特集小説『公園通りの懐かない猫 著/踝 祐吾 絵/空樹』原稿用紙換算55枚(http://magazine.kairou.com/07/spnovel/kouen.html)

・特集作品2本目。目次では先に拙作の名前があるが、そんな手前味噌はくそ食らえでやんす。私の作品は藤堂桜さんの素敵な表紙イラストだけちゃんと見て、後は次へいっちゃいましょう! ……いや、まあ最後にでも読んでもらえればいいですから、ええ。でも、桜さんのあのイラストは見ないと損するよ!
・人間臭い猫と、猫臭い人間が、あるストリートミュージシャンの殺人事件をきっかけに出会った。彼らの出会いと、事件の顛末を追ったミステリー……なのだが、あまり推理モノとしての色は強くない。むしろ、主人公シロの猫らしからぬ人間臭さと、工藤ことクロの猫っぽさ、そのやり取りを見て楽しむ作品といった趣き。
 ただ、シロの人間臭さの描写や強調が多く、その分他の登場人物がおろそかになっているような印象を受けた。ヒロインポジションにも持っていける静さんの登場がだいぶ遅かったり(話題には登るが、名前と当人の登場が割りと後)とか。別に静をヒロインに据えた方が断然イイ! って事もないのですが、それを抜きにしても、シロの描写に割いているかなあ、と。いやシロ面白いからいいんですが。
 ちなみに、シロ猫の人間臭さっぷりはこんな感じ。
・冒頭で言われている、猫が殺された事件は、こげんたくん事件かな?
・ブロマイドを知っているねこ……!
・仕事しろよ、という注意はするが、サイバンの概念を理解しないねこ……!
黒革の手帳、という語に仰々しくも甘美な響きを感じるねこ……!
ヤフオクを知ってるねこ……!
・人類女性のかわゆさが分かるねこ……!
・いくら何も書いていないからって、警察手帳なくしてそのままにしちゃ駄目だろ。
・ドラヱもんの道具に、アーミーナイフなんてありましたっけ?
 最後違うものが混じったがそれはさておき。ああもう猫大好きだ! 特集は残り拙作だけなので、特集作品の中では一番猫の魅力が詰まっているのではないかと思う。この猫のシロ自体が個性的で魅力あるキャラとして成立しているし、猫好きとしては彼(だよね?)の一挙一動にウハウハしてました。
・前述のように、ちょっとシロを前面に押し出しすぎな感はありますが、シロの造形は魅力があるので、気にならない事もないでしょう。まあ、読んだあとちょっと物足りないかな? と小首を傾げるような、そんな感じで。