錬金戦団の罪

 照星さんとかブラボーとか、わりといい人なので忘れがちですが、戦団って結構外道な事してますよね。
・ヴィクターが化け物になった経緯の隠蔽
・上記に関連してヴィクトリアのホム化
・ブラボーに弟子同然のカズキ再殺の指令(アニメでは更に失敗したらそれを責める)
・ヴィクター3となったカズキをヴィクター再殺に利用しつつ、用がすんだらカズキ再殺も目論む(アニメ版火渡。発言のみ)
 あとカズキとヴィクターが月に消えた後、一生懸命各地のホムンクルス制圧してますが、やろうと思えば出来た事なんか、それ。「月に消えた二人の戦士へのけじめ」だけじゃ済まされねぇぇー。なんだろう、古くて権力もあるホムの共同体と、戦団の一部が癒着とか(お互いのパワーバランスを保つ取り引きとか)があったんじゃなかろうか。設定から描写から突っ込んでいくと、戦団って黒そうな組織だよなあ。
 あとヴィクターの回想ですが、例の討伐シーン。悪意を持って見れば、あすこで出てくるホムンクルスって、元・戦団の人間……もっといえば、ヴィクターが望まずして殺してしまった人達を、人型・動物型ホムンクルスとして蘇らせて結成した追っ手かもと考えられます。
 だってヴィクターが斃れたのは、「勝てばこの世代の主力ホムンクルスはほぼ全滅」できる決戦だったわけでしょ? でも、ヴィクターがホムンクルスの追撃部隊に囲まれているシーンでは山ほどいる。どこからこんなに? それに人型は説得なり交渉なり取り引きなり脅迫なりの余地がありそうですが、動植物型って忠誠心刷り込まれているから(蝶野製ホムとか)、捕まえて戦団の手足に出来るものなのかな? それなら自分達で作ったほうが早いよね。
 そして、ホムンクルスを作るにはどうしても人間が必要になる。近くには、ヴィクターによって殺された、もしくは瀕死の重傷を負った戦団の人間達。元錬金の戦士なら、元一般人のホムンクルスよりずっと錬度も高い! 回想で追撃部隊は武装していますが、相手がヴィクターなのだからまずもって武装錬金を使っているでしょう。そして、武装錬金は当然戦団が管理している。この一件がもとで核鉄が世界中に散らばったそうだけど、核鉄を持たされたのが元・錬金の戦士で。その錬金の戦士は自ら属していた組織と同僚(ヴィクター)に裏切られちゃった人達なんだよね。逐電したくなってもおかしくないし(それでなくとも、成り行き上ヴィクターに倒されそのまま行方不明になってしまったでしょう)。
 そしてヴィクトリア。本誌で初めてこのくだりを読んだ時は「戦団ってえぐいことするなあ」だけでしたが、よく考えると冷たくも効果的な作戦を取っているわけです。だってホムンクルスといえど、自分の娘がいたらエネルギードレインという武器を封じられちゃうものね! エネルギードレインという『呼吸』なしで、武装錬金を持ったホムンクルスの大群を相手取る……そりゃ修復に100年かかるわけだぜ、はっはー。
 まあ作中では書かれていないし、和月氏も考えていない背景かもしれませんが、武装錬金という作品で出てきた情報を読み解いていくと、以上のような想像が出来るわけです。酷い! 酷すぎるぜ戦団! でもそういう悪の組織って好きよ(戦団が悪の組織ではないという突っ込みは不可)。
 しかし二次創作にするならこの辺オイシイかも。ヴィクターの追っ手としてホム化された人達の心情とかも想像すると楽しいし。