ホラーM八月号

 今月の表紙は高橋さん。目玉親父がいっぱいだ〜。この人の絵はやはり魅力的でいい。
 今月は一部の作品へのネタバレを含みます。
もののけ草紙 獣の兄弟/高橋葉介
 久しぶりに若い手の目。回想だから結局小兎出てくるわけですが、新展開突入だと……?
 ベース白虎+甲羅+翼と奇抜なデザインの竜神様が可愛い。「死ぬまで毎晩、八つ裂きにされる夢を見続ける」うむ、やはり姐さん怒らすと怖いぜ。しかし手の目って「美しい獣」なんだな。
辻占売 七夕夜話/池田さとみ
 この作品は安定感がすごいのですが、毎度毎度いつも通りでコメントに困ります。絵は好きだけど。
コールドアパートメント/財賀アカネ
 またもアパート関係ないw 今回は百合ん百合んな話でしたがまあいいや。ニーナの中にいた黒い影は、彼女の抱えていた鬱? 最初虐待の記憶かと思っていたんですが、別に説明されず終わったのが消化不良な感じ。
機巧童子/鯛夢
 ほら えがお えがおよ ほら わらって
 途中までは凄く良かったんですが、落ちが意外と明るくてガクッ。
 クライマックス、あの人形が登場した途端不気味になり、巨大な人形との会話は自分のイヤな部分を突きつけられる、あの嫌悪感と恐怖が迫ってきて良かった。が、落ちはハッピーエンドで、ちょっと台無しにされた気分。
 とりあえず、「万物万能丸」という思い切ったネーミングが好きです。
願いの石/高橋りか
 全てにおいてテンプレ。あと小動物ケージ入れて飼ってないのかな? コマによってやたら体が長くなっていたりして、死んだのがハムスターなんだかフェレットなんだか分からん。
 主人公が実に厭な人間。あっさり生け贄捧げまくったり、じいさんに乱暴に銭投げつけたり、苛立ちに任せてペット殺したりと、あーこりゃ好かれないよなあと。
ひかりの森/押切連介
 まさかの押切的にっぽん昔話。次号も読み切り登場だ! しかも竜騎士07と対談ってどういうこと編集部w これは期待です。
 題字のデザイン含め、やけにメルヘンだと思ったら案の定でした。親の心子知らずとはこのことか……。
 いわゆる親の言うこと聞かない子はこうなるべ〜っていう教育譚と見ることもできますが(昔話風なだけに)、やはり少女自身が凄く幸せだったのと、結局父親を恨んだままになっちゃったあたりが実に残酷。見開きの迫力もさすが。
 ただ、あんな色んな種類の動物が一つの獲物をそろって……ってのはちょっとありえなくもない? とは思いますが(無粋)。それと、父親が妻の死から猟を忌避する過程がピンと来ないから、その辺も少し見せて欲しかったかも。
愛の証明/平田京子
 ありがち。パーツ集めて〜ネタはそれこそ『エンバーミング』でもあったしなあ(いや青年漫画なんだが。最近二巻買ったので)。
 しかもその死体動かないんじゃ意味なくね? あの家を継ぐのはこの娘だとしても、孫はどうするつもりなんだろうあの親。
 ただ、愛されることに不安を感じ続けた主人公の造詣は良かったと思います。彼女が本性出したら逆に安心するとかが。
絵画修復家キアラ ミケランジェロの遺言II/たまいまきこ
 やはりダヴィンチ・コードな展開に。しかしキアラモテモテというか、彼女がモナ・リザ見て感涙するのは分かるんですが、リカルドの一目惚れが電撃的すぎのような。でもちょっとこの兄ちゃん好きになってきたw
 ギネヴィオは毎回言動が乱暴すぎるんで……、いや頼りになる男ではあるんですが。どうせ最後はギネヴィオとくっついて、リカルドはキアラから身をひいてしまうんだろうなーと予想されるので、ぜひとも応援したく。
新・呪いの招待状 人に非ざるもの/曽根まさこ
 今回は霊感のある女性が主人公。ちょっとバトルになりそうな雰囲気に入りつつ、次回へ続く……のか? 続きますよね? 呪殺のお仕事とは違うけれど、さてどう対処してくれるのやら。
 しかしカイって「職業:呪術師」だと思っていたんですが、元人間なのか元から人外なのかよく分からない。
衰族館 バックステージのピラニア/大橋薫
 最終回。何というかキャラに同情できないし気持ち悪い、不愉快な作品でした。
 ネタバレしますが、今回は管理人さんの正体=生前の罪が明らかになる話。いやー、なんか毎回偉そうなこと言ったり人を諭したりしてましたが、すごいゲスだったなーと。自分のことを最低最悪って言ってますが、ちゃんと罪悪感持っているのかと。
 妹の乳首が出たり凌辱したり作者やりたい放題。
 罪を犯すまでの過程にあまり共感ができない。空気のように息子を無視していた両親と違って、妹はちゃんと主人公と会話もしていたし、普通にがんばっていた子だと思うんですよね。で、逆恨みされちゃったと。
 一番重い刑として管理人に選ばれたそうですが、今までの仕事ぶりに囚人っぽさが何もなかったので悲哀が感じられません
 比べるのもなんですが、『地獄少女』は仕事をするのが辛い感じがあちこち出てました。善人を仕事だから仕方なく地獄へ運んだり。単に冥府へ永久就職しただけっぽい感じで。
 パートナーの巨大魚さんも「かっこよく主役らしく死刑で死にたかったなー」とか駄目だこいつ、何も悪いことしたと思っていねえ。
 どうもキャラクターの悲劇や罪が、きちんとした重さを伴って書かれていないシリーズだと思いました。
黒い天使/渡千枝
 絵柄の古さが懐かしの少女漫画、かな?(主人公の目の描き方とか、赤面を表現するらしき横一文字の線とか)
 身近に危険が迫ることを感じながら、どうしようもない小学生の無力さ、そして恐怖。こうした描写や演出はさすがの秀逸さですね。やはり手堅い。
 落ちはどんでん返しだったんですが、そうすると母親の行動がちょっとよく分からなく。っていうか何で注射器使えるんだよ!
真夜中のイタズラ/三条友美
 洗いませう♪ 足の先から頭まで ピッカピカに洗いませう♪
 エニスさまに逢うために♪ 蝶や花よりきれいになって♪

 あまりに露骨な怪虫のデザインがw いいのかこれ。しかし里花ちゃんいい子だったのまあ…鮎美もいずれ連れて行かれるんだろうなあ。
神の子供/西岡兄妹
 主人公、お山の大将になる…と言いたい所だが、なんかユートピア集団的。これまで非人間性を見せてきた主人公ですが、ここに至って自分を「愛」する者を傷つけることに躊躇を覚えるという新しい面が出てきました。
 しかし主人公、死体でないと年頃の女に興味は沸かないのか。
 次の犠牲者はやはりあの子かな? でもそろそろ、主人公の「復讐」とかはっきりさせてほしい気も。尻からトイレへ産み落とされたのに、なんでちゃんと両親に育てられているのかもよく分からなかったりします。