Children02

「君がッ、感想をッ、書くまでッ、感想を書くのをッ、やめないッ」
 というわけで、コトキに続き回廊関連雑誌の感想日記だぜィ。
 (魔王とかの)感想を書かれても、関連雑誌の感想を書き続けるのがイサイズム。相手に要求を飲ませるための嫌がらせとは、相手が要求を飲んだ後も継続する事で更に屈服感を(以下略。

(以下作者名敬称略)
【序文】なっちゃん
 字がかすれて読みにくいっす(内容について、特に言うことはない)。

【指】陸条
 あー女子が冬でもスカート穿かなきゃいけないのって、確かに差別だと俺も思ったもんだ。冷え性だし。寒いの苦手ー(春初夏に出た雑誌に掲載されている作品のわりに季節感がズレているがまあそれは置いておかう)。
 ある超常的なギミックと、それによって引き起こされたトラブル(そして主人公はそのトラブルと終始向き合う構成)に、最初「これなんてエロゲ?」と言いたくなるようナンセンスさ。……と思ったが、それはまだまだ序の口。
 伏字を使っている物の、取り扱っているテーマは直接的なエロス。しかし、そこで描いているのは「エロ」ではなくむしろ「エゴ」であり、性に対する嫌悪が見て取れる(*作者の、ではない)。
 扱ったテーマ、主人公の丁寧な口調の語り、指というモチーフとタイトル。それら全てが一貫性を持ち、纏まりがあって、良い短編作品と言える。
 ちなみに「斉藤」くんも、何らかの制裁をくらっているに違いないと脳内補完。こういうゲスはピーッですよ。
(誤字報告)
>何?何か用?」 一つ目の?の後に空白がないんじゃよ。

【痕】藤堂美怜
 え……これで終わり?(読後一言目)
 むう、もうちょっと続くのかと思ったらあっさり終わってちょっと拍子抜け。感じとしては、起承転結の起と承だけ見せられた感じです。キャラに感情移入する間もなひ。

【マスターピース】雪野銀月
 うーん、文章のセンテンスが短すぎるのと、あと、個人的な好みだがウ段の終わりが連続したりするのが、読みにくい。もっと一つの文章に纏められる気がするんだよね。ブツブツと文章が切ってあるから、流れも切れちゃう、という。
 読み進むうちに気にならなくなるが、冒頭でけつまずいてしまうには勿体無い作品だ。
 最初はサイコホラーっぽかったが、実際は「家族愛」をテーマにした物語。姉と弟という、二人きりの家族として依存し切る関係から、恋心の芽生えを機に脱却していく。青春というよりは、思春期に起きる心身の変化、に近い(って、それを人は青春と呼ぶ……のかもしんない)。
 ただ、終盤起きる「解決」への転機が唐突とは言わないまでも、ややあっさり気味だったのが気になった。が、それはあまり重要な事ではないのかもしれない。この作品における「依存関係からの脱却」は、裏を返せば「新たな他者との(健全な)関係の構築」でもある。
 世に家族という物は、選べる物と選べない物がある。前者は自分の親兄弟であり、後者は夫妻息娘だ。
 登場人物たちが将来その相手とつつがない家庭を築くかどうかはさておいて、異性に興味を持つという事は「選べる家族」を持つその第一歩である事には違いない。作中で起きたのは、前者の家族(愛)から後者の家族(愛)に移行していった過程とも言えるのではないだろうか。
 深みのある「青春小説」であった。
(誤字報告)
>身体の心が邪な熱を持っている。 身体の芯が、の間違い?

マスターベーション】ジャンゴ五郎
 マスターピースの後にマスターベーションとはこれ如何に(表紙の兎がかぅわいい)。
 うーん、歳のせいかちょっと読むのが辛かった作品。短くてホッとしてしまった。まあ青春といえば青春で、何だろう、大塚英志とか白倉由美あたりの小説のような。繊細で不安定な少年少女時代、らしいといえばらしい。
 属している社会集団(この場合は学校のクラス)に馴染んでいるフリをしながら実は全然馴染んでいなくて、同類を見つけて、他のやつらには理解出来ないとかそんな自意識に包まれながら、自分も彼女も救われがたいダメなヤツで云々……な。
(誤字報告)
>フォルテッィシモ フォルティッシモ、の間違い? 後に出た時にはフォルティッシモ、になっている。
>今にも全てを壊しそうなフォルテッィシモ こちらもまた、テッィシモ。
>「シュウジ、貴方もする......?」 PDFは縦書きなので正確には「……」だと思うのだが、これが左側にやたら寄っている状態でしたん。この後の、「次......くれない?」も同様。とゆーか、作中の……はすべて......になっているようで。

【論理と視点と言葉遊びに欠けた言葉たち】夏目陽
 えーとこれはエッセイか。
 テーマ何なのか解するのかに少しかかったが、ビート・ジェネレーションについてよく知らないので結局ぴんとこない。ごめん。

【終わるからこその青春】雪野銀月
 マスターピースは結構長い作品だったのに、更にエッセイまで書くのかこの人。凄いな。
 んー、どうもエッセイやコラムってのは、小説と違って感想が書きにくい。面白かったんだけどパス。

 あとは編集後記とか参加者一覧とか。ふう、終わった終わった。あーやっと眠れる。

【オマケ:総評】
 全体のレベルは高いと思う。
 どの作品も、文章技術的には一端のものがあって、気に掛かる点は殆どなかった。「青春と暴力」というテーマに即した内容と、作品事態の雰囲気も、扱うものの不安定さと精緻さに相応しい。
 ただ、掲載されている小説作品は、掌編的な長さのものと、中短編的長さのものに分かれていたのが少し気になった。統一しろという訳ではないが、中短編が適切な分量であるのに対し、掌編が尻切れトンボ気味であったり、何も始まったような感じも終わったような感じもしなかったのが、ひっかかる。
 短いヤツは読むのが楽なので、短いこと自体は問題ではないのだが、その短さを活かし切れていないような感じだ。与えられた短さの中で終わってはいるけれど、それは「終わっている」のではなく「続かない」という感覚に近い。短さに合わせて、話が収束したように見えないのだ(それに対し、巻頭の【指】は収束感がある短編である)。時間がなかったのかもしれないが、これはやや残念な点だった。