六塚光『タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ』
- 作者: 六塚光,日向悠二
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: 文庫
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キャラが多いので、最後はちょっと影の薄い人たちがいましたね。葉月とかいまいち強いのかどうかよく分かりませんでした。辻浦先生も二巻以降、夏月のピンチを助けた以外は大きな活躍がなかったし(裏で重要な活躍をしていたことが判明しますが)。この人にはもっと、三千人さんとの過去とか語られてほしかった。……そーいや、神山(甥)忘れられてんなあ。
九里浜はなんだか丸くなっちゃったし、伊勢谷は最終決戦に参加させてもらえないし。まあ一巻の人達が登場したのはちょっと嬉しかったですが(結果はあんなんだが)。しかしNNRは登場するたびにダメな方向に進むな。登場すると必ず痛い目に遭う佐倉ですが、今回は痛い目に遭って登場しました。しかも追い討ちつきで。前世で何かやったのかなあ……。
三千人さんは二巻以降かなり影が薄く、前回にいたっては名前だけの登場で俺は涙にさめざめと濡れたものです。今回はOPから登場してくれましたが、本格的に登場したのはわりと後。おいしい処で出てきましたが、ビースト・イン・ヴューの正体が(笑)。
海さんはなんだかあからさまに三助とかぶせていましたが、やはり伏線。問題が解決して主人公がパワーアップして四年前の真相も解ける、と実におトクな仕掛けでございました。味方で死んだ数少ない人でもありますね。
敵側は結構バタバタ死んでいます。辻……いえ、迅とか死んだのはちょっと残念。井倉が死んだ時は、挿絵の涙目にちょっと萌えました。でもこの人、こんな死に方するほど悪いことしたっけ(いや、ヒロインはめようとしていましたけれど)。
ラスボスはヤンデレでございました。あと、裸光がどう見てもゲッター線です本当にありがとうございました。裸光って霊気とか霊力(の源)とかのありがちな語に変換すると、タマラセが分かりやすくなるかなあと思っていたけれど、そういうことか。タマラセが裸光に対抗するためのモノってのは、タマラセが隕石落下を防ぐためってことですか(じゃあ幽体武器はオマケみたいなものだなー。レッド・ドラゴンはかなり特異でしたが)。
ゲッター線といえば佐土原ゲッターロボ兄弟。グレートサドハラー……うん、兄弟三人揃った時から予感はしていた。しかし血生臭い変形だな毎度。ちなみに末の結衣はゲッター3よりは2だと思います。コウが一番ゲッター3らしいよね。この兄弟、ロボ好きなんだろうなあ。
ラスボス候補だった亘理は結果的に小物っぽくなった気が。三十四さんと因縁はあったし、悪い事もしたんだけれど。動機の面でバカ息子と同じ性根が見え隠れしているあたりがどうも。……あ、その意味じゃ一花も同じ血を引いていたんだなあ。あと、この作品では同じ家族はだいたいよく似たタマラセを持ちますが、亘理家だけは例外ですね。鏡に鞭に鎌。揃って篭手脚光の八阪井やロボの佐土原とは対照的です。でも性格的には亘理家もお互いよく似ていると思うんだが。うーん、一花は海さん好きだからそっちに似ちゃったんだろうか?
エンディングは意外とハーレムエンド。結衣の惚れっぽさは凄いが、三助のナニがそんなに気に入ったのでしょう? お目が高いと言えばそうなんですけれど。
そんなわけで、楽しく読めました、タマラセ。作者がミステリ好きなのか(タマラセのネーミングは海外推理小説がモトネタらしいですし)、伏線のきいた構成なのがよかったです。登場人物にも、それぞれ意味や役割のある配置をされていましたし。武装錬金に似ているかなと思って読み始めたら、中々の良作でございました。