入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』7

 そしてあらゆる人々が『人間』であるように、どんな音も『音楽』。
 ここにあるのは全て、完全無欠の素敵な音楽ですわ。
 殴打と血の音が、とても綺麗な音色の雨で洗い流された、ね。

 ※ネタバレしています。


 続いちゃったよ!
 な、七巻でした。後書きによるともうちょっとだけ続くらしいですわ、すわっすわ。
 最終章とエピローグでこれまでの主人公が出てくるまで、大江湯女がかわってストーリーテラーを務める構成。
 続ける意味があったのかと不安を感ぜずにはいられなかった読前、やっぱり意味が分からなかった読後。
 ああどうしてくれようか。このシリーズは好きだけれど、その「好き」には六巻の終わり方も理由として含まれているわけで、それが台無しになったんですが。
 海老腹さんは予想通り死亡。ただ死因が流れ弾じゃなかったのが驚きですが。高校生で脳溢血って起きるものなんだ?
 とりあえずその点を無視しても、今回は話としてあまり面白くなかった。鶴里さんバラバラ殺人事件とか、やたら興味をかきたてられなかったのはなぜだろう。その犯人役兼探偵役の四人組もなんかどうでもいいというか。
 エリナと白太の異常性が目に付いただけで、イマキ君とユカちゃんはイラスト以上に印象に残る物がない。金子くんがあの四人は敬遠されているって言ったけれど、そのへんも描写がなく彼の台詞のみだったし。なんか適当な印象を受けました。
 一応今までの事件って、主人公がそれなりに関係を持っていて、解決されないと何らかの損害を被ることが確定していたはずなんですが。今回はそういう関係性も薄くて危機感をあおられないのが良くなかったんじゃないでしょうか。
 なんで湯女が事件に関わってんだか終盤まではっきりしない(いやマユが関わっていたっていう理由が最初の方で出てきますけれど)。妙に冷めた目で見てしまうというか。マユ子が関わっていて困るのって湯女じゃなく「ぼく」なんですし。
 それでも話を読ませる牽引力になったのは、湯女の過去ですかねー。大江家と実家それぞれの思い出話。
 どうやら佐内利香ちゃんは虐待されていたようですが、「代金」の意味がよく分からない。幼女売春でも強制させられていたんでしょうか。一巻のように過去が詳しく明かされることを期待していたんですが、そんなことはなくただ思い出の断片が放逐されて「あとはご想像にお任せしますわ」って感じで終わって無念。次点は湯女と茜の共同生活かな。わんこ可愛いです。
 読んで損をしたってほどでもないけれど、期待していたのとは違うかなあ。主人公のハーレム状態もいまさらどうでも(ry。全体的に「ふーん」としか言いようがなかったこの気持ちをオレはどうしたらいいんだろう……。
 まあ次回があったらまた読むんですけれどね。文章は楽しいので。でも次もこの調子なら、シリーズまだ続いても手を引くだろうなあ。そしてオレの中のみーまーは六巻で完結なんですよええ。