映画『トランスフォーマー』を観ました。

 私が知っているのはおもにTVシリーズの『ビーストウォーズ』ぐらいで、知識がマクシマルズ系と言うんでしたっけ、あっちに偏っています。映画でははっきりオートボッツと言っているのでキャラの名前が耳慣れないこと。コンボイオプティマス・プライムとか一度で覚えられないよ。一方、メガトロンだきゃあどのシリーズでも同じ名前なのでありがたいですね。それ以外で分かるキャラがスタースクリームしかいなかったんだけど、セリフが全然なかったような……(何か喋っていたっけ?)。
 この映画での見所はやはりロボに尽きますね。映画館行くまでは映像が派手すぎて、見所がCMで観たシーンだけとかにならんだろうかと不安だったのですが、本編はそんな不安を吹っ飛ばしてくれました。
 実際に軍用機を借り、軍用機以外の全ての実車を解体して作られた変形(トランスフォーム)シーンは実に精密でリアル(軍用機は解体できなかったから部品はスタッフの想像らしいですが)。ウィキペディアによると、変形シーンで最大時には画面に2万個の部品がひしめくというのだから驚きです。
 変形後のロボットも重量感と迫力ではちきれそうで、それがギュンギュン動くのだからたまりません。ああ、こんな精緻でパワフルなロボが実写で観られようとは。彼らを前にした主人公やヒロインの、生身の弱々しさ感や無力感がひしひしと伝わってきます。例えるなら、迫り来る戦車の前で丸裸でいるような気分でしょうか。何せ我々人類は彼らと違って、その身に刃も銃も持っていませんし、鋼の装甲皮膚だってないんですし。
 ただ、元が子供用玩具のアニメだったからか、人死にが出ても流血描写はないので、グロ耐性のない方でも安心です。
 また小ネタも楽しく、バンブルビー*1のロボットモードを見た主人公が、思わず「(あのロボットは)きっと日本製だよ」と言ったり、隕石(実際は新たに地上へ降りたサイバトロン)の墜落現場を見た野次馬が「アルマゲドンの1000倍凄い!*2」と言ったりします。
 この映画ではトランスフォーマーを作り出した日本メーカー・タカラトミーに敬意を評して日本ネタが入っているそうですが、「日本製だよ」には別の意味も見てとれますね。『The ビッグ・オー』というアニメには、主人公が巨大ロボの操縦席に乗ると、「CAST IN THE NAME OF GOD, YE NOT GUILTY.(我、神の名においてこれを鋳造する。汝ら罪なし)」とモニターに表示されるシーンがありますが、これは実はキリスト教圏における親切設計となっております。
 キリスト教的には、人が神の真似をするのは不遜→だから人型ロボットという人間に似たものを作ることは、神への不遜となる。という理由から、二足歩行ロボットなどの開発は気後れしがちになるそうです。で、ビッグ・オーは日本でパッとしなかったのがアメリカでヒットして逆輸入され、トランスフォーマーも人が作りしロボットではなく、そういう生物(金属生命体)とされています。この辺の機微は、日本人にはちょっと分かりにくいですが、まあ、そういうことなんでしょう。
 で、逆に日本は、昔から無生物に対して感情移入してしまう習慣がある。昔話ではよく、木や石や動物が普通に登場人物として振る舞ったりして、中々アニミズムですね。何と言いますか、日本人ってようするに『擬人化』が昔から得意なんですね。人型ロボットにもそういう気持ちで取り組んでいる部分がある。『アトムにどれだけ近づけたか』という完成度の基準もあるくらいらしいですし。
 そういう意味で、作中のセリフを聞いた時、「あんな精巧な人型ロボットを作りたがるのは日本だろう」という言葉を言外に感じ取ったりしました。

 続編は2009年に出るらしいけど……スタースクリーム活躍するといいなあ。蠍のやつはどうなったんでせう。土にもぐって本体はトンズラした気がしまするが。その前にバイオ3観なくちゃ、俺。

*1:主人公が乗る黄色い車のサイバトロン

*2:この映画の監督はアルマゲドンの監督もつとめました。