ホラーM2009年12月号

コールドアパートメント/財賀アカネ

 祝表紙! 連載当初から編集部にプッシュされている気がするなあこの人。でも絵に魅力を感じるのでよし(ただ、『ホラー』っぽい表紙にはなってないですな)。
 さてこの作品、毎回ホラー寄りだったりコメディ寄りだったりするのですが、今回はコメディのほうでした。男女が入れ替わったストーカーネタ天丼オチというか。前半は女性がストーカーされる話、後半は男がストーカーされる話、という。
 ストーカーのミアちゃんは表紙の彼女と同一人物でOK?
 あのゾンビウサギバーは一度行ってみたいですw

紅の谷/押切連助

 この読み切り連載というかオムニバスシリーズも第三回。
せっかく村を出られたと思ったのにダメだった」というのは、ミスミスソウにも通じる物を感じました。
 主人公たちの悲恋がもの悲しくも美しいですね。前回の『忘却の里』では、主人公はあの村から逃げ出すことが出来たラストだと思っているんですが、今回はミスミソウ同様「どこにも逃げられずに終わってしまった」話という感じ。
 ただまー、全体としてはいまいちな感もぬぐえません。ローテンションというか静かすぎたというか。
 ひりつくような厭な雰囲気のある地で、「さあ、今度はどんな具合にう゛ぁーっと来るんだろう」とワクワクしていたら、ちょっと物足りなかった展開に。うーん。
 で、次回から連載開始だそうで、やっぱ椿鬼ちゃんシリーズなのですね。楽しみです。

もののけ草紙/高橋葉介

 こないだのお姫様再び。今度は刀の話。ああ、ひきつけってそゆ意味かーと。

罪の花束/ワタナベチヒロ

 前回主人公死んだと思ったが、毎回キャラが交替していくオムニバスシリーズなんですね。
 先(々)月のやつは不快な話で好きじゃないんですが、今回は面白かったです。
 携帯電話と学校裏サイトで繋がるクラスの人間関係。相変わらず小さい女の子好きですな。

辻占売/池田さとみ

 キャー人殺し! が唐突すぎて笑っていたらああいうオチとは。ただ、ちょっと想像を膨らませると、あそこで終わっていなかった場合のアルマジロの未来が、あれだったんじゃないかなあという気がしてしまう。
 となると、これは「喜ぶべきこと」だったのかなあ。

マガサスビヨリ/うえやま洋介犬

 ホラーMの人材不足っぷりは相変わらずなのか……しかも新連載か。『凜』もそうだが、なんかホラーMでやらなくてもいいだろって連載が参入してきて、また一つ混迷が深まっている感がひしひしですよ。
 何せ主人公、冒頭からロリ+メイド衣装で登場。そんでオチは「男子だぞ」。仲のの良い男子とかもいて、あーホラーM読んでいるどこの層を狙っているのさ。あと怪異である「引っ張り好きの姉」も怖いってより気持ち悪い。
 話の筋自体はホラーホラーしてて面白いけれど、それを媒介している見せ方やキャラクターが厭。「また一人」とか何とか、連載物の第一回なのに、続き物の途中を切り出してきたような語り口とかもうざい。

不安の種/中山昌亮

 正統派ショートホラー!
 今度からエレベーター乗ったら、逆観音扉が無いか探してみよう……。

闇夜に遊ぶな子供たち/うぐいす祥子

 前回よりはいいと思うんだけれど……とりあえず茜ちゃんが可哀想です。虐待されたあげく生け贄にされ結局助からずあんな死に方……。しかし女刑事の真藤さん、肝が太すぎて素敵だw

機巧童子/鯛夢

「私はあなたが”あなたなりの魅力的な表情を得られれば”…って それだけのために心を尽くしてきたつもり」
 ……それにしちゃ、今回の主人公は結構苦しんでいたような。童子に人形喰われたのが功を奏した結果の表情なんだし。

鮮血エコロジー平田京子

 あー。タイトルと表紙と出会いの段階でオチがバッレバレ。もうちょっと捻ろうぜ!
 しかしこの人の男性の描き方はどうも好きになれんなあ。
 前の目だけに惚れられた男もそうですが、あの殺され方でも「愛してる」なのかよ……。「妊娠したとかうるせぇからボコった」とか言っていたやつが、数ページ後には新しい女に「今日のメシ何? 今日の!!」と子供のよーに言っていたり。
 あと、「この味だ…」の時の表情がどうしても変。料理の絵が明らかに写真から加工している感じなのも気になった。
 オチは変則カニバリネタでしたが、直接的に人肉食べるより気持ち悪くなっているのは良かったです。
 ただ、人毛から醤油を作ることはできますが(中国で作ってるって話があったなあ)、毛には人体に有害な鉛などが含まれているので食用にしてはいけません。まああんなウィンナー作る女だし、分かっててやるならそれもアリか。

神の子供/西岡兄妹

 ハピバスデイ・トウーユー ハピバスデイ・トウーユー ハピバスデイ・トウーユー
 やあ、ついに来ましたな。カラー20p。
 で、内容も来ましたなという感じで、殺人鬼集団の誕生ですね。当初から主人公がこの境地に至ることは予測の範疇でしたが、これ以後はどうなるのやら。炎の中に「未来の群衆」を見るシーンでぞくぞくしてくる。
 この物語にどうオチがつくのか、是非見届けたい物です。

歯科地獄 デンタル・ヘルズ/高橋りか

 確か前、「凶器にして撲殺すると、その命に応じて願いが叶う石」の話を描いた人でしたな。
 あれは普通の話でつまらんなあという感じでしたが、今回もやはりフツー。
 せっかく「歯医者」というおぞましいスプラッターホラーにできそうな、ホラーの題材として選択されただけで「痛てててててて」と拒否反応示してゾクゾクきちゃうよーなネタを、かくもフツ〜に描いてくれよった。
 歯をレロレロするシーンは気持ち悪い変態で良かったけれど……そっちのがホラーの主眼らしくてガックリ。つーかサクランボを食べる花京院か貴様は! 擬音も同じだし。

新・呪いの招待状/曽祢まさこ

 ダイエットシュガーねえ……。あの弟さんって薬剤師の資格とか持ってんですかね。新薬を開発するのにどれだけの手間と時間とリスクと金がかかると……。たった一年、数人に、おそらく体調とか生活ぶりをまったく調査しないで試してもらうだけで、「後ひかなくて好評」とかってヤベー物をバラ撒くなよ。この罵迦兄はともかく弟は止めてくれ……。
 まー案の定、避妊効果を軽くしか受け止めなくてあの結果なわけでしたが。
 しかし「人間にはききそうだ」って、カイさん何者なんだろうw 普通の人間じゃないんだろうけれど。

Xチェンジ2/渡千枝

 まさか続編が来るとはっ。3があったら読んで見たいけれど、それ以上続くとちょっとやだなあ。
 今回もまこっちゃんは素敵でした。乙女心の分かる男、すなわちオカマ! 打算もなく当然のように善意で動けて、行動早くて、頭の回転も良くて、何というかこの人凄いよ。
 最後らへんまで犯人が誰なのか分からない展開は実にサスペンスフルで面白く読めました。でも持田さんの出番がちょっと少なかったかな。しかし恵里→明穂のカップリングをあっさり思いつくあたり、さすがオカマさんだなあ。
 あと耕助さんは、まこっちゃんのお説教をよくよく憶えて悔い改めるべき。