カットスロート・トッド

 スウィーニー・トッド 、観ました。この映画、第65回ゴールデングローブ賞にて「ミュージカル・コメディ」扱いされているのが納得いきませなんだ。検索して知りましたが、元々は舞台ミュージカルだったそうで。でも、コメディて分類されたら困る(笑。ホラーとか何とか言いようはないものか。
 調べてみたら、ミュージカルの更に元にスゥィーニー・トッドという犯罪者の伝説があるそうで。ティム・バートン監督はスリーピー・ホロウの伝説も映画にしてましたね。
 ある男の復讐劇、そして一人の殺人鬼の物語。殺人鬼の伝記とかは好きなので、この時点で観るの確定でしたよ。OPがCGアニメだったのですが、あの挽き肉機やパイでそゆ予感がしていたら、やっぱりそういう商売始めちゃったなああの人達。
 ミセス・ラヴェットは見た目が女版トッドといった印象で、その印象通り彼とコンビを組んで恐るべき悪事を働くのですが、登場当初から「次の瞬間にはトッドにスパっと殺られてそう」なイメージでした。最終的には、大勢殺したトッドより苦しんで死んでいましたが。
 ジョアナとトッドは、最後お互いが親子と気づかないまま別れちゃったんですかね。まあ物心つく前に別れて、初めて見た父親の顔が、あんな血塗れ殺人鬼フェイスじゃ父とは知らぬが吉。ただ、アンソニー君が馬車を呼びに行ったまま戻らず映画が終わっちゃったのが残念でした。台詞からすると彼が脱獄したトッドを船に乗せてくれたっぽいですが、アンソニーはもうちょっと色々書き込んでも良かったんじゃないかな。
 落ちは因果応報ながら官憲エンドよりはいい。正直、自殺すると思っていたので、復讐しようとしていたが故に復讐されて死ぬ、という落ちが少々意外かつ納得でよかった。
 コメディ要素として思いつくのは、やはりラヴェットさんが語る「綺麗な海辺で静かな暮らし」でしょうか。あの妄想シーン、相変わらず仏頂面のトッドがまるで何もかも似合っていないのが笑える。ぎこちないキスはとても可愛かったですが。あの時代の水着ってみんなあんな感じなのかな……。
 スリーピー・ホラーとも通じる暗い画面の中、時折明るく華やかに澄み渡った画面も登場するのですが、そんな世界でもトッドとラヴェットはモノクロになっているんですよなあ。ラスト、血塗れのトッドとルーシーさんのツーショットは一枚の絵として完成されていて、非常に好きなシーンでした。