赤人義一『屍姫』1〜5巻
- 作者: 赤人義一
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2005/08/22
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5巻まで読みましたので、それも含めて。
この本は……、
屍分が足りないっ!!
若くて華奢で可愛い女の子達が、ドでかい刃物や銃器をぶん回して大立ち回り。それは娯楽として需要は多いにあるが、現実では限りなく不可能に近い(強い女性はいるかもしれないが、そうした女性はたいがい男性ホルモンが大量に分泌されているので、見た目からして強そうである)。
そういった「フィクション」をいかにもっともらしく「エンターティメント」に昇華するかにおいて、様々なクリエイターは努力を払ってきたのであります。ある作家はただ幼少からの訓練で〜とか、ある者は天賦の才能で〜とか。ガンスリでいえばそれは義体というギミックであり、この漫画は「屍体少女=戦闘美少女」なのである。
そう、屍体なのだ。
屍体人間! 殺された少女の屍! それは美しいと感じてはならぬ禁断の浪漫! ……あーいや長くなるので割愛。
しかるに。そのような重要な作中ギミックである「屍(体)」がこの作品では活かされていない。
敵役の(ザコ)屍どもがゾンビっぽいのはまあいいだろう。大群とかの屍(の幹部級とか)も大分人間臭くなっているが、まあ今現在主人公側より魅力あるキャラ達でいっぱいなので気にしないっ。
私は主人公側である「屍姫」達に、屍っぽさが全然なく、まるっきり人間臭くある事が実に不満でならない(ので、その点がどうにか成らん限り、私がこの漫画に星5つをつける事はない)。
マキナは昼日中でも平気で出歩き(まあこのくらいは許容範囲だが…)、サキは菓子を大量に食う(死んでいるのに必要&可能なのか!?)。その上呼吸もしているような描写がある(苦しげな吐息などの描写。まあ声が出るのだから、呼吸器官が生前と同じように動いているのは分からないでもない)。
彼女らときたら、まるっきり「ただの強くて不死身な戦闘美少女」なのだ! そのような「エンターティメントした存在」を演出するギミックに「屍体」を選択しておいて、この所業はなんたる不届き千万っ!!
屍姫を作る術とは、すなわち「不完全な蘇生の術」らしいから、マキナ達は半端に生き返っているだけなのかもしれない。が。
屍姫の身体能力は、屍体であるが故ではないのか? 屍体は分泌活動が止まっているゆえ疲労毒だか乳酸だかが溜まる事はなく、従って疲れ知らずでありいつでも100%の力が出せる。感覚が鋭くなるのも同様に……えーと以下略。
とにかく。
屍体漫画の端くれであるなら、もっと屍体らしさを存分に発揮していただきたかったものだ。リオンの能力とか他のギミックが色々と面白いだけに、非情に残念である。
あ、はまぞうで検索して気づいたけど、6巻出てるのね。サタニスター3巻とかと一緒に買うか。