原作：黒神遊夜／作画：神崎かるな『しなこいっ』二巻

しなこいっ 2 (CR COMICS)

　いまいちスローテンポ感いなめぬ剣術漫画。使っているのは竹刀とか木刀ですが（あと船のオールとか）、中身や雰囲気はオカルトが絡まない伝奇物ですね。
　ヒロイン・桜に一本取られた龍之介（薩摩示現流の使い手で、魔剣「雲燿」を操る。本作もう一人の主人公）が彼女を気に入り、その龍之介の宿敵である虎春（こはる。もう一つの雲燿使い）は「龍之介が気に入っちゃうかも」という嫉妬から桜を潰すことを画策する……って具合に、ラブコメ的な話の動きやキャラ立ちはちゃんとあります。
　ただ、本筋の「雲燿使い」がどうたらとか、鳴神の「番号持ち」（なんか永久欠番の一から十二まで番号がある、バトル物の四天王みたいなあれ）とか、よく分からない業界用語がまだまだ並べられていてつかみづらいのがもどかしい。
　ただまあ、キャラクターの動きや雰囲気を楽しむ分には問題ないだけのポテンシャルはあります。
　ヒロイン・遠山桜は短剣道の名手だけあって戦闘力も度胸もありますし、それでいて理不尽な暴力を揮う高飛車・おてんばタイプとも違う。巻に入ってから萌えキャラ・シーンも増えましたし、らくがきページを見ると女装少年もいる模様。
　でも、あのひとが実は……っていう性別ネタは果てしなく後付けか何かにしか思えないほどべっくらこいたんだぜ……！
　しかしまあ、吐いた物の処理に関する意見の対立を大真面目にやったりとか、微妙にズレた（「え、これ笑う所？」）ギャグシーンのセンスは相変わらずですな。そういう所も好ましいんですが。
　最後に出てきた新たな刺客・鯨と乱歩のコンビ（つかカップル？）が大変微笑ましくそして可愛らしいので、やはりこれからも続いて欲しい所存……。なんかこれまで裏切られたせいで、鯨と乱歩の性別が逆ではないかと疑っがてしまう。
　つーか乱歩カマ言葉だしね！　あと乱歩だけ腕とか顔とか作画が粗い気がしますよ？