし。スパークは面白いんですが、時々ナルシーになるのはなんなんだろう。サーシェスと因縁あるようですが、わりとそこはどうでもよかったり。つうかこのメンツって2期に出たりするのでしょうか。そんで兄貴が打ち漏らしたサーシェスをスパークが討つとかなったらカナリ嫌だなー。杞憂だとは思うけれど。