命を手にすることの責任(猫)

 夢を見るのが何も人間に限ったことではないことは、よく知られていると思います。例えば猫は寝ている時、ヒゲや足がぴくぴくしますが、あれは夢を見ているらしいですね。夢を見るんだから、当然、悪夢も見ます。
 兄弟をカラスに食い殺され、足を千切られながら生き残った仔猫は、保護されてのちも悪夢にうなされていました。繰り返し食い殺されかけた恐怖を夢に見るのか、眠っていたと思ったら叫んで飛び起きるのだそうです。その仔は後遺症を持ちながらも今は幸せになっているそうなので、嬉しいことですが。
 犬猫を保健所にやるくらいなら野生に返せと言う人がいますが、それは単に捨てることとどう違うのでしょう。守ってくれる親もなく、捨てられた仔猫や子犬は、野犬やカラスに餌として食われてしまいます。目も開かないほど小さな仔は、目ヤニに蝿の卵を産み付けられ、やがて孵ったウジに目玉や脳を食い荒らされてしまいます。まったく、誰ですかね、「目が開く前に捨てれば祟られない」なんて言い出しやがったのは。
 さて。最近、動物をネット通販で購入する人達の間でトラブルが増えているそうですが、その繋がりで知った動画。
【ニコニコ動画】殺処分
 保健所で毎日行なわれている、犬猫の殺処分──毒ガスによる窒息死処理についてのドキュメンタリー動画です。だいたい15分ほど。ニコニコのIDを持っている方はどうぞ。
 この動画内で、「夏休みなので海に行きたいけど、猫がいると旅行にいけないから」という理由で、保健所に仔猫の処分を頼んだ家族が出てきます。コメント欄ではやらせだろうと言う揶揄もありますが、これが仕込みのたぐいでも、実際にこんな考えの人間はいると思います。保健所で処理されるということが、どういうことか分かっていない。
 また、病気になり、介護が必要な犬の処理を保健所に頼む飼い主も登場しました。動物病院でなら安楽死させてやれますが、保健所に連れてこられたら、待っているのは苦しんだ末の窒息死です。無知の罪というものは、自分がやってしまったことにすら気がつけないから、恐ろしい。
 かつて二度も、飼っていた猫を捨てた私がとやかく言うのはお門違いかもしれない。正直私も同罪だ。でもだからこそ、今いるココとさくら(猫5ヶ月)は最後まで幸せにしてやりたい。
 この動画には色んな部分でショックを受けたけれど、やっぱり、猫を殺す理由に「海に行くから」と笑って言う人間の姿に一番ショックを受けました。生きているんだよ。殺されちゃうんだよ。そんな簡単なことも分からないのか!? とね。
 一人一人は無力なくせに、何でこんなにたくさんの動物が人間に弄ばれなくちゃならないんだ。救うほうが傷つけるほうに間に合わない現実があるならば、総体として、結局人間は邪悪さのほうが勝っている生き物なのだろうか。……なんて、感傷的になって青臭いことさえ考えてしまう。ああ、恥ずかしい野郎だなあ。
 でも、恥ずかしかろうがなんだろうが、やるせないという気持ちだけは本物。