片岡人生、近藤一馬『デッドマン・ワンダーランド』3巻
……では始めようか
殺し続けて 死に続けようじゃないか
デッドマン・ワンダーランド (3) (角川コミックス・エース 138-10)
- 作者: 近藤一馬,片岡人生
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/05/26
- メディア: コミック
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死肉祭第二戦。vs水名月ちゃん。この世界観の中でこのキャラはなんかあるだろうと思ったら、やっぱり……という感じ。羊くんの妹だそうですが、そういや名字同じでしたな。しかしガンタ「一緒に逃げよう」って台詞に、流されやすさを感じて不安がつのりますよ。というか、「DWは狂った場所」と認識しているなら、せめて部屋の鍵ぐらいちゃんとかけろ。オカマの侵入(二回目)を許しているじゃないか。千地さんは素敵に眼帯キャラになって再登場。「皿を苦くして」って台詞は「皿をデカくして」の誤字ですかね。漢字変換つきは新しい。
G棟が登場したあたりから、囚人服を無視した個性的ファッションのキャラが出始めましたけど(水名月の手錠もファッションですよね)、今回登場した新キャラもやはりそんな感じで、刑務所の中ということを忘れそうになります。まあ死肉祭の罰ゲームとかはちゃんとあるんですが、死刑ルールもガンタがキャンディ獲得に苦労しなくなったせいで、あまり意味がなくなってるし(購入するシーンも食べるシーンもないから忘却の彼方)。
しかしそれはそうと、最後のほうまでガンタと顔をあわせることのなかったシロの秘密が色々と明らかになった感が。ガンタはようやく、シロと幼馴染みだったことを思い出しました。1巻の冒頭で出てた保母さんってお母さんだったのですね。所長が五十嵐家を知っていたり、玉木の発言に研究所という語があるのを見ると、ガンタの回想に登場した病院っぽい場所が研究所だったりするのでせうか。狂犬の首輪も、DWの首錠と同じ形ですし。
で、前の巻でシロの体にたくさんの手術痕らしき縫い目があるのが明らかになりましたが、ガンタの回想で彼女は注射と検査をたっぷり受けていました。改造された人間なのでしょうか。それとも、もとから特殊な人間だから研究されていたのでしょうか。両方ってのもありそうです。シロが「ふたり」いるのと関係あるようで。子守唄(マザーグース)が危ない方を封印しておく大事なポイントなんですな。「悲しい二羽のキツツキ」は、やはりシロとガンタのことなのかっ。
赤い男=レチッド・エッグ(見捨てられた卵)のマスクの下は、まあ予想通り。なんであんな行動を取ったかはまだ謎ですが、二重人格ならしょーがない?
最後のほうで登場したロッカー風味の坊主こと超坊主氏は、既にヘタレ臭さがただよっているなあ……。デッドマン以外の異能力者って感じで登場したのに。そしてあの刑務所モノとはかけ離れた外観は一体。玉木はデッドマンのような能力者がたくさん欲しいようですが、さてはて、所長が死んでいるのを見つけたら狂喜乱舞しそうです。
……にしても、アザミさんってシロと並ぶサブヒロインになるかと思いきや、全然出番なくてちょっとがっかりなんだぜ。
今回の死肉祭では、「デッドマン代表」としてチョップリンが出ていました。例の罰ゲームを「おやつのお供に」と言ったり、まともな神経の持ち主でないことは確定ですが、ユーモラスなオカマキャラなだけに、本性露わす時が楽しみでしょうがない。代表ってことは、それなりに強そうですしね。ただ、マスも千地さんが話題に出したのに、ヒタラのじっちゃんだけ影も形もなくて寂しい限り。
やはり1巻のころから提示され続けていたように、DWの創設や東京大震災といった物語の核に、ガンタ・シロの両名は深く関わっているようで。おもちゃと遊ぶ子供がごとき玉木の目的やシロ、レチッドエッグの正体が気になります。でも、もっと「刑務所」という舞台らしさが欲しかったな……。今までの話でもそういう舞台の雰囲気はそれなりに押し出していましたが。あまりそれが関係ない進行になるのは寂しい。反体制レジスタンスとか出てきましたけどどうなんだろう?