サイバーパンクが苦手なワケ

 今現在で「こういうことできるなら、これぐらいの技術は普及しているよね?」という具合に小説の設定を構築している真っ最中。
 なのですが、その結果、自分が苦手なサイバー系に踏み込むことになりそうで頭を抱えるぬえやです、ごきげんやし。
 ギブスンのニューロマンサーは一応読んだのですが、昔からサイバーパンク系は苦手です。というか好きになれない。未来技術とかは興味があるのでどんなものか知ろうと思い、手を出したのが『ガープス サイバーパンク』。
 ……はい、ゲームです。汎用TRPGガープスサプリメントです。参考にする場所が豪快に間違っている中学生ぬえや。
 いやー、ああいうのはサイバーパンク知っている人が、ガープスでサイバーな世界で遊ぶために用意されたものであって、初心者が読むのは確実に間違いなんですよね。はっはっは。
 でまあ、一応世界観解説とか技能とかネットランニングの解説とかでサイバーパンク世界について説明は入るんですが。それを読んでいて思ったのは「こんな世界で生きていて、人間って面白いの?」でした。仮想現実とか実現したらイヤだなって。
 読んでから年数も経つんで、人間ああいう世界でも結構生きていけるなというのは分かったのですが。いわゆる仮想現実、電子情報で五感も完全再現。それがなんか生理的にイヤだなと。
 人間の五感ってのは誤魔化されやすくて、いわゆる幻肢痛ってのもそうだし、眼の錯覚を逆手に取ったアートなんかも面白い。
 食品偽装やら海賊版やら色々あるし、だから「本物でなけりゃ意味がない! 偽物気持ち悪い!」っとは思いません。
 でもサイバー世界での「電子情報の疑似感覚を利用した仮想空間」とかは、感覚器を騙すんじゃなくて、その向こうにある脳自体を弄るからイヤなんですなー。水槽に浮いた脳みそが見る夢とかさ。
 人間は脳だけで出来てるんじゃないぜー。内臓その他も大事なんだぜー。愛をわーすれーるなー♪
 ヒトが過去しか認識できないように、結局現実は脳内の夢と等号なのかもしんないけれど。それを認めたくはないというか、色々と反論したい物があります。
 サイバー系の技術自体は魅力的(実際、仮想現実以外の機械化とかクローニングとか好き)なので、反論を目的にして手を出すのもまた一興ですが。ただ、同様にMMORPGモノとかも嫌いですね。
 クリス・クロスは学生時代読みましたが、あれは仮想現実の恐怖が出ていたからまだ許容範囲。hack.//とかはさっぱり興味が沸かない。その延長で、電撃から出て話題になっているアクセル・ワールド並びにソード・アート・オンラインも食指が動きません。
 プッシュが凄いし、川上稔の掌編も気になるんですけれどねー。どんだけ絶賛されていても、まずジャンルの時点でノーサンキューという。MMO系でまともに読んだのは、空談師ぐらいか。あれは世界設定がゲームというだけで、プレイヤーの姿とかはまったく描写がなかったので、ファンタジーっぽいバトル物と割り切って読めました。まあそこが批判の対象にもなったんですけれど。そこを改めたのか、同作者のナツノクモではプレイヤーの姿も時々入ってたんですが、途中で挫折……。
 ファンタジーだったらもう一つの現実うんたらは別に気にならないんですが(だってそこには魂とか霊体とか関わってくるので)。仮想現実の話となると、どうもサイエンスな語り口になって、それが面白くない。
 何というか、この根本的な嫌悪感をも乗り越えてサイバーパンクを書いてみせるのも、客観性能なのかもなあ。