山本賢治『カオシックルーン』1〜8巻
「戦慄しろ! 今より汝(うぬ)の身に起こる恐怖に!!」
「喰らい尽くしてやる 汝の存在した証の全てを!!」
- 作者: 山本賢治
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2003/07/10
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- 作者: 山本賢治
- 出版社/メーカー: 秋田書店
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- 作者: 山本賢治
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もともとは秋田書店とブロッコリー(株)がカードゲームのメディアミックスで依頼した漫画だったのですが、人選を明後日の方向に間違えたあげく、ブロッコリー自体の業績不振で企画がポシャリ、漫画が生き残って暴走に拍車がかかった。そんな漫画です。
作者の山本賢治(通称ヤマケン)はもともとエロ漫画家で、不条理系のギャグと妙にしっかりした臓物の描写に定評があります。どれぐらい定評があるかってえと、医療漫画である『ブラックジャック(手塚治虫)』の仕事が来たり、ホラーMスレで「描いてほしい」みたいな声があがるくらい。俺もホラーMにきて欲しいなあとかありますが(出版者的にどうかはさておき)、その当人は現在目が悪いらしく、チャンピオンREDで連載していた『カオシックルーンES(無印の続編)』も休載の憂き目に。音沙汰ないけど大丈夫かな……。
さて、そんなカオシックルーン略してカオルーですが、基本はB級アクション漫画です。人、死にまくります。ガイキチと変態、出まくります。敵も味方も一般人もレギュラーキャラも、スパスパッと死んで臓物を散らしていく。ザコキャラがぽんぽん死んでいくのではなく、口癖とか持たせてある程度キャラ立てしたやつを殺していくのですが、物語的重みとか感動とかは一切ナシ。バンバン無残に人が死んでいくのを楽しむ漫画。
物語そのものは王道で、謎の事故で両親を失った主人公・源リョウガが最強のカード・デスレックスを持たされ、カード使いと覚醒しつつ、自身が特殊なカード使い『カオシックゲート』であることやら出生の秘密やらが明らかになっていく。そしてヒロインは巨乳の幼馴染みと自称16歳のロリ(このロリ・棗クランのパンツが脱げた時は「科学的に正しいかどうかは関係ない。パンツが脱げるかどうかだ」てな感じの名言も生まれました)。
一応、背景としてカードから召喚できるモンスターは種族によって竜界、機界という具合に分類され、一人のカード使いは特定の界のモンスターしか召喚できません(ただしカオシックゲートのみ例外)。逆に言うと、同じ界であれば何体でもモンスターが呼び出せるのですが、たいていのキャラは特定のモンスターしか使用しないので、スタンド能力っぽくなっているのが味(笑)。複数使っていたリョウガも、だんだんデスレックスしか使わなくなっていったしなあ……(ソニックプラス強いじゃねーか)。ペクトラルとラグーンの人みたいなのはもう出ないのか(「俺っち知らないけどそんなカンジ」)。
前述でガイキチいっぱいと書きましたが、本格的な狂人とは少々違うB級臭を漂わせているのもミソです。モノホンっぽそうだったのは、マモル兄ちゃんとかかな(最初はシグマ兄のほうがガイキチっぽく見えたのにー)。基本的に、特徴ある口癖を設定して、それを繰り返し言わせる事でキャラを立たせているので、わりと手抜きといえば手抜き。まあ、主人公からして「カレー作り」以外あまり特徴ないキャラしてますしな。だがそこがいい。
数の数えられない人とか好きでした。あと、先生(連載時は部下がいたがコミックスではその存在が抹消されているあたり、相当この作品って見切り発車プロットだったんですかねー……)。それと、クランとマモルのエピソードが、なんかヒドイ話をイイ話っぽく締める手腕なども良いです。ザッツ不条理。
絵柄は少々古い目の少年漫画という感じでしょうか。ばーっと何も考えず人が死ぬだけの漫画を見たい方はぜひ。